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「日本女侠伝」(その4) [映画(邦画)]

今回は1970年のもう一本の作品であるシリーズ第3作についてです。

シリーズ第3作日本女侠伝・鉄火芸者
作品データを記しておくと、1970年の東映京都の作品で、時間は100分、監督は山下耕作、脚本は笠原和夫、撮影は古谷伸、美術は富田治郎、音楽は木下忠司である。そして出演は、藤純子、菅原文太、佐々木愛、弓恵子、伴淳三郎、曽我廼家明蝶、高宮敬二、安部徹、藤山寛美、山下義明、毛利清二、古城門昌美、正司照江、小島恵子、上岡紀美子、榊浩子、玉川良一、山本麟一、唐沢民賢、萬代峰子、藤岡重慶、たちである。

子どもの頃、自殺しようとした時に見ず知らずの通りすがりの男に助けられた恩が忘れられず、それから10年が過ぎた現在でもその男のために操を立て通している辰巳芸者の小しず。偶然にも彼女がその男・小林勇吉と巡り会った。それは小しずは、年に一度行なわれる羽織会の留め務めることになり、それを父親のように慕っている米問屋の浅井喜一郎に報告しに行った時のことだった。一方、勇吉はやくざになっていて刑務所帰りであり、現在は浅井の所で荷揚げの組頭となっていた。また、彼には小しずの記憶はすっかり消えていた。米穀業の安川は義心会の総長・竹上や政界の黒幕たちと手を組んで、悪どい商法で私腹を肥やしていて、それに浅井が反対の立場を取っていて対立していた。浅井は急場の策として朝鮮米を買いつけたが、安川が手を回したことで、朝鮮米は陸揚げ禁止となった。挑戦米を買い付けた浅井としてはそれをさばくことが出来なくなってしまい窮地に陥る。それを見かねた小しずは、単身で政界の大物・牧浦奇堂伯爵の還暦祝の席に出むき、朝鮮米の陸揚げ禁止の解除を懇願する。小しずの一途な態度に感銘した牧浦は、解決に動き、陸揚げが許されることになり、浅井の米倉に陸揚げされた朝鮮米が入った。しかし、安川は黙っておらず、息の掛かった義心会を動かし、発売日の前日で米が詰まっている浅井の米蔵に火を放った。火事と聴いて駆けつけた浅井はその場で義心会に襲われ、勇吉たちは必死で消火作業を行ったが、米蔵は全焼してしまい、全てが灰になってしまった。そんな中、羽織会の日がやってきた。小しずの舞を見守る勇吉だったが、そこに浅井が死亡したという知らせが届いた。勇吉は小しずに別れも告げず、単身で安川の所に殴り込んで行った...

藤純子主演作ということでは、色々とサービスがあって良いのだが、期待するのは藤純子演ずる小しずの啖呵を切ったり暴れたりするところである。が、これを期待していると、クライマックスが全く別の方向に行ってしまい、期待外れに終わってしまうことになる。途中までは色々と魅せてくれただけに、実に残念な作品である。

が、藤純子の見せ場を忘れると、物語の構成としてはなかなか面白い。10年前に一度交錯した2人が10年の時を経て再開するが、10年前とは全く違う人生を歩んでいることになっている。そして2人の間で色々とあり、最終的には女が望まない方向に進んで行ってしまう。そこには運命と言うには余りにも残酷であり、テーマとしても奥深いものがある。それだけに「日本女侠伝」シリーズの1本ということにせず、独立した作品として、勇吉の視点で描く部分をより強くしたら良かったですね。(そうすると、任侠映画の定番というストーリーになってしまいますけど...)まあ、藤純子主演シリーズという看板の作品としては、それなりに楽しませてくれるから、これはこれで良いのだろうが、もっと良い任侠映画になるだけの可能性があったことを考えると、ちょっと残念な作品でした。

 

↓あくまでもビデオです。(DVD化されていません)

 

日本女侠伝 鉄火芸者 [VHS]

  • 出版社/メーカー: 東映ビデオ
  • メディア: VHS


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