PEARL JAM『VS.』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1993年に発表された彼らの2nd.アルバムである。彼らは、'90's初頭のグランジ・ブームではその中心にいたバンドの一つが彼らであるが、本アルバムのサウンドは、「グランジって何?」「グランジってこんなにもハードなの?」というハードロック路線である。(彼らが「グランジ」の道に突き進んでいくことになるのはこの後のことである。)
本アルバムは全米No.1の座を獲得(5週連続1位)し、1993年のBillboard年間アルバム・チャートでも15位にランクインする大ヒットとなっている。
収録されているのは以下の全12曲である。『Go』『Animal』『Daughter』『Glorified G』『Dissident』『W.M.A.』『Blood』『Rearviewmirror』『Rats』『Elderly Woman Behind The Counter In A Small Town』『Leash』『Indifference』。
本アルバムの中では、やはり何と言っても冒頭の『Go』に限る。再生を始めるといきなり聴く者のハートを一気にかっさらい、アルバムの最後までグイグイと引っ張っていくエネルギーのあるこの曲は、耳の肥えた聴き手でも虜にしてしまうだけの魔法の力を秘めている。で、この曲の衝撃のサウンドに引きつけられると、あとは純粋のロック・ナンバーが続く。『Daughter』がちょっと一息という感じになるものの、これは最初から最後まで突っ走るのはどうかという心遣いに思える。で、『Glorified G』以降は骨のあるロック・サウンドをたっぷりと堪能させてくれる。
彼らの後のアルバムも良いものを聴かせてくれるが、「ロック」ということに絞ると、本アルバムは彼らの最高傑作といって良いだろう。'50'sのロック創世記から始まり、'60's、'70's、'80's、'90's、'00'sと、それぞれの時代においてロックの奏でるサウンドは変化を続けているが、「ロック」と言うからにはやはり「ロック・スピリット」が必要不可欠である。'90'sの混迷の時代以降はこの「ロック・スピリット」を持ったバンドが少なくなってしまったが、彼らはそれをしっかりと持っていて、本アルバムではそれをいかんなく発揮している。従来からの純粋なロック・ファンにもお薦めの一枚である。
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