UB40『SIGNING OFF』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1980年に発表された彼らのデビュー・アルバムである。彼らは、レゲエがまだジャマイカの音楽としてしか知られていない時期(アメリカではレゲエを取り入れていたバンドはあったが、純粋な意味でのレゲエはジャマイカのミュージシャンを除いては殆ど無かった。)に取り上げて、世界的にレゲエを広める役割を果たすことになり、レゲエの、ひいては'80's後半のワールド・ミュージックのブームを生むことに貢献するのだが、そんな彼らの記念すべきアルバムである。当時、アメリカでは注目されることもなかったが、イギリスでは最高位2位を記録する大ヒットとなった。
収録曲は以下の全13曲である。『Tyler』『King』『12 Bar』『Burden Of Shame』『Adella』『I Think It's Going To Rain Today』『25%』『Food For Thought』『Little By Little』『Signing Off』『Madam Medusa』『Strange Fruit』『Reefer Madness』。
この中からシングル・カットされたのは『King』であり、イギリスでは最高位4位を記録する大ヒットになって、レゲエのブームを巻き起こすことになった。また、ニュージーランドでは1位を記録しており、オーストラリアでは36位を記録している。
お薦め曲は、シングル・ヒットの『King』と、『Tyler』『12 Bar』『Food For Thought』『Little By Little』、そしてアルバム・タイトル・ナンバーである『Signing Off』をピックアップしておく。
ゆったりとしたレゲエのリズムが不思議な安心感を与えてくれていて、心を癒してくれる。アルバム全体を通して落ち着いた独特のリズム感が安らぎを与えてくれる。当時はディスコ・ブームの後で、パンクやニューウェーブの方に注目が集まっていたが、レゲエをルーツとする2トーンなども生まれていて、ゆったりとしたレゲエ独特のサウンドもメインストリームとは異なる所で求められていたため、ヒットに繋がった。
本アルバムには、ディスコ・ミュージックなどに見られる早いリズムの世界とは全くことなるゆったりとした時間が流れている。また、レゲエであると言っても、彼らのサウンドは純粋なレゲエではなくて、ポップなテイストに仕上げられている。それだけに、とても聴きやすいものとなっていて、安らぎを与えてくれている。(ヒットするのも納得できる所である。)
世界的に彼らが注目されるのはもう少し時間がかかることになるが、記念すべきアルバムであることは変わらない。後のレゲエ・ブーム、ひいてはワールド・ミュージック・ブームの先駆けとなったアルバムとして聴いておきたいアルバムである。
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