ゴルゴ13#45 [アニメ]
今回の物語はじっくりと見せる物語で、ターゲットを狙うチャンスは10時間に一度で、その間ずっと狙い続けていなければならないというものでした。動きも少なく、登場人物も最小限に絞られているため、ストーリーの真価が問われる物語でもありました。(こういう物語は、実はもの凄く難しいものである。)ただ、偶然の一瞬という唯一のチャンスに賭けるというのは、今ひとつ納得がいかない所もありましたけど...
フランスの厳重な刑務所に服役している囚人・カルロンテの殺害依頼を受けたゴルゴ。チャンスは、カルロンテのいる独房に通じる2つの扉が同時に開き、しかもカルロンテが独房の小窓の前に立っているという3つの条件が重なった時だけで、10時間に一度しかない。そのためゴルゴは10時間も同じ姿勢で狙い続けていなければならなかった。が、10時間も同じ姿勢で射ると、筋肉が固まってしまい、動きが鈍くなってしまう。ということで、ゴルゴはスポーツ医学者に接触して、筋弛緩剤を使うことにした。ひたすら、同じ姿勢で狙撃のチャンスを待つゴルゴ。何だかんだで、その唯一のチャンスに狙撃を行ったゴルゴだったが、同じ姿勢で長時間いたことで、体の動きが鈍くなっていた。で、スポーツ医学者が筋肉マッサージをして、体をほぐしてくれることになっていて、再びスポーツ医学者と接触する。が、医学者はゴルゴだということを知り、運動能力が低下しているゴルゴを倒す絶好の機会として、ゴルゴを襲った。が、ゴルゴは何とか身を躱してスポーツ医学者を仕留めたのだった...
ゴルゴの仕事に関しては、動きが無く、じっと唯一のチャンスを待ち続けるということで、描くのが難しいだけに、依頼人がゴルゴに依頼した時、その動機をじっくりと描いたが、これが瓢箪から駒となって、依頼人のドラマを描くことが出来たので、ある意味では思い入れの出来る物語となった。
一方、ゴルゴの抹殺をと考えたスポーツ医学者であるが、運動能力が落ちているということからの油断と慢心があって、結局は失敗して返り討ちに、というのも、物語としたら良くできていた。
登場人物が少ない物語は、登場キャラの背景をじっくりと描くことが出来るだけに、脚本の出来不出来が物語に直結するのだが、なかなかいい感じにまとまっていました。
尚、本作はアニメであるが、実写ドラマでも登場人物が少ないものは同じことが言える。無駄なキャラクターが多数登場していて、それらのキャラが物語に上手く絡まず、単に時間を潰しているだけとなってしまって物語が上手く描けていない駄作が多いが、ストーリーがじっくりと練られていたら、登場人物が少ないことはハンディとはならず、逆にメリットにもなる。そういうことを教えてくれた物語でもありました。→登場人物が少ないと、人件費を抑えることが出来るだけに、製作費の抑制も果たせる。が、そのためには脚本の出来不出来が作品を決めてしまう。不況で製作費削減が行われるであろうこれからのドラマであるが、今回の物語はそういう場合の教科書となる物語でもありました。(今回の物語と、BS-iドラマ(低予算作品であるが、それを逆に利用して、傑作が多く生まれている。)は今後のドラマの方向性を示すという点で、製作者側には学ぶべき所がたくさんある。また、見る側も、華やかさだけに捕らわれる表面的な見方ではなく、物語の内容や演出を楽しむことを知る良いお手本ということになる。)
↓この物語は「SPコミック111巻」に収録されています。
↓参考まで
↓低予算作品でも特に傑作が多い「恋日」シリーズ。
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