AGNETH FALTSKOG『WRAP YOUR ARMS AROUND ME』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1983年に発表された彼女の英語での1st.ソロ・アルバムである。彼女はABBAのメンバーの一人であり、前年にFRIDAが発表したソロ・アルバムがヒットしたのに続いてリリースしたものである。当時、ABBAは既に解散状態になっていたが、彼女はABBAはABBAとして活動し続けるものと思っていたこともあって、ABBAのサウンドとは意識して違うものとして、良質のポップスを聴かせてくれている。(が、FRIDAのアルバムほどヒットはしなかった。が、1983年というのは、実にクオリティの高い作品が大量に発表された年であり、「ABBA」という看板があってもやはり厳しいということでした。)で、彼女もまたソロ・シンガーとしての道を歩み始めることになった。
収録されているのは以下の全12曲である。『Heat Is On』『Can't Shake Loose』『Shame』『Stay』『Once Burned, Twice Shy』『Mr. Persuasion』『Wrap Your Arms Around Me』『To Love』『I Wish Tonight Could Last Forever』『Man』『Take Good Care Of Your Children』『Stand By My Side』。
この中では、シングル・カットされてヒットを記録した『Can't Shake Loose』がテンポが良くノリの良い曲であり、大人の女性の魅力に満ちたこの曲はABBAのサウンドとは全く違うサウンドということで注目された。(一応、全米TOP 30内には入ったが、同年のBillboard年間シングルTOP 100には入っていない。→1983年の年間チャートは、いつもの年以上に秀作が目白押しである。)その他の曲も、良質のポップスが集まっていて、とても聴きやすいアルバムとなっている。
本アルバムのリリースは、ABBAが終焉を迎えた後に発表されたため、After ABBAとしてソロに転向した彼女が「脱・ABBA」を目指したアルバムとして捉えられているが、それは結果論であり、グループとソロとは別物として考えた彼女のサウンド指向はそれはそれで大いに評価できるものである。ABBAの数多くのアルバムでは味わうことのない楽しいポップスがここにはあり、こういうのもまた「音を楽しむ」音楽の良いところである。セールス的には大したことはなかったものの、FRIDAの前年のソロ・アルバム「SOMETING GOIN' ON」と共に忘れてはならないアルバムの一枚である。(で、こういうアルバムを「隠れた名盤」というのである。)
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