ROBBIE DUPREE『ROBBIE DUPREE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1980年に発表されたアルバムで、A.O.R.の一大ブームに乗ってヒットし、当時のA.O.R.を代表するアルバムの一つとしてものである。Billboardのチャートでは、レギュラー・チャートで最高位51位を記録したが、年間アルバム・チャートのTOP 100にはランクインしていない。が、シングル・カットされた『Steal Away』は大ヒットを記録している。(この一曲だけだから、「一発屋」と言ってはいけません。規模は小さかったものの、次作からもヒット曲は生まれています。)サウンドは、ウエスト・コーストを代表するグループであるDOOBIE BROTHERSのサウンドを引き継いでいるようなものであり、MICHAEL's DOOBIEのアルバムだと言われると、迷わず納得してしまうかも知れません。(早い話、ROBBIEが新メンバーになって、リードボーカルを務めていると解釈できてしまうということです。)が、やはり本アルバムは彼のソロ・アルバムである。ちょっとハスキー気味の優しいボーカルをたっぷりと聴かせてくれている。
収録曲は以下の全9曲である。『Steal Away』『I'm No Stranger』『Thin Line』『It's A Feeling』『Hot Rod Hearts』『Nobody Else』『We Both Tried』『Love Is A Mystery』『Lonely Runner』。
シングル・ヒットを記録した『Steal Away』は、当時のA.O.R.を代表する一曲として知られている曲であるだけに、これに触れないわけにはいかない。この曲はBillboardのシングル・チャートで最高位6位を記録し、1980年の年間シングル・チャートでは26位にランクインしている。また、邦題は「ふたりだけの夜」と付けられている。(イメージとしたら悪くないが、どうして『Steal Away』という原題からこういう邦題が付けられるのだろうか?)雰囲気はMICHAEL's DOOBIEサウンドそのものであるが、ハートフルな彼のボーカルが魅力的な一曲である。
この他の曲もたっぷりと聴かせてくれる曲で満ちているが、筆者のお薦め曲として『It's A Feeling』『Nobody Else』『Lonely Runner』を記しておくことにする。コーラス・ワークが良いとか、ややハスキー気味のボーカルが良い味を出していて、じっくりと聴き入ってしまいたくなるサウンドを冒頭から最後まで聴かせてくれている。
『Steal Away』はA.O.R.のオムニバス盤でも必ず収録されるという誰もが知っているという有名な曲であるが、それ以外の曲も味があって素晴らしいものばかりである。下手なオムニバス盤であれば、本アルバムの方がずっといいものがある。'70'sの終盤から'80's初頭のA.O.R.の一大ブームのサウンドを聴こうというのであれば、オムニバス盤を選ぶよりも本アルバムを選んで、じっくりと聴き入ってもらいたいところである。オムニバス盤だと、当時の一連のヒット曲を堪能できるが、そこにあるのは「ヒット曲」というものであって、一つのテーマに纏まったものではない。本アルバム全体を通して聴けば、ある幅を持ったバラエティに富んだサウンドを堪能できるだけでなく、全ての曲に共通してソウルフルでありヒューマンライクなハートを感じることが出来ます。(こういう所はやはりオリジナル・アルバムを聴き込まないと分からないところであります。)じっくりと味わってもらいたいアーティストである。
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