ROBERTA FLACK『FIRST TAKE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1969年に発表された彼女のデビュー・アルバムである。彼女は何と言っても1973年の大ヒット曲『やさしく歌って』(原題:Killing Me Softly with His Song)で知られているが、本アルバムはデビュー・アルバムとして彼女のキャリアがスタートした原点でもある。ただ、ジャズ系のシンガーとしてR&Bの要素を取れ入れているということで、'70'sのヒット作とは少し毛色が違っているアルバムである。
本アルバムは1969年のリリース時にはそれほど大きなヒットにならなかったが、1971年製作の映画「恐怖のメロディ」(原題:PLAY MISTY FOR ME、クリント・イーストウッドの初監督作品で主演も務めたサスペンス映画である。)に、『The First Time Ever I Saw Your Face』(邦題:愛は面影の中に)が使われたことから、本アルバムが売れ始めるようになり、1972年の4月最終週から5月にかけて、全米アルバム・チャートを5週連続1位を獲得している。最初にリリースされたが1969年6月だったので、リリースから約3年かかってNo.1となった。しかし、チャートインしたのは英が主題歌として使われてからのことなので、チャートインしてからNo.1獲得までは3年弱という時間はかかっていない。
収録曲は以下の全8曲である。『Compared To What』『Angelitos Negros』『Our Ages Or Our Hearts』『I Told Jesus』『Hey, That's No Way To Say Goodbye』『The First Time Ever I Saw Your Face』『Tryin' Times』『Ballad Of The Sad Young Men』。
アルバムリリース時の1969年にシングル・カットされたのは『Compared To What』であるが、チャートインを記録していない。が、1972年になって、映画主題歌と言うことで『The First Time Ever I Saw Your Face』がシングル・カットされて、6週連続1位の大ヒットとなって、1972年のBillboard年間シングル・チャートでも1位に輝いている。また、イギリスでも最高位14位を記録している。(彼女は3曲の全米No.1ソングを放っているが、最初のNo.1ソングでもある。)
本アルバムからのお薦め曲は、全米No.1ソングの『The First Time Ever I Saw Your Face』もあるが、『Compared To What』『Angelitos Negros』『Tryin' Times』という所をピックアップしておくことにする。
全体的にはジャズのテイストがベースにあって、そこにR&Bやソウルのエッセンスが散りばめられているという内容であるが、歌が上手いことで安心して鑑賞することが出来るボーカル・アルバムとなっている。デビュー当時には殆ど陽の目が当たらなかったアルバムであるが、映画主題歌になったことで注目されると、全米No.1の座を獲得するアルバムになるのだから、完成度が高く、音楽的なクオリティも高かったことも証明されたことになる。(完全に後追いという形でしたけど...)ボーカル・ファンであれば、聴いておきたいアルバムの1枚である。
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