PET SHOP BOYS『INTROSPECTIVE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1988年に発表されたものである。このアルバムは、時代の変化もあって、ちょっと微妙なアルバムでもある。'80'sではシンセサイザーが一躍発展し、所謂エレポップと言われるサウンドが隆盛を極めることになるが、'80'sも終盤になってくると、エレポップにもいくつかの変化が現れるようになった。特に、この時期はハウス系の台頭があり、それに反応して、企画ものという位置づけのアルバムとして仕上げられたのだが、評価は真っ二つに分かれたアルバムでもある。(まあ、何にでも賛否両論はあるものなので、誰もが絶賛するアルバムは、それはそれで素晴らしいものがあると言うことだが、こういうアルバムの方が面白みはあるのですが...)
収録されているのは以下の全6曲である。『Left To My Own Devices』『I Want A Dog』『Domino Dancing』『I'm Not Scared』『Always On My Mind/In My House』『It's Alright』。
この中からは『Always On My Mind』がシングル・カットされてヒットを記録し、1988年のBillboard年間シングル・チャートの80位、レギュラー・チャートでは最高位4位を記録している。
全体を通して、楽しいサウンドをスケール感豊かに、テクノを基本として、異なるジャンルのサウンドを融合させようとしていて、それがハマったものと意気込みが空回りしたものがあり、内容の差が大きいのがちょっと残念なところである。が、'80'sのエレポップと言うことでは「音を楽しんでいる」アルバムである。ダンス系り明るく楽しい音楽と言うことでは、心地良さを与えてくれるので、一応合格となるが、全体を貫く骨となるものが本アルバムには感じられないのである。それを「バラエティに富んだ」と見ればいいのだが、「心の乱れ」と解釈することも出来、そうなると「熱しやすく冷めやすい」という所が出てきて、長く接しようという気持ちが無くなってしまうのである。
まあ、賛否どちらの側に付くのかは、自分の耳で聴いて判断してもらうことにして、「食わず嫌い」ということだけは避けてもらいたい所である。(筆者は、時々ならば聴いてみたくなるが、その都度1回聴いたら「ごちそうさま」ということになってしまいます... 楽しさはあるのだが、もう少し骨のあるところが欲しかった...)
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