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「007/LICENCE TO KILL」 [映画(洋画)]

6代目ボンドを迎えた007シリーズ最新作であるシリーズ第21作の「CASINO ROYALE」が12/1に公開になるが、それに向けて、これまでのシリーズ全20作をDVDで順番に改めて見ている。(シリーズ40周年記念のDVD-BOX+「ダイ・アナザー・デイ」。一応、特典映像の方も一緒に見ているので、1本を見るのに3時間半前後の時間が必要となる。尚、今度は全20作のアルティメット・コレクションのBOX(スーツケースに収納)が発売されるのですね。全作吹き替え版もあるということで、一応は「アルティメット」と感じます。(が、40周年のBOXを持っているので、流石に購入の方は...)で、今回は4代目・ボンドのティモシー・ダルトンの2本目(本来はもう1本ボンドを演じるはずだったが、裁判沙汰になり製作が停止したため、契約が切れてしまったため、ティモシー・ボンドはこれが最後となりました、)のシリーズ第16作の「消されたライセンス」です。

尚、007シリーズに関してはHPの方に資料として作っていますので、そちらもご覧頂ければ幸いである。(ここをクリックしてください。)尚、各作品については「作品解説」と「脱線メモ」という2本立てで記していますが、前者は筆者が書いたもの、後者は年間に映画を600本以上見るという友人のG氏が書いたものです。

「LICENCE TO KILL」はI.フレミングの小説には無いタイトルであり、ボンドが持つ「殺しのライセンス」のことである。(オリジナルのタイトルを付けるにしては無難なところです。)で、本作はフレミングの小説の「死ぬのは奴らだ」と「珍魚ヒルデブラント」に登場するキャラクターを使い、原作に忠実な描写とオリジナル・ストーリーを組み合わせ、リアルなストーリーを追求した作品である。特に、本作ではボンドが個人的な復讐で動く、ということで「殺しの許可証」を取り消されても悪を追っていくという人間性が前面に出た物語となっていて、4代目・ティモシー・ダルトンの「人間ボンド」の本領発揮といった所である。(それだけに、彼のボンドがこれで終わりというのが実に惜しい...)

監督は前作に続いてシリーズ5本目(5作連続)となるジョン・グレンであり、5本の監督というのはシリーズ最多となった。脚本はリチャード・メイバウムとマイケル・G・ウィルソンといういつもの顔が担当している。音楽は本シリーズ初登場となるマイケル・ケイメンが担当し、主題歌はグラディス・ナイトがタイトルと同名のOP主題歌「Licence To Kill」を、パティ・ラベルがエンドロールの主題歌「If You Asked Me To」を担当している。(OPとEDが別々というのは、4代目ボンド作品から試みられたことであるが、これがスパイスとなって「人間ボンド」ということを演出するいい味になっている。)どちらの曲もソウルフルでたっぷりと聴かせてくれるゆったりとしたボーカル・ナンバーであるが、G.ナイトの方はシリーズの雰囲気もしっかりと受け継いでいる曲である。また、P.ラベルの方はソフトでハートフルな所が綺麗なメロディに乗っていて、とても良い雰囲気で物語の幕を閉じてくれる。

キャストは、ボンドは2本目のボンドとなるティモシー・ダルトンであり、前作でも感情を持った「人間ボンド」を演じていたが、一段と感情を出すボンドを演じ、4代目は「人間ボンド」という新たなボンド像を推し進めた。ボンドガールはマックスファクターのイメージガールを務めていたことで知られるモデル出身のキャリー・ロウエルで、力強さを兼ね備えた新たなボンド・ガール像を確立させた。(髪型一つで随分と印象が変わるものですね。)で、本作以降のボンド・ガールはボンド顔負けの力強さやプロフェッショナルな面が出てくることになるが、そういった意味では「私を愛したスパイ」のバーバラ・バックと共にシリーズに残るボンド・ガールです。そしてもう一人、サンチェスの愛人であるルペにタリサ・ソト。敵となる麻薬王・サンチェスにはロバート・ダビが存在感のある悪役を演じている。また、殺し屋・ダリオを演じているのがベニチオ・デル・トロというのも注目ポイントです。そして、本作では重要な位置となるボンドの友人でありCIAのフィリックス・ライターには「死ぬのは奴らだ」でフィリックスを演じたデイヴィッド・へディスンが16年ぶりに再び演じている。(彼は5代目・フィリックスであり、フィリックスを2度目となるのは彼が初めてである。)そして、M、Q、マネーペニーは、2代目・Mのロバート・ブラウン、これがシリーズ15本目となるデズモンド・リュウェリン、2代目として2本目となるキャロライン・ブリスという前作と同じ顔ぶれが演じている。尚、本作ではQが現場でボンドのアシストをするというように、Qの活躍がたっぷりと楽しむことが出来る作品でもある。

本作は人間くさいボンドを一段と推し進めたが、興行成績では大苦戦しました。(評価は高いのですが...)また、リアルさを追求したことにより、イギリスでは映倫規定に引っかかってしまい、計4ヶ所のカットをせざるを得なくなってしまい、アメリカではシリーズ初のR指定を受けることとなりました。(こういう所も興行成績が伸び悩む一因となった。)

更に、当初は東南アジアの麻薬王を相手に中国が舞台となる物語で進められていたが、天安門事件のため中国でのロケが不可能になり、中南米を舞台にすることに変更されるということにもなり、本作公開後の裁判沙汰もあり、次々と不運がやってきた作品でもありました。尚、劇中にニンジャや香港の麻薬捜査官が登場するのは東南アジアを舞台にした名残でもあります。

物語は、ボンドの長年の友人であるCIAのフィリックス・ライターの結婚式にボンドは出席する。が、麻薬王サンチェスが現れたと言うことでその逮捕に向かう。サンチェスの逮捕に成功し、フィリックスの結婚式を迎えるが、その頃サンチェスは脱走を図り、夜、新婚のティリックス夫妻を襲う。新妻のデラは殺され、フィリックスは虫の息に。怒りのボンドはフィリックスの仇を取るためにサンチェスを追うが、Mは別の任務を与える。その命令を拒否したボンドは殺人許可証を剥奪されるが、フィリックスの仇を討つため、サンチェスを追ってイスマスシティへと乗り込む。サンチェスを狙ったボンドだったが、それを邪魔したのは長年かけておとり捜査でサンチェスを捉えることを進めていた香港の麻薬捜査官たちだった。が、窮地のボンドはサンチェスに救われ、サンチェスの元に乗り込み、改めてフィリックスの仇を目論む。ボンドは、サンチェスの部下たちを裏切ったかのような工作を行い、一人ずつ片付けていく。が、ボンドの正体を見抜いたのは、殺し屋のダリオだった...

本作では、冒頭ではヘリで小型機を釣り上げるといった派手なスタントから始まり、生身のアクションが次々と登場する。そして何と言っても、クライマックスの麻薬精製工場から脱出した大型タンクローリーのチェイス、スタントは迫力満点で、タンクローリーのウィリー走行、片輪走行などのスタントは見所満載である。また、イスマスシティではQがボンドのアシスタントとして現場に出て協力することになるが、これも見所の一つである。

そんな中、当時、テレビCMが007シリーズを意識したスパイ・アクション・ストーリー仕立てとなっていたたばこ(LARK)が秘密兵器の小道具として登場(勿論、たばことしてではなく、秘密兵器の一つとしてである。)するのは、遊び心にも満ちている007シリーズらしいところでもある。

本作公開後、あと1本ボンドを演じることになっていたダルトンだか、色々な問題が起こり、裁判沙汰となり製作できなくなったことで本作をもってボンドから降りることになってしまったのが、彼の演じたボンドは、感情の起伏が激しく、とても人間味溢れるボンドであっただけに、とても残念なところでした。(これだけ人間味に溢れていたら、「女王陛下の007」をダルトンでリメイクしたら、またまた素晴らしい作品になったでしょうね。)で、本作の次の作品まで、6年間という時間が間に入ることになり、その間に東西冷戦の終結、東側諸国(ソ連や東欧諸国)の相次ぐ崩壊で世界情勢が大きく変わってしまったことで、シリーズはまたも大きく変わることになります。ただ、エンド・クレジットに「James Bond will return」とあったように、ボンドはちゃんと戻ってきてくれますからね...

 

↓サントラ盤
007 Licence to Kill

  • アーティスト: Various
  • 出版社/メーカー: Unknown Label
  • 発売日: 1999/06/14
  • メディア: CD

007/消されたライセンス 特別編

007/消されたライセンス 特別編

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2003/02/26
  • メディア: DVD
007 消されたライセンス アルティメット・エディション

007 消されたライセンス アルティメット・エディション

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: DVD
007 製作40周年記念限定BOX

007 製作40周年記念限定BOX

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2004/08/20
  • メディア: DVD

007 アルティメット・コレクション BOX

007 アルティメット・コレクション BOX

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: DVD

ジェームズボンド007シークレットファイル

ジェームズボンド007シークレットファイル

  • 作者: ロジャー スチュワート, アラステア ダゴール
  • 出版社/メーカー: 東邦出版
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 大型本


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