BRYAN ADAMS『CUTS LIKE A KNIFE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1983年に発表された彼の3rd.アルバムである。本作が彼にとって初の全米TOP 10に入る大ヒットを記録して、カナダ出身の彼が大きくブレークすることに繋がったアルバムである。(で、次のアルバムでトップ・スターの地位を不動のものにすることになる。)本アルバムはストレートな彼の思いを正面からぶつけた力作であり、ロック・アルバムであるが、ハートのこもったバラードの方に力が入り、名曲を生み出すことになった。ということもあり、アルバムの方も好調なセールスとなり、1983年のBillboard年間アルバム・チャートでは15位、レギュラー・チャートでは最高位8位を記録している。(これが「黄金の一年」と言われる1983年であるから、例年以上に高く評価することが出来る。)当時は、第二次ブリティッシュ・インベージョンによるイギリス勢の大攻勢やダウンアンダー勢力の活躍に対してアメリカ勢が巻き返しを始めていたが、そのアメリカの北にあるカナダからの援軍という形になり、アメリカ(ここでは北米のことを言っている)のサウンドが復権していくことになっていくというで、名器良く、力作が続出した時期であるが、そういう時期に発表されたということで、やはりクオリティは高いものとなっている。
収録されている曲は以下の全10曲である。『Only One』『Take Me Back』『This Time』『Straight From The Heart』『Cuts Like A Knife』『I'm Ready』『What's It Gonna Be』『Don't Leave Me Lonely』『Let Him Know』『Best Was Yet To Come』。この中からは、バラード・ナンバーである『Straight From The Heart』がシングル・ヒットを記録していて、1983年のBillboard年間シングル・チャートでは71位、レギュラー・チャートでは最高位10位を記録している。(『This Time』もシングル・カットされてヒットしているが、こちらは年間シングルTOP 100には入っていない。)また、この曲と『Take Me Back』はBONNIE TYLERがカヴァーしており、ハスキー・ボイスであるBRYANと、これもまたハスキー・ボイスのBONNIEのナンバーを聴き比べるというのもまた楽しいところとなる。
シングル・ヒットした曲もいいが、筆者のお薦め曲はアルバム・タイトル・ナンバーである『Cuts Like A Knife』と『Take Me Back』『Let Him Know』『Best Was Yet To Come』といった所である。特に『Best Was Yet To Come』はアルバムの最後をじっくりと聴かせてくれるバラードで締めてくれていて、余韻を残して幕を閉じてくれるエンディングは秀逸である。
本アルバムは、まさに彼がブレークするきっかけになったアルバムであるが、じっくりと聴き込めば、彼がブレークするのも理解できるような内容の高いアルバムであることが分かる。とにかく、若い彼がその重いを真正面からぶつけたストレートな感情が込められていて、それがストレートに伝わってくる。後の活躍を考えたら、本アルバムは彼の代表作とは言い難いが、本アルバムがあるからこそ、後の彼の活躍があると言うことも出来る。最初にはとは言わないが、BRYANを聴くならば本アルバムを外すことはできないのは言うまでもないことであり、じっくりと聴き込んでもらいたいアルバムである。(また、『Straight From The Heart』はBONNY TYLERの方も是非聴いてもらいたい所である。)
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