ZZ TOP『EL LOCO』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1981年に発表された彼らの8th.アルバムである。彼らはブルース・ロックという路線を突き進んでいたが、'80'sの声を聴いて、そのサウンドにも変化が現れるようになった。本アルバムはその路線を継承しているものの、かなりポップなサウンドに仕上がっている。次作でシンセサイザーを派手に使うようになり、サウンドが大きく変わることになる彼らであるが、変身のための準備は本アルバムの時に既に仕込まれてあったようである。
収録曲は以下の全10曲である。『Tube Snake Boogie』『I Wanna Drive You Home』『Ten Foot Pole』『Leila』『Don't Tease Me』『It's So Hard』『Pearl Necklace』『Groovy Little Hippie Pad』『Heaven, Hell Or Houston』『Party On The Patio』。
この中からの筆者のお薦め曲は、ポップな曲である『Leila』と『It's So Hard』をピックアップしておきます。従来のサウンドとは違うものであるが、本アルバムがポップな方向を向いているということで、それを象徴しているのがこれらであるためである。そして、それ以外ということで『Party On The Patio』と、アルバムの初っぱなを飾る『Tube Snake Boogie』も記しておくことにする。
自分たちのスタイルが既に確立していた彼らであるが、'70's終盤の世界的なディスコ・ブームから始まり、'80'sの声と共にロックの世界は第二次ブリティッシュ・インベージョンに呑み込まれて、アメリカン・ロックは低迷期に突入したが、サザン系の彼らはアメリカン・ロックを支えるバンドに成長したが、時代の流行を無視することは出来なかった。が、流行に乗ったことによって次作「ELIMINATOR」の大ヒットに繋がることにもなり、アメリカン・ロックの魂を知らしめることになったということで、これもまあよかろう、ということである。
本アルバムは、サウンドが変わったと言うことで、長年の彼らのファンからは嫌われているアルバムであるが、完成度と言うことではレベルが高く、'70'sから積み重ねてきたものの総決算という意味合いと、新たなサウンドへの船出が上手いバランスで纏まることになった。ということで、従来のZZサウンドがお好きな方はラスト・アルバムとして、この後のZZサウンドがお好きな方には一味違うサウンドを聴くことが出来るという、美味しいアルバムである。
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