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横溝正史シリーズ ~夜歩く(全3話) [ドラマ]

KBS京都の2月放送作品は全3話の「夜歩く」と全4話の「仮面劇場」の初回である。で、「夜歩く」の方が終了したので、この作品に付いて記します。

「夜歩く」は横溝正史作品の中でも、映像化されたのは少ない作品である。(2回だけ。)本作は初めての映像化ということで、1978年7月(下旬)から8月(上旬)に放送された作品である。但し、原作に登場する一部を割愛し、オリジナルの部分が付加されている物語である。

今回は全3話ということで、ドラマの時間としたら130分強ということで、やや長めの映画1本分という時間ということもあって、全4話の物語と比べると、冗長度が低くなっていて、最初の事件から次々と事件が起こり、3回目の後半から金田一が一気に解明するという構成でした。1回少ないだけで、定期的に事件が起こるという印象は薄くなっているが、3回に分けているということで、新たな殺人事件が定期的なイベントのように感じてしまうという所はありましたけど...

「夜歩く」というのは、夢遊病のことを指していて、これが事件に関わっているということになっているが、実際は夢遊病を装ったトリックだったということで、これは上手い使い方をしていた。

また、この物語は、金田一が戦地で生死を共にくぐり抜けた戦友の屋代寅太が絡んでいるということで、意外と知られていない金田一耕助の姿が見られるというのは、面白い所でした。→金田一は負傷して、逃げることを諦め掛けるが、屋代が金田一を救い、窮地をくぐり抜けたということで、屋代がいなければ、名探偵金田一耕助は誕生せず、無言の帰国をしたことになっていました。

事件は、金田一が戦友・屋代寅太が下働きをしている古神家を訪れ、その翌日、古神家の離れで首無し死体が発見されたことから始まる。殺されたのは古神八千代の恋人・蜂屋と思われたが、どうも違うらしい。八千代は夢遊病ということで、犯行時刻のアリバイが無く、しかも現場にいたらしい。ということから、謎が謎を呼んでいき、第二の殺人が起こる。更には八千代も殺されてしまって...

結局は、屋代寅太の復讐劇だったという事件だったが、人物描写が出来ていないことから、その動機にしても今ひとつ伝わってこないのが残念でした。

キャストの方は実に濃い顔ぶれが揃っていて、村井国夫、岸田森、清水紘治、伊藤雄之助、谷隼人たちということで、誰もが怪しく、物語の方は濃密なものに出来るのに、個性が強すぎるキャラクターを生かすことが出来ない展開というのは辛いところである。また、ヒロインとなる八千代を演じた范文雀も、個性豊かな濃い顔ぶれの男優陣の前には、完全にかみ合うことがなく、浮いてしまっている。そして、八千代が殺されてからは、物語に華という存在が無くなり、あとは余りにも濃すぎるキャラの前にそれなりの決着を付けただけということで、消化不良でした。

物語の本筋から離れた所には、いくつかの面白いことがあったのだが、肝心の事件の方に不気味さや謎めいた恐怖というのが無かったことが致命的でした。

次回からは全4話の「仮面劇場」と言うことになります。この作品もボロクソに言われている作品であるが、普段の金田一耕助とは違う姿が見られるという所だけが楽しみです。やはり、「横溝正史シリーズ」も終盤になってくると、傑作と言われる作品のドラマ化は終わってしまい、色々と映像化するには難しい作品ばかりとなってしまい、苦労したようです。

全4話ということなので、4週後に記す予定です。

 

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