横溝正史シリーズ ~仮面舞踏会(全4話) [ドラマ]
KBS京都の1月放送作品は「仮面舞踏会」でした。本放送は1978年6月ということで、やはり30年以上が過ぎている。ただ、この作品はこれまでの作品の様に映画化はされておらず、1978年のドラマを含めて2度のTVドラマしか映像化作品が無いという貴重な作品でもある。→事件の動機や、金田一のトリック解明で「色盲」ということが深く絡んでいるだけに、専門的な知識がないと、今ひとつ分かりにくいということ、また、こういうものはとても扱いにくいということもあるのでしょうね...
物語は全4話と言うことなので、時間としたら約3時間ということになるだけに、じっくりと描かれている。(これが「横溝正史シリーズ」の魅力の一つである。)最近のドラマにはない緻密な描写と、細かい拘り、そしてじっくりと人物描写がされているということで、下手な映画よりもよく出来ているのはこの作品も同じである。
ストーリーは、銀幕の大スター・鳳千代子が、5人目の結婚相手として飛鳥忠煕と熱愛中、過去の4人の夫の中の1人で、3人目の夫が殺されるという事件が発生、飛鳥が金田一耕助にその事件調査を依頼したところから始まる。更に、鳳千代子の4人目の夫、最初の夫、2人目の夫も次々に殺されていく。それには鳳千代子の過去が絡んでいて、千代子の娘・笛小路美沙と千代子の母(美沙の祖母)、更には千代子のマネージャーなどが絡んでいく。また、それらとは一見無関係と思われる所で、ある若い男女が心中しようとして、金田一が助け、男だけが生き残るが、その彼も一連の事件に絡んでいくことになる。
真犯人を解いていくのも、色々とミスリードを誘い、最終回の後半になって一気に分かるということで、なかなか凝った内容になっていて、たっぷりと堪能できた物語でした。ただ、真犯人の死体移動について「火事場の馬鹿力」ということで片付けてしまったのは納得いかない所である。これを何らかのトリックを使って、それを金田一が暴くということにしたら、もっと良くなったでしょうね。(この部分がマイナス点である。)
それにしても、村地弘美さんがあまりにも美しく、最終回での変わりようは凄いものを見せてくれました。彼女の好演が、事件のトリックのマイナス点を穴埋めしてくれました。
2月の放送は、全3話の「夜歩く」と、4週目は全4話の「仮面劇場」の初回ということで、いずれもがあまり映像化されていない作品ということなので、いずれもが貴重な放送です。(「夜歩く」は1978年7月後半から8月頭、「仮面劇場」は1978年9月後半から10月に放送された作品であり、いずれもが「横溝正史シリーズⅡ」で放送された作品です。)ということで、次に記すのは3週後の「夜歩く」が終わった時になります。
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