「HAMLET」(1964) [映画(洋画)]
今回も映画「ハムレット」であるが、今回は1964年のソ連映画の「ハムレット」である。ソ連映画というと、あまり入ってこないが、文芸大作と呼ばれる作品は結構映画化を行っている。(やっぱり、冷戦で対立していた西側に、映画の方でも対抗しようとしていたのでしょうか???)
作品データを記しておくと、時間は150分も白黒作品である。原作はウィリアム・シェイクスピア、監督と脚本はグリゴーリ・コージンツェフ、撮影はヨナス・グリッツィウス、音楽はドミトリ・ショスタコーヴィチである。そして出演は、インノケンティ・スモクトゥノフスキー、アナスタシャ・ヴェルティンスカヤ、ミハイル・ナズバーノフ、エルザ・ラジン、ユーリー・トルベーエフ、イーゴリ・ドミートリエフ、たちである。また、本作はヴェネチア映画祭で審査員特別賞を受賞している。
本作はソ連映画ということで、言語はロシア語である。「ドクトル・ジバゴ」の原作者であるボリス・パステルナークが関わってロシア語の台詞を作成している。
物語は、シェイクスピアの「ハムレット」をよりドラマチックにしたものであり、正統派の「ハムレット」である。(そのため、ストーリーの方は省略します。)また、当時は1948年のイギリス映画「ハムレット」と比較されたが、部分的にはそちらを上回る評価をされた作品でもある。
ストーリーの方を知っていても、本作の演出はかなりドラマチックになっていて、「悲劇」をよりいっそう盛り上げた演出は見事である。2時間半という長尺であるが、時間のことは全く気にならないで、作品世界にのめり込んでしまう。が、ストーリーを知らないという人だったら、ちょっと凝りすぎているという印象を受け、時間の方も長いと感じるかも...
ということで、本作は、シェイクスピアの初心者には向かない作品であり、ある程度シェイクスピア作品を知っている人が見る作品であると言える。(最低でも、「ハムレット」のストーリーを知っていないと、本作は見ない方が良いでしょう。)この辺りは、ソ連でも有名なシェイクスピア研究家としても知られるグリゴーリ・コージンツェフ監督らしいところである。
本作を見るには、原作の戯曲を読んでから、または1948年のローレンス・オリヴィエ作品の「ハムレット」を見た後にするべきである。それにしても、ソ連からも凄い映画が生まれるものですね。
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