「横溝正史シリーズ ~犬神家の一族(全5話)」 [ドラマ]
WOWOWが放送している名作ドラマ「テレビ黄金時代」の「橫溝正史シリーズ」。5つ目のエピソードとなる「犬神家の一族」の放送がデジタル192chの方で終了したので、それについて記します。
このTVシリーズは1977年の作品であり、前年の1976年に石坂浩二が金田一耕助を演じた劇場版が製作されている。(市川崑監督作品)それは146分である。また、そのリメイクで2006年にも市川崑監督+石坂浩二の金田一耕助で製作されている。(こちらは135分である。)が、TVシリーズで全5話となると、230分を越える時間となり、劇場版よりもたっぷりと時間があることになる。よって、描写がより深くなり、人物をたっぷりと描くことが出来るようになる。が、冗長度も上るので、無駄な部分も多くなるのもまた事実である。また、全5話と言うことになると、第1話は「起承転結」の「起」、最後の第5話は「結」ということになり、4話までの展開は、事が起こり、人が殺されるというのが定時制を持ったイベントのようになってしまい、リズムが同じになってしまう。毎週見ていくというのであればともかく、続けて見たら、逆に違和感を感じてしまうのは、これまでのエピソードと同じである。
そんな中、この物語の第1話は事件の「起承転結」の「起」であるが、物語の背景説明に費やされていて、「起」の序章という感じというスローな展開であった。30年前の作品だからこういうことも出来たのだろうが、現在のドラマだったら、冒頭の10分に詰め込んで語りきってしまうであろう、というものである。が、このゆっくりしたペースが長閑な田舎を舞台にした物語という雰囲気を盛り上げてくれて、ゆっくりしたペースに引き込んでくれる。(が、第1話は第2話まで続けて見た方がいいですね。兎に角、第1話だけだったら長い前説という感じですから...)
第2話からは、順番に1人、また1人と殺されていくが、この辺りは誰が殺されても大差はないところである。で、「起承転結」の「承」の部分が続くことになる。「転」になるのは第4話からであるが、ある意味では第5話が「結」であるため、それに合わせたという感じもしないでもない。で、第5話は「結」であり、事件の真相について、たっぷりと時間を使って語られる。
30年前の作品だと感じられる所がもう1点ある。それは被害者の造形である。被害者の生首や首無し死体が出てくるのだが、その出来が、遠くから見ても(=画面に小さく、引いて映っているだけでも)明かに作り物というような出来であり、生首の顔も別人に見える。首無し死体の方は重量も軽いということまで伝わってくるような出来である。(こういう所はC級という感じです。)が、ツッコミ所として捉えるのが良いでしょうね。
物語の方は、劇場版をはじめ、TVムービーとしても製作されたこともあり、有名な物語であるので、特に述べることはしなくてもある程度はご存知でしょう。(あの、ゴムマスクの男が登場するのが、本作「犬神家の一族」です。)
ただ、1つ前のエピソードであった「悪魔の手毬唄」(全6話)はある程度編集し直して、時間を短縮して詰め込んだ方が良かったと感じたが、本作「犬神家の一族」については、全5話・4時間弱を大きく短縮させる必要はないですね。まあ、OPやEDの部分を含めてまとめ直すとしても、200分ぐらいにする程度で良いと思われる。(OP/EDを除いたドラマ部分ではせいぜい1割程度をそぎ落とす程度という計算になる。)
来週から放送される第6のエピソードは「不死蝶」(全3話)です。が、来週にその第1話が放送されるが、その後は2週続けてお休みとなって、新年になってから第2話と第3話が放送される。→放送の日程上、仕方ないとは言っても、これだったら新年から放送を始めた方がいい気がするのですけど...(まあ、ういうものです、)で、「不死蝶」について記すのは1月の真ん中頃ということになります。(アナログWOWOW(=191chと同一内容)の放送は、2月に入ってからとなります。)
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