YES『90125』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1983年に発表されたものであり、これまではプログレのバンドというYESが、その枠を越えて新たなサウンドを奏でる「新生YES」となったアルバムである。(とにかく、'80'sになってから「プログレ」は'80's初頭のPINK FLOYDを除いてほぼ壊滅状態になり、そのP. FLOYDもまもなく事実上の解散状態になってしまいました。)それだけに、YSEの新譜が出るというのは衝撃的な話題でもあった。が、サウンドは今までの彼らのものとは大きく異なり、ポップな要素に満ちた洗練されたスマートなロックであった。が、このサウンドは大いに受け入れられ、本アルバムは彼らの最大のヒット・アルバムとなった。で、1984年のBillboard年間アルバム・チャートでは21位、レギュラー・チャートでは最高位4位を記録することになった。
収録されている曲は以下の9曲である。『Owner Of A Lonely Heart』『Hold On』『It Can Happen』『Changes』『Cinema』『Leave It』『Our Song』『City Of Love』『Hearts』。この中ではやはり『Owner Of A Lonely Heart』である。シャープでキレのあるサウンドは大作指向を捨て、(当時の)現代風なテイストを取り入れ、親しみやすいものであり、この曲はヒット・チャートを上昇し、全米No.1の座を獲得することになった。(2週連続1位。)また、1984年のBillboard年間シングル・チャートでも8位にランクインする大ヒットとなった。(本アルバムはこの1曲を堪能するだけであっても所有するだけの価値があるものである。)その他の曲に関しても、これまでのYESとは全く違うサウンドを奏でていて、'80'sという時代を感じさせるポップなセンスに満ちている。が、それでいてシャープな切れ味を持ったスマートな格好良さが満載である。
中には、本アルバムは「YES」という名前こそ同じであるが、全く別のグループのアルバムだと解釈する方もおられるようだが、そこまで言ってしまって良いのかと感じるものがある。ここにあるサウンドは、確かに'70'sのYESの「プログレ」のサウンドとは別物である。が、メンバーが全く違っているのならばともかく、そうではないのだから、これは「生まれ変わった」YESと解釈するのが妥当なところである。デヴュー時から一貫してサウンドが変わらないというアーティストも確かにいるが、普通に考えれば、デヴュー時からのサウンドが変わっていくのはごく自然なことである。生まれ変わったYESということで、堅苦しく考えることなく、YESはYESとして楽しんでもらいたいところである。
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