「GOOD MORNING BABILONIA」 [映画(洋画)]
表題の作品は1987年の「グッドモーニング・バビロン!」である。映画草創期のハリウッドで、映画の父と呼ばれるD・W・グリフィスの超大作「イントレランス」のセット建設に参加したイタリア人の兄弟職人の姿を描いた人間ドラマである。
作品データを記しておくと、時間は118分、原案はロイド・フォンヴィエール、監督と脚本はパオロ・タヴィアーニとヴィットリオ・タヴィアーニの2人、脚本協力にトニーノ・グエッラ、撮影はジュゼッペ・ランチ、音楽はニコラ・ピオヴァーニである。そして出演は、ヴィンセント・スパーノ、ヨアキム・デ・アルメイダ、オメロ・アントヌッティ、グレタ・スカッキ、マルガリータ・ロサーノ、チャールズ・ダンス、たちである。
1910年代のイタリア・トスカーナ地方。中世イタリア・ロマネスク様式の奇跡の聖堂の修復が完成し、除幕式が行われて披露される。この仕事をしたのはボナンノ・ボナンニ親方の最後の仕事だった。彼は今後の判断を7人の息子たちに任せて、自分は引退を決める。下の2人の息子。ニコラとアンドレアは、家業を続けるように主張し、修行の意味でアメリカに渡ることになる。アメリカに渡った2人だったが、仕事は簡単になかった。そんな中、サンフランシスコ万博でイタリア館の建築に向かう一行と出会い、それに同行した2人。そんな中、映画「イントレランス」を手がけることになったD・W・グリフィスは、イタリア館を建てた棟梁たちをスタッフに加えるように指示をする。ニコラとアンドレアは棟梁になりすましてハリウッドに行き、美しいエキストラのエドナとメイベルと知り合う。彼女たちはエキストラとしてではなく、踊りをデモンストレーションする。ニコラとアンドレアも棟梁として認めてもらおうとするが、若すぎるとして認めて貰えなかった。落胆する2人はメイベルとエドナに励まされ、それぞれ愛し合うようになる。兄弟は小さな仕事を次々とこなしていき、奇蹟の聖堂のイメージを蘇らせた象を作り上げた。これがグリフィスに認められ、「イントレランス」のセットを作る仕事に就く。で、ニコラとエドナ、アンドレアとメイベルは一緒に結婚した。その宴席にイタリアからボナンノが来ていた。が、ボナンノは聖堂作りのための出稼ぎで、ハリウッドで働くためではないとして、グリフィスに敵意を見せる。これにグリフィスは、かつての聖堂作りが今の映画作りだと語るのだった。やがて、「イントレランス」は完成したが、世論はアメリカの参戦を求めていて、反戦映画の「イントレランス」に対する風当たりは厳しかった。そんな時、エドナとメイベルは子供を産むが、エドナは死んでしまう。ニコラは絶望して大戦中の国に戻り、戦場に向かったが...
本作を見るには、D・W・グリフィスの「イントレランス」に関する予備知識が必要である。(知らなくても問題はないが、知っていると一段と本作を深く堪能することが出来る。)「イントレランス」は1916年のグリフィス監督作品で、サイレント映画である。映画の表現技術を駆使した超大作であり、4つの物語が平行して展開される一大スペクタクル巨編である。特に、バビロンのセットは余りにもスケールが大きいことで知られている。が、アメリカでは興行的に失敗し、超大赤字を出し、セットの解体費用も無く、廃墟のように数年間放置されることになり、伝説になった。(尚、欧州では高く評価されて、興行的には成功した。)
歴史に残る作品である「イントレランス」の舞台裏が描かれているということで、映画ファンにとっては必見の作品であるが、人間ドラマとしてもじっくりと描かれている作品であり、兄弟の絆の深さもじっくりと描かれていて、見応えのある作品である。
尚、「イントレランス」に関しては、難解な作品という評価もあるが、セットの豪華さ、映像表現、メッセージのいずれも映画史に高く評価されているだけに、折りがあれば見ることをお薦めする。(但し、3時間を超えるという長時間というのが辛い所ですけど...)
↓これも拾っておきます。
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