「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その18) [ケータイ刑事]
「ゲストキャラにおける類似点」の5回目となる今回のテーマは「使用人(執事)」です。尚、ここで言う使用人とは、会社の従業員や組織の使い走り(部下)、弟子や助手などを言うのではなく、富豪の使用人や執事のことを指すものとする。
「執事」と言えば大富豪とか名門の家柄が頭に浮かぶが、「007」においては、野望を抱く大富豪(=ボンドのターゲット)が何人かいる。一方、「ケータイ刑事」においては、ちょっと変な家柄の人間ということになる。(こういう対照的な関係になるのもまたおもしろい所である。)
「007」:オッドジョブ(「ゴールドフィンガー」)黒のモーニングとシルクハットという強烈な個性の持ち主である彼は、主人である大富豪・ゴールドフィンガーに仕えていて、通称「よろず屋」と呼ばれていて、執事であると同時に用心棒である。(用心棒は他の作品にも多数登場するが、執事として色々とゴールドフィンガーの世話をしていたので、「用心棒」ではなくて「執事」として扱う。)彼と言えば、何といっても鋼鉄製のツバをもつシルクハットを投げてフリスビーのように使いこなして人を殺すという技がある。(ゴルフ場で彫像の首を切り落としました。)用心棒としてもがっちりとした体格で、ボンドを窮地に陥れている。最期はボンドとの対決で感電死しました。
「007」:ニックナック(「黄金銃を持つ男」)黄金の銃を持つ殺し屋・スカラマンガに仕える彼は小柄な男(「恋日・ニュータイプ」の伝説の超能力者・みのる(の若い頃)を思わせる所があります。)であるが、実に忠実な執事として働いていた。料理が得意でスカラマンガの食事の世話をするだけでなく、主人に試練を与えるパートナーとしてもその役割を果たしていた。ピーナッツが大好きという彼は、主人(スカラマンガ)が倒された後も単独でボンドに挑んで主人の仇を取ろうとした忠実な男であった。(結局、小柄という体格で、ボンドに鞄の中に詰め込まれました...)
「007」:チャン(「ムーンレイカー」)人類抹殺と新人類による新世界を夢見る大富豪・ドラックスに仕える使用人である彼は、用心棒という役割も担っている。おかっぱ頭に口髭を蓄えたその風貌は武術の達人という雰囲気があり、実際、剣道の達人である。執事としてはティータイムのお茶を入れるというようにドラックスの日常生活の世話をしている。ボンドの始末を命じられ、結局は返り討ちにあって時計台から転落死したが、貴重なベネチアン・グラスのガラス製品を派手にぶっ壊していたのが印象に残ってます。
尚、不思議なことだが、ここで取り上げた3人はいずれもが東洋人である。(西欧では、東洋人と言えば使用人という感覚があるのでしょうか?)
「ケータイ刑事」:猫屋佐助(「愛・11話」)古くから続く二重橋家の執事である彼は、現在の当主である82代目の博胤(ひろつぐ)を幼い時から大切に育てた男であり、日常生活の世話をしていた。(しかも、屋敷から一歩も外に出さずに育てたというのは、ある意味凄いことでもある。)が、戦後の財閥解体以降、火の車である二重橋家の家系を内職をして支えていた。また、作る料理はミックステイストとはいうものの、お金を掛けずに高級料理もどきの料理を作るというのは、これもある意味では料理の腕があるということになる。公園で瀕死の状態で発見され、病院に搬送され、一命を取り留めたのが不幸中の幸いであった。
「執事」とは、事務を取り仕切る人、身分の高い人の家や寺社で家政や事務を執行する人のことである。尚、日本史を紐解いていくと、鎌倉/室町幕府には「執事」という役職があった。(詳しくは日本史を調べてみましょう。)
「007」の執事が全て東洋人だということで、「ケータイ刑事」の執事も日本人なので、全員が東洋人という共通点があるが、ここではそれは「共通点(類似点)」としては取り上げないことにする。(何せ、後発の「ケータイ刑事」の舞台が日本であることから、これは当然のことですから...)「執事」ということもあって、主人の身の回りの世話をしている、という共通点があるが、これは設定から当然である。が、奇しくも全員が食事(1人はティータイムですけど...)に関する世話までしているという共通点がある。そもそも、大富豪や名家であれば、執事以外にも料理人を抱えていてもおかしくなく、食事は料理人が作るというのが普通である。それが執事が料理までするということは、人員不足(これは秘密漏洩防止という目的があって多くの人員を使わない(「007」)のか、単にお金が無くて人を雇えない(「ケータイ刑事」)という事情の違いはありますけど...)だということでもある。(→この「料理まで」というのが「共通点/類似点」ということになる。まあ、キャスティングで人を絞らなければならないという事情もあるのでしょうけど...)
違いは、「007」の方は「用心棒」という主人のボディガードの役割も背負っているが「ケータイ刑事」ではそこまでは背負っていない。(そもそも、屋敷の中に閉じこめているので、ボディガードの役割をする者が必要ない...)→これは作品世界を考えたら当然ですけどね...
次回は、「ゲストキャラにおける類似点」の6回目となるが、ネタはたっぷりとありますから、何を取り上げるかは来週のお楽しみに。(このテーマでの連載はまだまだ続きます。)
↓参考まで
マンガ 日本の歴史〈18〉建武新政から室町幕府の成立へ (中公文庫)
- 作者: 石ノ森 章太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1997/10
- メディア: 文庫
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