DIANA ROSS『DIANA』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1980年に発表されたものであり、テンポの良いサウンドを聴かせてくれるヒットアルバムである。Billboardのアルバム・チャートでは、レギュラー・チャートでは最高位2位を獲得しているが、発売時期のこともあって、1980年の年間アルバム・チャートでは95位、翌1981年の年間アルバム・チャートでは59位という、意外と低い位置にランキングされている。これは、リリースされた時期と年間チャートの切れ目の時期の関係によるものであり、実質的にはもっと上位にランクインされていて当然のアルバムである。大人の鑑賞にも堪えうるソウルフルていて、ハートフルなボーカルをたっぷりと聴かせてくれている。
まずは全米No.1ヒットとなり、1980年のBillboard年間シングル・チャートでも18位にランクインしている大ヒット曲『Upside Down』でスタートする。テンポが良くリズミカルな一曲であり、ダンサブルなメロディは気持ちが良くなる一曲である。続いては『Tenderness』と『Friend To Friend』を挟み、LPのA面に当たる前半部分はノリが良く、シングル・カットされてレギュラー・チャートで最高位5位を記録するヒットとなった『I'm Coming Out』がこれに続く。この曲もテンポが良く、リズミカルなダンサブルな一曲である。また、エネルギッシュでソウルフルな彼女のボーカルも健在である。
続いて、LPではB面に収録されていた曲にバトンが渡り、『Have Fun(Again)』から『My Old Piano』『Now That You're Gone』『Give Up』と彼女の持ち味であるエネルギッシュでありながらも繊細なボーカルが、リズミカルでキャッチーなメロディに乗ってたっぷりと堪能できるということで、実に聴き応えがある。
本アルバムの欠点と言えば、収録曲が全8曲ということで、ちょっと短めということぐらいであり、それ以外は本当に内容も高く、聴き応えのあるアルバムである。(LPの時代であれば、ちょっと少ないか、という感じだったが、CDの時代の現在では、「少ない」と感じてしまうが、これがまたLPの時代のアルバムと言うことを認識させてくれるのだが...)考えてみれば、本アルバムを発表した頃の彼女と言えば、'60'sのシュープリームス時代を経て、ソロとしてのキャリアも長くなり、まさに脂の乗りきった時期でもあり、ブラック・ミュージック界を支えている大きな柱の一人であった。'70'sサウンドだ、'80'sサウンドだ、ブラック・ミュージックだ、ダンス系サウンドだ、ボーカル・アルバムだ、ということに関係なく、じっくりと聴いて欲しいアルバムである。
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