「BLACKMAIL」 [映画(洋画)]
表題の作品は1929年のイギリス映画で「恐喝(ゆすり)」(後に「ヒッチコックのゆすり」と改題された)である。この作品はヒッチコック監督がイギリス時代に撮った作品であるが、もう一つ大きな意味がある作品である。それは、イギリス初のトーキーということである。最初はサイレント映画として製作されることになっていて、既に撮影が始まっていたのだが、そこから方向転換が図られて、一部を作り替えて、イギリス初のトーキーになったのである。但し、日本では劇場では未公開であった。
作品データを記しておくと、時間は83分の白黒作品である。監督はアルフレッド・ヒッチコック、脚本はベン・レヴィ、撮影はジャック・コックス、音楽はキャンベル・コネリーである。そして出演は、アニー・オンドラ、サラ・オールグッド、チャールズ・ペイトン、ジョン・ロングデン、ドナルド・カルスロップ、シリル・リチャード、たちである。
ヒッチコック作品ということで期待はあるのだが、ヒッチコック監督もまだ若いということもあって、詰めが甘い所もある。しかし、後にヒッチコック・スタイルとなるような所はちゃんとあり、自らもチラッと出演しているということで、やっぱりヒッチコック作品だと言うことを感じる作品である。
雑貨商の娘・アリスは恋人の刑事・フランクと遊びに出るが、ちょっとしたしたことからケンカになり、誘われた男について行ってしまった。その男は画家であって、彼のアパートに行ったアリスは襲われそうになる。で、身を守るため画家をナイフで刺し殺してしまった。事件を担当することになったフランクは、遺留品から犯人がアリスだと知る。また、事件の真相を知った男がアリスたちを強請に来るが、彼は警察がマークしていた要注意人物であり、フランクは彼に罪をなすり付けようと企む...
サイレント映画として制作を始めたが、途中でトーキーになったということで、サイレント的な演出と、トーキー的な演出が混在することになってしまい、統一感がないということになってしまったのは不幸であったが、ヒッチコック作品を見るというのであれば抑えておきたい1本である。
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