「THE DAY OF THE LOCUST」 [映画(洋画)]
表題の作品は1975年のアメリカ映画「イナゴの日」である。1930年代のハリウッドの裏側にスポットを当てた小説の映画化作品であり、傑作として名高い映画「真夜中のカーボーイ」(1969年)の制作、監督、脚本のトリオが再び組んだ問題作である。
作品データを記しておくと、時間は143分、原作はナサナエル・ウェスト、監督はジョン・シュレシンジャー、脚本はウォルド・ソルト、撮影はコンラッド・L・ホール、衣装デザインはアン・ロス、音楽はジョン・バリーである。そして出演は、ドナルド・サザーランド、カレン・ブラック、ウィリアム・アザートン、ボー・ホプキンス、ジェラルディン・ペイジ、バージェス・メレディス、リチャード・A・ダイサート、ナタリー・シェイファー、レリア・ゴルドーニ、ニタ・タルボット、デニス・デューガン、ジャッキー・ヘイリー、たちである。
時は1938年、大学を卒業してある大手映画会社の美術部に就職したトッドは東部からハリウッドにやってきた。とりあえず安アパートに住むことになったが、彼は向かいに住むエキストラ女優で、いずれはスターになることを夢見ているフェイに夢中になる。が、フェイは気のある素振りを見せるものの、体は許さなかった。一方、仕事の方は順調なスタートを切ることが出来た。
そんな中で、フェイの父がセールス先の家で倒れ、引き取りに来たフェイはその家の住人・ホーマーに強烈な印象を与え、ホーマーはフェイの気を引こうとし、父のために何かとやるようになる。ある日、新興宗教の教祖に祈祷してもらうようにするが、フェイの父は死んでしまう。これを契機に、フェイとホーマーは同棲を始めるが、フェイのやることについて行けず、田舎に帰ることを決意する。サンセット・ブルーバードでは映画のプレミアが行われていて、数多くの群衆が集まっていた。そんな中、故郷に帰るホーマーだったが、そこでなじられると怒りが爆発、少年を踏み殺してしまい、群衆は暴徒となってホーマーにリンチを叫ぶ。その後継を見たトッドは、その狂乱騒ぎが、いつしか映画で描きたいと思っていた作品のスケッチとダブっていた...
前半はそうでもないが、クライマックスに向けて異様なまでに盛り上がっていき、群衆シーンの迫力は凄いが、ちょっと怖さも感じる。ここに来るまでのエピソードでも、それなりの怖さが陰にあるのだが、クライマックスでその思いを強烈に残すのは圧巻でもある。
本作はラブ・ストーリーでもあり、夢を実現しようと頑張る青年の物語でもあるのだが、群衆シーンの迫力が余りにも強烈であり、タイトルにあるように、それがイナゴの大群のように見え、見終わった後にも尾を引いて、とても重苦しいものになってしまう。(だからこそ「問題作」と言われるのですけどねぇ...)ということで、見るからには覚悟をしてから見るようにしましょう。
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