U2『BOY』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは、1980年に発表された彼らの1st.アルバムである。彼らは後に世界的なビッグ・ネームのバンドとして世界中で受け入れられるようになるのはご存知の通りであるが、本アルバムではまだ十分に洗練されていなくて荒削りな所があり、未完の若々しさに満ちている。サウンドの方も、当時の新しいサウンドであるニューウェーブのものであり、'80'sという新しいディケイドを迎えた中で新しく生まれてきたサウンドの一つといった範疇のものであった。後の大ヒットを記録したアルバムの曲やシングル曲と比べると完成されていないものであるが、現在に繋がる彼らの独特のサウンドの原点がある。
収録されている曲は以下の11曲である。『I Will Follow』『Twilight』『Cat Dubh』『Into The Heart』『Out Of Control』『Stories For Boys』『Ocean』『Day Without Me』『Another Time, Another Place』『Electric Co.』『Shadows And Tall Trees』。
本アルバムからは、年間チャートに残るような大ヒット曲は生まれていないが、それでも個性的であり、キラリと輝く曲がある。今ではすっかりお馴染みの曲となっている『I Will Follow』のアップテンポで元気なメロディは、当時のパンク、ニューウェーブのサウンドを考えると、特に目新しいものとは感じられないが、後のU2のサウンドを知ると、エフェクトによって生み出されるサウンドの原点であるということが感じられる。また、『Out Of Control』等は小粒ながらも上手くまとめ上げられているということを感じる。そんな中、本アルバムからの筆者のお薦め曲は『Ocean』と『Another Time, Another Place』である。後のブレークした姿を知っているからこそ、無意識のうちにブレークした後のサウンドとの繋がりを考えてしまうが、そういう考えを忘れさせてくれるスケールの大きさを感じることが出来る。(やはり、当時からボノはそれだけのものを出していたということになる。)
後(現在)の活躍を知った上でデヴュー・アルバムに遡ると言うことを行うと、やはり未熟さを感じると共に、サウンドの変化を感じるのは仕方のないところであり、彼らについてもこれは当てはまる。が、その未熟さもダイヤモンドの原石であればそれなりの輝きを持っているものである。本アルバムにはそういうダイヤモンドの原石ということを大いに感じさせてくれるだけの魅力があり、後にブレークするということも納得できる。(ブレークしたからこそ、こういうことが言えるのかもしれませんが...)U2というバンドに接する上では忘れてはならない「原点」がここにあり、聴いておかなければならないアルバムの一つである。
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