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名曲探偵アマデウス#52 武満徹「ノヴェンバー・ステップス」 [ドラマ]

今回取り上げられた曲は武満徹「ノヴェンバー・ステップス」だったが、日本人の曲が取り上げられたのは初めてのこととなりました。(日本人だって取り上げられて当然です。)

今回はカノンさんのセーラー服姿というのが見所であり、お楽しみでした。(ふせえりさんもセーラー服を着ていたが、こちらに関しては言及しないことにしておきます。)また、今回は久しぶりに「ケータイ刑事」を思い出させてくれる要素がいくつか出てきました。(シリーズ全体のものと、ちゃん、ちゃん、ちゃんに繋がる事柄です。)

曲の解説の所では、尺八と琵琶という日本の楽器についての説明がしっかりとあったが、いつもながら親切で分かりやすいですね。

冒頭の導入部では、所長が事務所に戻ってくると、「変なおばさんがいた」と言い、そのおばさんが依頼人としてやってきた。四角四面子(よすみ・しもこ)が依頼人であるが、こういう名前を付けるというのは「ケータイ刑事」のノリがあって楽しい所です。しかも、数学教師ということで、性格の方も答えを出さないと気が済まないようで、数学教師のイメージそのままというキャラでした。途中でメモを取りながらというのも性格が出ていたところですね。

で、中学校で音楽教師が産休となって代わりに音楽の授業を行うことになった。(鑑賞授業を行うことになった。)鑑賞授業ということへのカノンさんの反応は「曲聴いて、適当に感想文書いて終わりでしょう。楽でいいじゃないですか」と、凄いことを言ってくれます。当然四面子はそんな訳にはいかない、と言う。が、鑑賞曲を聴くと気分が悪くなり、どういう授業をしたらいいのか分からないという。しかも、授業は今日(あと3時間23分)ということだった。→残り時間も1分単位で細かいのはやっぱり性格ですね。課題曲が武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」ということで、所長は引き受けた。

いつものように、曲を聴いてみて、それから入って行く。カノンさんが「音楽というより、効果音みたいな...」ということから「クラシック?」ということに「現代音楽」と所長。で、「こんな風に授業をしてみたらどうですか」ということで、カノンさんと四面子がセーラー服姿で、所長が先生となって学校の授業となる。で、メロディ、リズム、ハーモニーが無いと先生。この時、カノンさんを宛てるのは楽しそうだったが、四面子を宛てるときは仕方なさそうだったのが面白い所でした。

で、「トーンクラスター」の説明に。ここでバイオリンの実演を聴きながらの説明があったが、こういうのって、本当に分かりやすい所です。その場にいたら、もっと立体的に音が動いていることも分かったでしょうね。

そして、この説明が終わって四面子が黒板に数学的に表現したと言って数式を記すが、カノンさんが「全然分かりません」と言うと、カチンと四面子。更に「詩で表現するのはどう」と言って詩的に表現するが、「わたあめ」「肉まん」「アンパン」「モンブラン」と、食べ物ばかりが登場していたが、やっぱり大食いの銭形泪ちゃんを意識しているように感じますね。が、四面子は「それじゃあ全然ダメ。それじゃあ国語の授業です」と全否定するのは、先ほどのお返しで、面白い所です。(が、そんなことにカノンさんはめげない。)

続いて、この曲では2つの特別な楽器が使われている、ということで、尺八と琵琶という日本の伝統楽器について語られる。ここでは、尺八ならではの表現として「むら息」を、琵琶ならではの表現としては「さわり」の説明が行われるが、それがどういうものなのかの実演しながら説明されるので、よく分かりました。で、西洋の音では雑音とされるがも日本では重要とされる、という相違点がはっきりしていて面白い所です。

で、四面子は「図で表せる」と言って「楽音」「西洋楽器」「邦楽器」を集合の図で表すと、ちょっと自慢げな表情を見せ、「答えが分かった」と言ってそれを口にする。で、それを言い終わると「Q.E.D.」と続けた。→ちゃんの妹・銭形零ちゃんの口癖が登場しました。

しかし、所長は「それは大きな間違いです」とあっさりと否定してしまった。で、武満徹についての説明となる。(NHKドラマなどでの音楽担当をしていたこともあって、その作品が画面に出てくるのはNHKらしいところですね。)そしてこの曲の初演の時の秘話も語られました。

更に、四面子は気持ちの悪いところがあり、楽譜にある回路図のような所は何かと問うで「図形楽譜です」と所長。で、「図形楽譜」についての説明が行われる。ここでは尺八と琵琶の指示の例をいくつか取り上げると、琵琶の演奏と図形楽譜を重ねて説明されるが、説明が分かりやすいですね。

で、カノンさんは「絵で表現すればいい」と言って、黒板に絵を書く。「トーンクラスターの雲」「尺八の風」「琵琶のカミナリ」ということで、ここでは従姉妹のちゃんを思い出させてくれました。これに所長は「おお、分かりやすい」と口にしたが、四面子は「ダメダメダメ。それじゃあ美術の授業です」と、本当背細かい性格が出ていて楽しませてくれました。

授業まであと45分となるが、授業を何で締めくくったらいいのか分からない、という四面子。そこにカノンさんが曲名についてを問う。で、これについての解説となる。(四面子は「ノヴェンバー」→「11」→「素数」ということで、本当に数学教師らしいところでした。)

ここでは武満徹と親交のあった小室等も登場していたが、作曲者が日本人であり、最近まで存命だった(1996/2/20に亡くなった。)人物ということでもあり、いつもとは少し違っている所でもありました。

で、いくつもの解釈が出来るということで「正解はない」となる。これに四面子は数学教師らしい所を見せるが、所長は「授業で大切なのは、正解を教えることではなく、何を感じるのか考えさせることではないでしょうか」と、今回は人生相談ではなくて教育評論家になっていました。カノンさんも「感じたことをそれぞれのやり方で表現させたらどうでしょう」と良いことを言うが、「例えば料理を作るとか」と続けると「それは家庭科ですね」と、やっぱり四面子は否定する。しかし、所長が「身体で表現するとか」とカノンさんの援護射撃を口にする。しかし「やっぱり体育でしょう」と四面子。すると、「従来の音楽の枠に捕らわれず、自分が感じた音の世界をこの曲に表現した。あなたの授業もそうあるべきだ」と所長。で、教師が答えを出さなくていい、そのプロセスが授業、と四面子は理解すると、授業をどうしたらいいのかが、わかり、慌てるようにして帰って行った。

今回のドラマ部分は35分半強、曲の演奏は約7分、ラストのオチが1分半弱という構成であって、ラストのオチの部分がいつもよりも長くなっていました。しかし、この時間では全曲とはならず、ダイジェスト的になっていました。(和楽器である尺八、または琵琶を中心とするハイライト部分と、再びオーケストラに広がっていく終結部分)

ラストのオチの部分は、数日後、事務所に来た四面子の手紙を読むカノンさん。四面子は、授業を音楽室ではなくて屋上で行ったことを報告していた。また、「追伸」ということで、四面子は、自分もおめでたと言うことが判明した、と記していた。すると所長は「じゃあ、気持ち悪かったのはつわり」と口にした。

今回は依頼人の性格は色濃く出ていて、理系人間と、所長とカノンさんの文啓コンビとの対比が面白く、また、所長とカノンさんの息のあったコンビネーションも見られました。やっぱり所長とカノンさんは黄金コンビという所を見せてくれました。

また、今回のカノンさんの衣装は、ユニオンジャックをデザインしたものを着ていたが、この部分だけはもっと日本を意識したデザインの方が良かったようにも感じました。

次回(来週12/20)も15分繰り下がって20:15からの放送ですが、本年最後の新作ということになります。で、ファイルNo.053のパガニーニ「24の奇想曲」です。(去年の年末ラストがファイルNo.023だったから、本年の新作はちょうど30本ということになり、何だかんだで半年で15本というペースを守っていますね...)尚、年明けの新作は1/17の放送となり、ファイルNo.054のブラームス「交響曲第1番」の登場です。1/24は何かの再放送のようで、ファイルNo.055は1/31となり、ラヴェルの「マ・メール・ロア」です。→3月末まででファイルNo.060までということでしょうから、2月の新作が3本、3月は2本というところですかね...

 

武満徹:ノヴェンバー・ステップス

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  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2002/06/21
  • メディア: CD

武満徹 : ノヴェンバー・ステップス / ア・ストリング・アラウンド・オータム / 弦楽のためのレクエイム 他

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武満徹:ノヴェンバー・ステップス

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武満徹 : ノヴェンバー・ステップス

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  • 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1995/05/25
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武満徹:ノヴェンバー・ステップ

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ノーヴェンバー・ステップス~日本の管弦楽名曲集

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武満徹:ノヴェンバー・ステップ

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↓一応これも...(相棒が全て高村さんということにしてみました。)

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