「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その24) [ケータイ刑事]
今回はボンドガールとクイーンの1回目として「殺されるヒロイン」ということで述べる。(ボンドガールは「007」の華ですし、クイーンも今では「ケータイ刑事」の華ですし、キャラの位置づけは似ています。)
「007/ボンドガール」には色々なタイプがいる。時の流れとともにそのスタイルも変化しているが、昔も今も、製作年に関係なく、最終的に死んでしまう「悲劇のヒロイン」という言葉が当てはまるボンドガールが何人か存在している。また、「ボンドガール」を幅を広く解釈すると(メインのボンドガールだけでなく、ボンドに絡んでくる女性までを含める)と、悪の側のヒロインで、任務に失敗してボスに消されてしまったり、任務に失敗してボンド(またはボンドの協力者)に倒されるという死に方をする者と、悪の側のボスに無惨にも殺されてしまう者とがいる。(メインのボンドガールで死亡したのは、「女王陛下の007」のトレイシー(テレサ)と「カジノ・ロワイヤル」のヴェスパーの2人だけである。)
一方、「ケータイ刑事/クイーン」については、殺されるクイーン(被害者)と、殺すクイーン(犯人)の両方のクイーンがいる。(被害者でもなく、真犯人でもないというようなクイーン、すなわち、容疑者となるが、実は無実だった、というクイーンは存在していない。)
「ボンドガール」と「クイーン」は物語の中で同じような役割を担っていて、その生死まで含めて大きな看板の一つになっている。で、今回はそういうボンドガールとクイーンの中から「殺される」というキャラクタに絞って、それらの類似点について述べる。
「ケータイ刑事」:クイーン。事件の被害者として殺されたクイーンは(現時点(「海・2nd.5話」時点まで))「泪・1st.1話」のかるたクイーン・荻野姫子、「泪・2nd.1話」の鼻タレ・クイーンの荻野花子、「零・1st.1話」の数学クイーン・広中数子、「零・2nd.2話」のダイエット・クイーンの細井美々華、「海・2nd.1話」のピアノ・クイーンの宝積有香子の5人である。(記す必要もないが、演じたのは全てクイーン女優の宝積有香さんである。)初登場となったかるたクイーンは和服姿で登場し、放送も正月と言うことで華やいだ雰囲気もあった。(しかし、この時はクイーンがこんなにも大きな看板になるとは思わなかったものでした。)が、数学クイーンは最初に登場したときから死んでいましたし、ピアノ・クイーンも、「クイーンの歌」のPVがあるとはいうものの、殺された姿でのみの登場と言っても良い状況になっていた。殺され方も、毒殺、絞殺、撲殺など、色々な殺され方をしている。(「鑑識柴田の歌」に出てくる「悩殺」による死体を一度見てみたいものです。)
「007」:ボンドガール。死亡した(メインの)ボンドガールはこれまでに2人いるが、「殺された」ということでは「女王陛下の007」のトレイシーのみと言って良い。彼女はボンドと結婚式を挙げ、新婚旅行に出たが、プロフェルドに襲われて、ブロフェルドの配下のイルマ・ブントの放った機関銃の弾を喰らって殺されてしまった。(ボンドは無事だった。)これは結婚式を挙げて僅か数時間後のことであり、ボンド夫人として生涯を閉じたが、あまりにも悲しい最期であって、悲劇のボンドガールの代名詞になっている。
また、サブのボンドガールで殺されたのは、「ゴールドフィンガー」のジル・マスターソン、「007は二度死ぬ」のアキ、「黄金銃を持つ男」のアンドレア、「トゥモロー・ネバー・ダイ」のパリスという名前が浮かぶ。アキはボンドの暗殺の場にいて、結果的にはボンドを助ける形になり、殺されることになった。(毒殺でした。)それ以外の3人はいずれもが敵の親玉の怒りを買って殺された。怒りを買った原因は、いずれもがボンドと接したことでボンドに何らかの協力をして、ボスにはそれが「裏切り」と受け取られてしまい、始末されてしまった。(とくにパリスはボンドの元恋人でもあった。)そんな中でも、ジルは全身に金粉を塗られて死んでいたが、あまりにも美しい肢体、もとい死体であり、その美しさと悲劇性の両面で「007」における最も美しい死体とされている。
ヒロインに悲劇的なドラマを設けることは決して珍しいことではない。と言うよりも、ただ美しいだけというヒロインでは支持されない。悲劇的なドラマを背負うことで広く支持されることになる。が、「007」ではメインのボンドガールではなくてサブのボンドガールが悲劇的な部分を背負うというのが本流である。(メインとなるボンドガールは、やはり最後まで「華」となることが求められるため、将来はともかく、とりあえずはボンドと良い関係で終わる必要がある。)
一方、「ケータイ刑事」では、ほぼ毎回殺人事件が起こるので、男女ともに色んな人が殺される。当然、どの事件でもそれぞドラマを背負っている。が、殺されるクイーンも、そういう中の一人であるのだが、クイーンが登場するのは節目となる物語(主に「第1話」)であるので、毎回の被害者よりも「華」となることが求められる。それは物語上の悲劇的な役割を担ったり、作品に花を添える形の美の役割を担ったりというように1つではない。そのため、より輝くキャラとなるために、サービス・ショットとなるものが加わったりする。(とくにピアノ・クイーンがそうでした。)
ということで、これらに共通しているのは、「華のある死に方」をしているという点である。(「華」とは色んなものがあるが、最低でも死んでいる姿が画になる必要がある。→その代表はジルとかるたクイーンでしょう。)
違いは、これもまた色々とある。一番大きいのは、演じている女優さんが、「007」では全て別の人が演じているが、「ケータイ刑事」では一人だということであろう。(一人で演じているからこそ、「クイーン」も「ケータイ刑事」の看板の一つになったということもできますけど...)キャラクターとしても、それぞれのクイーンやボンドガールには「女性」ということ以外は共通するような所はないので、「共通点」はおろか「類似点」すらない。よって、違いだらけである。
が、そういうキャラクターであるが、「華のある死に方」をするという共通点があるということが「驚くべき点」なのである。
次回は、「ゲストキャラにおける類似点」の11回目であるが、今回の続きで「ボンドガールとクイーン」の2回目ということになります。
↓今回述べた物語が収録されているDVD(「銭形海」は未発売なので省略です。)
↓「007関係」
007 トゥモロー・ネバー・ダイ アルティメット・エディション
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2006/11/22
- メディア: DVD
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