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名曲探偵アマデウス#51 フォーレ「レクイエム」 [ドラマ]

今回取り上げられたのはフランスのフォーレの「レクイエム」でした。毎回楽しい所を魅せてくれるカノンさんに負けないように、今回は所長の「ムーンウォーク」が冒頭ではかっさらっていきましたね。でも、カノンさんは「バッタの後ろ歩き」と言っていましたけど...

それにしても、所長のいないところでは実にのびのびとしているカノンさん。所長が商店街の会合でいないとなると、気分は名曲探偵になっている所は楽しいところです。が、所長が戻ってきて、いつもの掛け合いが始まり、忘年会の演し物として所長は「ムーンウォーク」の練習をということで、それをやってみせる。確かに、どのようにやればいいのかという説明としては分かりやすい所長のムーンウォークだが、余りのぎこちなさに「バッタの後ろ歩き」と言うカノンさん。いつもながら適切な表現であって、上手く言いあらわしています。

そんな所に依頼人がやってきて、カノンさんの背後から目隠しをする。カノンさんはいきなり「酒くさ」、そして「餃子も食べてる」と、敏感に反応して、ストレートに口にするのは素直で正直ですね。

依頼人はリストラされると思い、聴いておけと言われたCDを示すが、それがフォーレの「レクイエム」ということで、リストラで首を切られる自分に対する当てつけと思っていて、かなり荒れている。(こういう依頼人というのは今までになかったですね。)が、ある意味では自由奔放なカノンさんに慣れている所長は対応が上手く、自分のペースに巻き込んで、曲の説明を始める。→こういう所は所長らしいところで、名曲探偵と言うよりも人生相談のプロらしいところでもあります。

曲の説明を始めると、カノンさんはいきなり「お経みたい」と、これもまた実に上手い表現で感じたことを口にするが、本当に表情豊かですね。

依頼人は、自分がリストラされると決めつけているだけに、探偵事務所を酒場と勘違いしているところがあって、カノンさんに出された水を口にして「水じゃない」と言ったり「酒はないの」と言ったりしていたが、カノンさんは「お店じゃないんですけど」とか「すいません」と謝ったりで、大変です。が、影で色々とやっていて苦労しているという所は依頼人と共感できるところがあるようで、それが表情に出ていたのは面白い所でした。

今回は、楽器でバイオリンビオラの違いについての説明があったが、見た目は殆ど同じであるこの両者。ビオラの方が一回り大きいのだが、クラシック(楽器)に明るくないと違いが分からないこれらの楽器を上手く解説していて、音の違いを聴かせてくれたのは分かりやすかったですね。特に大きくなるとそれだけ音に厚みが出て。これが落ち着きや安心感を与えてくれと言うのは良く分かるところでした。

所長の説明が進んで行くが、依頼人は自分がリストラされると決めつけているだけに、かなり頑固な所を魅せていて、更に不満をグタグタと言っている。そして常務のことを「あのデブ常務のエロチョビレ!」と言っていたが、カノンさんがこれに対して「エロ常務のデブチョビレじゃなかったですか」と返すのは面白い所でした。→カノンさんも所長に対して少なからず不満が溜まっていることでしょうから、ここぞとばかりに依頼人に便乗していたのかも...???

冷静な所長は、次第に依頼人の真の姿を見抜いていき、頑固な依頼人の心を解かしていくのが上手いですね。で、ヴェルディの「レクイエム」の「怒りの日」を持ってきて、「レクイエム」の特徴を語るが、話の進め方が上手いです。

この所で、依頼人が「私は天国、(カノンさんに向かって)あんた地獄」と毒づいていたが、カノンさんの反応は面白かったです。(が、依頼人の気持ちを逆立てるようなことをしないのは流石です。)

で、「レクイエム」に於ける「怒りの日」の解説があって、ヴェルディ、モーツァルトの「レクイエム」と共に説明してくれるのも、違いがよく分かる説明となっていました。

最後の曲の説明に入る前も尖っていた依頼人だったが、所長の話の仕方は上手く、それに呼応するかのようにカノンさんが「みんなを苦しみから解放する天使ってこと」と口にしたのは、やっぱり所長の助手らしいところで、やっぱり黄金コンビと感じさせてくれるところでした。

それにしても、依頼人の携帯の着メロがベートーベンの「運命」というのも面白いところでした。で、依頼人に電話が入り、常務が「リストラというのは誤解で昇進だよ」と言うと、依頼人の表情が一変してあかるくなったが、カノンさんばりに豊かな表情を見せていました。で、カノンさんの言葉を受けて「私はみんなを幸せにする天使なんだから」と言って、帰って行くが、誤解が解けると全く別人のような笑みを浮かべていたが、少し前までは会社を首になる、と思い詰めていた人物とは思えませんね。そして「探偵さん、お嬢さん、ありがとう」とお礼を言うと帰って行った。(飲み会の席に戻って行った。)ということで、所長の人生相談は、今回もお見事でした。

今回のドラマ部分は34分弱、曲の演奏は9分半弱、ラストのオチが1分弱という構成であり、ドラマ部分がやや短く、曲の部分が長かったですね。(とは言っても、10分に満たない時間では全曲とはならず、ダイジェスト的になるのは仕方のない所ですけど...)

また、曲の最後の所で、映像はフォーレが「1924年11月4日 79歳で永眠」と出て、フォーレの国葬となった時の写真や、葬儀に関して触れていたが、この部分で作曲家の生涯が語られたというのは珍しいですね。

ラストのオチの部分は、外から帰ってきたカノンさん(髪型も服装も、依頼人が着ていた時とは変わっている。)が今回の依頼人からの手紙を手にしていて、あの後、依頼人は常務と意気投合して、来年の春に結婚することになった、と所長に報告する。が、所長は相変わらずムーンウォークの練習をしている。(冒頭の時よりは確かに上達しています。)で、「今度こそ出来た気がする」と言って、披露する。(確かに、それなりに見えるが、でもまだまだ固いですね。)カノンさんは「流石所長!」と持ち上げていて、その気になった所長は「もう一回やってみよう!」これにカノンさんはカメラ目線で「私も天使」と言ってウインクしていた。→そう言えば黒川さんはNHKのドラマ「天使みたい」(2003年)に主演していましたね。(再放送して欲しい作品の一つなんですよね...)二役を演じていて、カノンさんのように豊かな表情をたっぷりと魅せていた作品でした。

今回は所長がムーンウォークでかっさらったということになったが、カノンさんは今回の依頼人と同様で縁の下の力持ちという立場として、物語の筋に上手く合わせた役割を見せてくれました。依頼人の気を帰るきっかけになったキーワード「天使」といい、所長を持ち上げるところといい、名曲探偵にはカノンさんの存在は、やはり無くてはならないものですね。

次回(来週12/13)も15分繰り下がって20:15からのスタートです。次回はファイルNo.052の武満徹「ノヴェンバー・ステップス」です。(日本人の曲というのは初めてですね。)そして12/20は年内最後の放送となって、ファイルNo.053のパガニーニ「24の奇想曲」です。年明けは今年のようなスペシャルは無くて、1/17までオアズケとなり、1/17のファイルNo.054のブラームス「交響曲第1番」から再開となります。

 

フォーレ:レクイエム

フォーレ:レクイエム

  • アーティスト: フォーレ,コルボ(ミシェル),コルボ(アンドレ),ベルン交響楽団,コルボ(フィリップ)
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/06/21
  • メディア: CD

フォーレ:レクイエム

フォーレ:レクイエム

  • アーティスト: フォーレ,小澤征爾,ジュリーニ(カルロ・マリア),ボストン交響楽団,フィルハーモニア管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2006/11/08
  • メディア: CD
フォーレ:レクイエム

フォーレ:レクイエム

  • アーティスト: クリュイタンス(アンドレ),フォーレ,ピュイグ=ロジェ(アンリエット),パリ音楽院管弦楽団
  • 出版社/メーカー: TOSHIBA-EMI LIMITED(TO)(M)
  • 発売日: 2007/06/20
  • メディア: CD
フォーレ:レクイエム(再プレス)

フォーレ:レクイエム(再プレス)

  • アーティスト: コルボ(ミシェル),フォーレ,ベルン交響楽団
  • 出版社/メーカー: WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M)
  • 発売日: 2008/01/31
  • メディア: CD
フォーレ:レクイエム

フォーレ:レクイエム

  • アーティスト: コルボ(ミシェル),フォーレ,ローザンヌ器楽アンサンブル
  • 出版社/メーカー: エイベックス・クラシックス
  • 発売日: 2005/11/16
  • メディア: CD
フォーレ:レクイエム

フォーレ:レクイエム

  • アーティスト: ジュリーニ(カルロ・マリア),ラヴェル,フォーレ,ノイマン(ホルスト),ファレル(ティモシー),フィルハーモニア管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2005/09/07
  • メディア: CD
フォーレ:レクイエム

フォーレ:レクイエム

  • アーティスト: クリヴィヌ(エマニュエル),フォーレ,国立リヨン管弦楽団,ジル(ジャン=ルイ)
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2002/06/21
  • メディア: CD
フォーレ:レクイエム&歌曲集

フォーレ:レクイエム&歌曲集

  • アーティスト: フォーレ,小澤征爾,オリヴァー(ジョン),ボストン交響楽団,ジョーンズ(ウォーレン)
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2007/11/07
  • メディア: CD
フォーレ:レクイエム/ペレアスとメリザンド

フォーレ:レクイエム/ペレアスとメリザンド

  • アーティスト: フォーレ,デュトワ(シャルル),モントリオール交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2009/05/20
  • メディア: CD
フォーレ:レクイエム

フォーレ:レクイエム

  • アーティスト: クリュイタンス(アンドレ),フォーレ,ピュイグ=ロジェ(アンリエット),パリ音楽院管弦楽団
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2002/03/06
  • メディア: CD
フォーレ:レクイエム

フォーレ:レクイエム

  • アーティスト: フォーレ,ジンマン(デイヴィッド),フルネ(ジャン),ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2005/06/22
  • メディア: CD
↓2003年の黒川芽以さん主演の「天使みたい」の原作です。(残念ながら、ドラマの方はソフト化されていません)

天使みたい-ガールフレンズ 1 (クイーンズコミックス)

  • 作者: 山下 和美
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/06/19
  • メディア: コミック

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