野球狂の詩#13「北の狼・南の虎(前編)」 [アニメ]
今回の物語は、メッツのエースである火浦と、タイガースのスラッガー・王島の物語である。実はこの2人は双子であるという秘密があり、全く異なる環境で育ったという過去がある。(別々に拾われたから、「火浦」「王島」というように苗字も異なっている。)そんな2人がプロ入りしてライバルとして戦っていくという人間ドラマでもある。(但し、前編ではそこまで描かれておらず、高校時代の2人がそれぞれ注目される選手ということで描かれているに過ぎない。)
前後編になっているが、確かにこの物語では90分から100分程度の劇場版が作れるだけの内容はあるでしょうね。
前編の物語は火浦を中心にして、彼の高校時代が描かれ、サイド・ストーリーという形で王島も描かれる。火浦については、北海道で活躍する火浦の通う白大雪高校が北海道大会で優勝して春の甲子園への出場を決めるが、火浦の父がヤクザであることから、理事会が、学校の名前が傷つくとして手を回す。で、校長が火浦に、父がヤクザをやめるように説得させる。最初は突っぱねていた火浦の父だったが、火浦の夢が甲子園ということで、杯を返して組を止めることを申し出る。リンチに遭うも全く無抵抗のままで、「辞める」と貫き通し、死亡してしまう。その頃、火浦自身は野球部を辞めてきて帰宅したが、待っていたのは父の遺体だった。で、事情を知った火浦は、父のドスを手に殴りこみをかけ、組長を斬り、警察に逮捕されてしまった。
王島の方は、阿蘇高校のスラッガーとして九州大会で活躍し、優勝して甲子園出場を決定させる。が、練習中に投球を頭に受けて、医者に診て貰うが、無事だった。(前編では余り描かれていないが、後編への伏線はしっかりと用意されている。)
浪花節の世界で育った火浦と、何一つ不自由のない環境で育った王島。前編だけではこの2人がどういう繋がりがあるのかが分からないのだが、実に上手い対比で描いている。この2人が運命の糸で結びついているように後編では絡んでいき、互いにプロ野球に入って行くことになるのだが、前編では2人のプロ入りまでの背景をたっぷりと描くことに絞っている。このため「野球狂の詩」の中では異色と言える人間ドラマを中心とした展開となっているが、それだけ良くできた物語である。(ただ、部分的には、いくら何でも行きすぎていると感じさせるところがありますけど...)
物語の中のエラーは、あるにはあるのだが、まあいつものような類のもの(スコアボード関係)である。が、今回はしっかりとした人間ドラマがあり、その前では殆ど気にならなくなってしまいます。(元々、野球のシーンも少ないですし...)
次回は、この続きとなる後編で、甲子園で活躍した王島と、服役することになって忘れ去られた火浦がプロに入り、1年目のシーズンで新人王を争うことになる。これに二人が双子ということが分かって...という物語となり、2人の対比が上手く昇華する物語である。
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