「THE KING OF COMEDY」

表題の作品は1983年のアメリカ映画「キング・オブ・コメディ」である。タイトルから判断して、笑えるコメディ作品だと判断したら、完全に肩すかしを食らうことになる。1976年の「タクシードライバー」のスコセッシ＝デ・ニーロのコンビによる作品で、社会風刺を行ったブラックな笑いはあるが、現代社会の怖いところを感じさせる作品である。

作品データを記しておくと、時間は109分、監督はマーティン・スコセッシ、脚本はポール・D・ジマーマン、撮影はフレッド・シュラー、音楽はロビー・ロバートソンである。そして出演は、ロバート・デ・ニーロ、ジェリー・ルイス、ダイアン・アボット、サンドラ・バーンハード、シェリー・ハック、トニー・ランドール、エド・ハーリヒー、フレッド・デ・コルドヴァ、たちである。

尚、シェリー・ハックはTVシリーズ「チャーリーズ・エンジェル」の第4シーズンの新エンジェル・ティファニーを演じたあの人であり、TV出演が多い彼女にとったら、数少ない映画出演作ということになります。

TVの人気コメディアン・ジェリー・ラングフォードがいつものように収録を追えて出てくると、いつものようにファンが取り囲んでいる。リムジンに乗り込むジェリーだったが、ルパート・パプキンという男もリムジンに乗り込んできた。ルパートは自己紹介して、「自分もジェリーのようなコメディアンになりたい」と話すが、こういう話にはジェリーはうんざりしていて、オフィスに電話してくれと片付けた。家に帰ったルパートは人気コメディアンになった自分の姿を想像していた。そんなルパートは、高校の同級生で、今はバーテンダーをしている憧れのリタにそのことを話し、週末にジェリーの別荘に行く約束をした。翌日、ジェリーのオフィスに電話したルパートだったが、取り次いで貰えず、直接事務所に押しかける。やっと秘書のキャシーと会うが、デモ・テープをということで、用意するが、ボロクソに言われる。らちが明かないことからルパートは趙クセルジェリーに会おうとするがつまみ出される。で、リタとジェリーの別荘に行くが、そこでルパートは、「連絡してくれと言ったのは、追い払いたかったから」と言うことを知り、遂にある計画を立てることにした。それはジェリーを誘拐し、ジェリーの代わりにルパートをTVに出演させる、というものだった。で、ジェリーを白昼堂々と誘拐し、オフィスに要求事項を伝えた。FBIが捜査を開始していたが、ジェリーの安全のための手立ては無く、その夜のTV番組にルパートを出演させた。それが終わるとFBIの捜査員たちと一緒にジェリーを隠している家に向かう。途中で、リタのいるバーに寄り、TVの放送で自分の姿を確かめていた。で、ジェリーは介抱され、ルパートは逮捕され、懲役6年の刑に服することになる。ルパートは服役中に、この出来事を回想録として執筆し、「一夜だけの王様」というタイトルで出版される。この本はベストセラーとなり、2年9カ月後に釈放されたルパートはTVに出演することになった。

自分の夢を実現するために常軌を逸した行動をする男の物語であるが、そこまで駆り立てるものがあるというのは凄さと怖さを感じさせてくれるのだが、劇中に登場する人気コメディアンりジェリーのネタや、誘拐までしてTVに登場したルパートのネタはつまらないものであって、観客が喝采するのが理解出来ない。（ジェリーが人気コメディアンというのも「どうして？」と感じさせてしまう。→かつての人気コメディアンが落ちぶれているという方がピッタリなんですけど...）→この辺りが、アメリカで大ヒットしたコメディでも日本ではヒットしない原因の一つであり、日米の言葉や文化の違いがあるということですね。

ということで、今一つ、物語に入って行くことが出来ない作品である。が、人気者を取り囲むファンの熱狂する姿の方がよりリアルに感じられる。まあ、見方を変えて楽しむので良いんじゃない、という作品である。

 

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