STEVE MILLER BAND『ABRACADABRA』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1982年に発表されたものであり、'70'sに名盤を残した彼らが'80'sになっても健在ぶりを示したアルバムである。とはいっても、サウンドは'80'sらしいものへと変わっている。が、親しみやすいポップ寄りのものであり、'89'sサウンドがお好きな方であれば聴きやすいものである。本アルバムからは、アルバム・タイトル・ナンバーである『Abracadabra』が全米No.1ヒットとなったこともあって大ヒットを記録して、Billboard誌において、レギュラー・チャートで最高位3位、1982年の年間アルバム・チャートでは77位ランクインしている。
収録されている曲は以下の10曲である。『Keeps Me Wondering Why』『Abracadabra』『Something Special』『Give It Up』『Never Say No』『Things I Told You』『Young Girl's Heart』『Goodbye Love』『Cool Magic』『While I'm Waiting』。
この中ではやはり『Abracadabra』である。この曲はBillboard誌で全米No.1の座を獲得する大ヒットとなったが、1週間1位の後、CHICAGOに2週間1位の座を譲ったものの、翌週に3週ぶりに1位に返り咲き、通算で2週間1位の座を獲得している。また、1982年の年間シングル・チャートでは堂々の9位にランクインしている。曲のタイトルが呪文のように繰り返され、それがキャッチーなメロディに乗ってテンポ良く楽しく響いてくると、魔法に掛けられた感じがする心地よい曲である。また、これ以外のお薦め曲としては『Never Say No』『Goodbye Love』『While I'm Waiting』といった辺りを記しておくことにする。(でも、『Abracadabra』の呪文のようなフレーズから逃れることが出来ない...)
'70'sの時代に、泥臭さを持ったサウンドで一世を風靡した彼らではあるが、ここにあるのはそのサウンドとは違うものであり、スマートになってポップ・テイストの利いたお洒落なものとなっていることで、従来のファンには嫌われているアルバムでもある。が、これが'80'sという時代のサウンドは新たなファンを獲得することにもなった。このように時代の変化に対応したサウンドを奏でることが出来るというのは器用な一面を持っていることの証でもあるが、時代に迎合するのではなく、彼らしいスピリットは決して死んではいない。「アブラカダブラ」という呪文の魔法にかかってみませんか...
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