「THE PLAGUE OF THE ZOMBIES」 [映画(洋画)]
表題の作品は1965年のイギリス映画「吸血ゾンビ」である。怪奇映画を大量に制作したことで知られるハマー・プロの作品であり、ゾンビが登場する映画としては古典ということになる。野田のホラー映画では、ゾンビが暴れ回るというのがパターンであるが、本作はそういうイメージが定着する前の作品であって、ゾンビを作る恐怖が描かれているので、後の「ゾンビ」などのイメージは忘れましょう。
作品データを記しておくと、時間は91分、監督: ジョン・ギリング、脚本はジョン・エルダー、撮影はアーサー・グラント、音楽はジェームズ・バーナードである。そして出演は、アンドレ・モレル、ダイアン・クレア、ブルック・ウィリアムズ、ジョン・カーソン、ジャクリーン・ピアース、アレックス・デヴィオン、マイケル・リッパー、たちである。
イギリスのコーンウォール地方で不思議な疫病が流行して多くの人々が死んでいった。ということで、医師のピーターは師であるフォーブス教授に助けを求めた。で、教授は娘のシルビアと共にピーターの元にやってきた。教授は調査をするために、死者を解剖しようとして、墓を掘ったが、どの墓も棺の中は空っぽであった。まもなく、教授は、村の近くに住む地主のクライブの土地で、人間の死体が歩いていたこと、クライブは長い間南米・ハイチに住んでいたことを知る。教授はハイチの原住民の間に伝わるブードゥー教の書物を読み始めた。そんな中、クライブがシルビアを訪ねてきて、シルビアの手首に傷を付けて血を採っていった。その夜、シルビアは何者かに誘われたように家を飛び出し、クライブに連れて行かれた。教授は書物から、クライブがゾンビを作り出していると考え、ピーターと共にシルビアの救出に向かう。シルビアは廃坑の中で、クライブによってゾンビにされようとしていた。そこに現れたピーターとフォーブス教授は、シルビアを助け出し、廃坑を爆破してクライブの野望を潰すことに成功した。
現在では、ゾンビに関する情報もある程度知られるようになっているため、ゾンビが暴れるようなホラー作品ではないということで期待外れという声が出そうであるが、ゾンビに関しての情報がまだ乏しかった本作公開当時のことを考えると、本作は「ゾンビ」というものを紹介している作品ということになる。言い換えると、本作によって「ゾンビ」というものがしられるようになったからこそ、後の映画「ゾンビ」(1978年)をはじめとする数多くのゾンビ映画が、細かい解説をしなくても恐怖映画として物語に入っていくことが出来るのである。ということで、「ゾンビ」についての知識を得たいという方には、教科書になる作品である。
また、「ゾンビ」の教科書というような作品であるが、そこはホラー映画をたくさん手掛けているハマー・プロの作品ということで、派手なモンスター映画では無いが、恐怖を描くテクニックは流石であって、恐怖映画としてもなかなかのものに仕上がっている。(モンスターやスプラッターという要素は無いですが...)
本作は、「ゾンビ」の古典作品ということで、基礎知識を得ようという方の教科書とするのと、ハマー・プロの作品のファンにとっては見ておきたい作品である。また、恐怖演出を学びたいという方も見ておいた方が宜しいかと...
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