「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その151) [ケータイ刑事]
今回はシチュエーションということで、「逃走」というテーマとして記します。取り上げる物語は「ケータイ刑事」からは「泪・2nd.5話」と「海・2nd.9話」の2本を、「007」からは「サンダーボール作戦」です。
「ケータイ刑事」:「泪・2nd.5話」。「盗まれた李の秘宝? ~銭形泪探偵団VS怪人十面相事件」という物語である。「ケータイ刑事」ではお馴染みのキャラとなった怪人十面相(後は八面相、六面相、5面相、3面相と名前を変えての登場でしたけど...)の初登場となった物語である。この物語までの「ケータイ刑事」では、犯人は全て逮捕されていて再登場も無かったのだが、怪人十面相はまんまと逃走することに成功して、再登場することになるだけに、この物語はシリーズの中でも革新的な物語であったということにもなる。よって、この物語で逃走するのは怪人十面相である。
李の三宝を巡って、泪ちゃんとの勝負は1勝1敗(3つの内、1つは泪ちゃんに絡まないところで先に盗むことに成功している。)だった怪人十面相。泪ちゃんに正体を見抜かれ、手錠が掛けられた怪人十面相だったが、(手錠を掛けられた)手が抜けて逃走する。当然、泪ちゃんたちは直ぐに後を追った。
が、逃走することには慣れている(?)のか、怪人十面相は素早く逃げて行く。で、泪ちゃんたちが追いかけて建物が出てきた時には、怪人十面相は2階のバルコニーに立っていて、泪ちゃんたちを見下すように立っていた。
怪人十面相は泪ちゃんに「名探偵・銭形泪さん。」と言って語り始める。勝負は1勝1敗だったということだったので「いつの日かあなたに勝ってみせる。傷つけられた怪人十面相の名誉を挽回させるためにもね」と、再び挑んでくるようなことを言う。(しかも、泪ちゃんのことを「名探偵」と言って認めている。)しかし泪ちゃんも負けていない。「傷つけられた名誉ですって。本物の名誉には傷なんて付かない。ダイヤモンドのようにね。あなたの名誉はひっかかれれば簡単に傷が付くニセモノよ!」と、見事に切り返した。すると怪人十面相は笑いながら「これは威勢の良いお嬢さんだ」と言い、「銭形泪さん、戦いはまだ始まったばかりですぞ」と、更なる挑戦をほのめかす発言をした。が、次の犯行予告などは続けて語らずに、「さらばだ」と言い、煙幕が上ると姿を消した。まさに煙のように決めてしまった。(逃走に成功した。)
尚、怪人十面相は、この物語で2つの顔がバレたと言うことから、次に現れるときには「怪人八面相」に名前を変えた。(律儀にも「10-2=8」ということです。)が、それは泪ちゃんに対しての再戦ではなくて零ちゃんに対して(「零・1st.4話」)であった。
「ケータイ刑事」:「海・2nd.9話」。「恋愛泥棒現る! ~謎の怪盗予告事件」。この物語は怪盗マリンの初登場となる物語である。シリーズでは怪人十面相に続いて2人目となった逃走に成功したキャラクターとなった怪盗マリンであるだけに、この物語で逃走したのは怪盗マリンということになる。(「命」で再登場して、そこでも逃走した。)
伊勢屋質店にある「クレオパトラの涙」というお宝を狙った怪盗マリンは周到な準備をしてそれを手に入れる。が、海ちゃんに正体を見破られ、逃走する。クレオパトラの涙は怪盗マリンの手にあり、追いかける海ちゃんたち。質屋の蔵から表に出てきた海ちゃんたちだったが、見失ってしまった。海ちゃんは背後に視線を移すと、蔵の上に怪盗マリンの姿があった。怪盗マリンは笑い声を挙げると「私は恋愛泥棒マリン。以後、お見知りおきを」と挨拶をする。海ちゃんは「恋愛泥棒マリン。あなたが盗んだのは、クレオパトラの涙だけじゃない。あなたを好きな伊勢さんの心まで盗んだ。人の心を弄んだ」と返した。怪盗マリンは伊勢屋の主人を本気で好きになりかけたと告白するが、「恵まれない子供たちに愛の手を。それが私の願いよ」と言うと両手で投げキッスをした。すると怪盗マリンの前で白煙が立ち上がり、煙と共に怪盗マリンの姿は消えてしまい、逃走に成功したのだった。
この後、怪盗マリンは恵まれない子供たちに3億円を寄付した、ということを知った五代さんは、怪盗マリンが盗んだクレオパトラの涙を金に変えたことを知った。海ちゃんは怪盗マリンの目的が分からなかったが、「いずれ分かるでしょう」と、意外とあっけらかんとしていた。
尚、怪盗マリンは「命・9話」に再登場するが、その時も狙ったお宝を奪って逃走に成功している。(換金して寄付している。)
「007」:「サンダーボール作戦」。1965年のシリーズ第4作。(初代の4作目。)当初、この作品がシリーズ第1作になる予定であったが、権利の関係で映画化できず、「ドクター・ノオ」がシリーズ第1作になった。また、イオン・プロが関与していない「ネバーセイ・ネバーアゲイン」は本作のリメイクであるが、これはこの作品の権利だけはイオン・プロが持っていないためである。
冒頭の部分で、ボンドはフランスにあるジャック・ブヴァール大佐(実はスペクターのNo.6である。)の屋敷に潜入して大佐の暗殺を行った。(当然、任務です。)で、スペクターの兵士たちがボンドを追う。ボンドは逃走を試みて屋敷の屋上を走った。しかし、追っ手がボンドを追ってきて銃を撃つ。そんな中、ボンドはヘルメットを被るとジェット・パックを背負った。(これは「秘密兵器」ということになるが、実際に開発されて実用化されたものでもある。但し、装備されていても危険が多いということで殆ど使われていないというのが(当時の)実情であった。また、1984年のロス五輪の開会式に登場したロケットマンはこれを使って空中飛行をしていた。→1965年製作の本作当時は「秘密兵器」ということが出来るが、1984年では実用化されているものということになる。また、2002年のシリーズ第20作の「ダイ・アナザー・デイ」では改良型のジェット・パックが登場している。)
ボンドはジェット・パックを背負って用意が出来るとスイッチを入れた。すると煙を吐いてボンドは空に飛び上がった。追っ手たちはこれに驚き、呆然となる。銃を撃つが、それは虚しいものとなった。
ボンドはそのまま空中飛行をして追っ手から逃れて逃走するが、ジェット・パックの飛行可能時間はそれほど長くなく、屋敷の表に駐めてあるアストン・マーチンの元に行く程度であった。そして底に着陸すると、待機していたフランス支局の協力者のマドモアゼル・ラポルトと合流した。
しかし、追っ手たちは再び追ってくる。ボンドは使用したジェット・パックをアストン・マーチンのトランクに積み込むと、アストンマーチンに乗り込んだ。追っ手は銃を撃ってくるが、ボンド・カーのアストン・マーチン(DB5)には色々と秘密の装備がある。まずは防弾パネルを上げて追っ手たちの銃撃をかわし、続いては放水銃で追っ手たちを一掃した。追っ手達はボンドに、ジェット・パックの煙に包まれて逃げられ、更には水煙に包まれて撃退され、ボンドは(ラポルトと共に)逃走に成功した。
共通点は、逃走する際、煙を残して逃走に成功したということである。(逃走には色々な方法があって、闇に紛れて何も残さないで逃走するという方法や、派手なカーチェイスの末に降りきって逃走するということもあるのに、ここでは全てで「煙」を利用しているというのが驚くべき共通点ということになる。
相違点は、「ケータイ刑事」では主人公サイドではなく、犯人が逃走することに成功したが、「007」では主人公側の、しかも主役であるボンドが逃走したということである。また、「ケータイ刑事」では「煙幕」という言葉があるように、煙を利用して姿を消したが、どのように姿を消したのかは不明であるが、「007」では「煙に巻く」という言葉(この言葉は「煙」を使って、ということではありません。(念のため))があるが、追っ手を惑わせるというのに煙を利用したということでした。
次回は、ある物ということで記す予定です。何が登場するのかはお楽しみに。
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