BENJAMIN ORR『THE LACE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1986年に発表された彼の唯一のソロ・アルバムである。'70's終盤から'80's前半にニューウェーブのバンドとして活躍したTHE CARSの中心的メンバーの一人であり、ベースとボーカルを担っていた彼(2000年に亡くなっている。)の発表した唯一のソロ・アルバムである。サウンドの方は聴きやすいロック・チューンを集めていて、親しみの持てるものである。尚、本アルバムはBillboardのアルバム・チャートで最高位86位を記録している。
収録曲は以下の全10曲である。『Too Hot To Stop』『In Circles』『Stay The Night』『Skyline』『When You're Gone』『Spinning』『Hold On』『The Lace』『That's The Way』『This Time Around』。
この中からシングル・カットされたのは2曲である。『Stay The Night』と『Too Hot To Stop』であるが、いずれもがBillboardのT 100にはチャートインせず、っく・チャートで前者は最高位6位、後者は最高位25位を記録しただけであった。(THE CARSの全盛期のようなヒットにはならなかった。)
お薦め曲は、シングル・カットされている『Stay The Night』と『Too Hot To Stop』の2曲と、『In Circles』『When You're Gone』そしてアルバム・タイトル・ナンバーでもある『The Lace』をチョイスしておく。
日本ではTHE CARSはニューウェーブのバンドとしての認識はあるものの、今一つ人気がないのだが、アメリカでは'80's前半に大ヒット曲を連発していただけに、人気が高いバンドの一つであって、日米での温度差の大きいバンドの一つでもある。THE CARSのサウンドは何でもありというものであって、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさがあるのだが、色んなことをやり尽くして燃えつきたようになってしまい、本ソロ・アルバムがリリースされた直前のTHE CARSは勢いを失っていた。そんな時期にソロ・アルバムを発表した彼であるが、THE CARSでの特徴的なボーカルの延長線上にあるものであるが、やはり何かすっきりしない所が感じられるのが残念な所であるものの、サウンドの方は十分楽しめるものである。全体的にも聴きやすいナンバーであるため、'80's前半から中期のアメリカン・ロックに親しんでいれば、違和感なく受け入れられるものである。
ということで、THE CARSのファンや'80's(前半)のアメリカン・ロック・ファンであれば抑えておきたいアルバムである。
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