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名曲探偵アマデウス#75 ショパン「ピアノ協奏曲第2番」 [ドラマ]

3年目も今回からは下期ということになり、久しぶりの新作の登場と言うことになりました。今月の月曜日の本放送は1回お休み、1回は再放送ということで3回しか無いが、全てショパンの曲ということになって、「ショパン月間」です。(今年はショパン生誕200年ということで、何かとショパンの特集が行われているが、こういうこともいいですね。)で、今回取り上げられたのはショパンの「ピアノ協奏曲第2番」でした。尚、今回でショパンの曲は5曲目となり、取り上げられた曲数ということではシューベルト、ベートーベンと並んでショパンが1位タイになりました。

今回は所長の過去についてもまた一部判明したのだが、さりげない形で明かされるというのは今一つですね。やはり、ディープ内藤にばらされるという方が面白いです。(ボチボチ、5度目のディープ内藤の登場がうるものと思っていますが...)

冒頭、カノさんが戻ってくる。手には国際郵便があって、「何だろう」と言って広げるが、分からない。で、所長に渡す。で、所長が「同窓会の知らせだよ」と語る。カノンさんは「あの東西ウィーン音楽院の同窓会ですか?」と尋ねる。所長が留学していたころからということで30年近くにもなる、と懐かしんでいる所長。で、「あの美しいアンジェリカ・トッチャンベルクはどうしているだろうか?」と思い出した。カノンさんは「所長の恋人?」と尋ねるが「門番代わりのワン公だ」と答えた所長、ズッコけるカノンさんだった。所長は、「行かない」と言って、「若い時の思い出は楽しいことばかりとは限らない。忘れたいこともあるものさ」と人生を語ろうとしていた。

そんな所にドアが開いて「こちら、名曲探偵さんでしょうか?」と言って依頼人がやってきた。彼は19歳よりも以前の記憶が無いということだった。「病院じゃない」という所長だったが、ある曲を聴くとドキドキするということで、医者ではなくて名曲探偵だから来たということだった。

彼は、山の中のペンションで父と暮らしていた。19歳の時、掛けから転落して頭を打ったらしくて記憶を失ったということだった。それから10年以上が流れたが記憶は戻らず、ペンションを手伝って暮らしていたが、一ヶ月前に父が亡くなり、遺品を整理していたら、金庫の中からクラシック音楽を録音したカセットテープが出てきた。で、カノンさんがそれをラジカセにセットして再生する。曲はショパンの「ピアノ協奏曲第2番」だった。クラシックなんか聴いたことがないのに、何故か初めて聴いたような気がしない、父は音楽嫌いだった、ということでテープがあること自体がおかしいと言うことだった。で、カノンさんが「この曲を聴けば忘れてしまった過去の記憶を思い出せるんじゃ...」と言うと、所長はスイッチが入り、依頼を引き受けた。

いつものように曲を聴き始めるが、カノンさんが「ピアノ協奏曲なのに、なかなかピアノ出てこないですよね」と指摘した。所長は「ピアノが出てくるのは曲の頭から2分半以上後」と言って「満を持して登場します」と言って、その部分へ。「カッコイイ」と言うカノンさんだったが、依頼人は「始まった」と言って、胸の辺りがざわざわすることを告げた。所長は、天才ショパンのデビューの衝撃でもあった、と語り、その衝撃的な音の秘密の解説へ。いきなり約5オクターブの音を降りていくということ、ピアニッシモとフォルテッシモが使われているということ、更にこれはショパンの作曲家としての意気込みであったと説明される。

依頼人は、何か光に包まれているような感じだと語ると、カノンさんはこの曲のコンサートを聴きにいったことがあるのでは?と言うが、クラシックなんか聴いたことがないという依頼人だった。

続いて第一楽章第一主題へ。この部分を野本先生が、ショパンの感情の揺れと言うことで説明してくれるが、いつものように分かりやすい説明でした。で、「テンポ・ルバート」についての説明がある。

依頼人はこの部分を聴くと胸が苦しくなる、と言うが、カノンさんは「こんなに良い曲なのに苦しいなんてどうして?」と言うが、その時の依頼人の指の動きにカノンさんは気づく。で、ピアノを弾いたことがあるのでは?ということで、依頼人をピアノの前に座らせるカノンさん。依頼人は楽譜も見ないでこの曲を見事に弾いた。カノンさんは「スゴイ!」、所長は「かなりのレベルだ」と言うが、依頼人は「弾けちゃった...」という三者三様の反応が面白い所でした。

続いて第一楽章第二主題へ。ここでは「ピアノで歌う」ということについての説明が行われる。木管楽器は息を使って鳴らすため、歌うような演奏が出来るが、ピアノではそうは行かない。で、音数を増やすことで息づかいを持たせようとしたショパンの試みが説明される。ここでスゴイのは、ショパンはピアノを歌う楽器にしたということだった。

これに依頼人は苦しみ出すが、所長は「ピアノで歌う」ということと、依頼人の苗字が佐々木ということから思い出したことがあって、ピアニストの記事を集めたスクラップブックを持ってくる。底には天才ピアニストで「ピアノで歌う」佐々木音二郎が突然引退を発表したという記事だった。写真を見た依頼人は「これは私の父です」と言った。音二郎は世界に通用した天才ピアニストだったが突然引退して行方が分からなくなった、と所長が語る。更に、将来を嘱望された天才ピアニストの息子がいた、と続けた。ということで、依頼人も父もピアニストだと言うことが分かった。また、父は何らかの理由でそれを隠していたのだった。で、カセットテープの演奏は音二郎だと言う所長。それを聞いていた依頼人は、父が自分を世界一のピアニストとにしようスパルタ教育を受けていた、ということを思い出した。

が、どうして音二郎は引退したのか、どうしてこの曲だけを残していたのか?ということで、第二楽章へ。ここはショパンが初恋の相手に宛てたラブレターだったということで、その説明へ。「初恋」が主題となったこの楽章は、変奏を繰り返して、その気持ちを表現した。2回目に登場する時には音数を増やして装飾し、29連符と27連符が登場し、3回目の登場の時は揺らぎを使って表現していた。(仲道さんの説明は感情が強く出ていてよく分かります。)

で、ショパンの初恋の相手への愛の告白だったということが分かったが、それがカセットテープとどう関係しているのか?と疑問を口にするカノンさん、依頼人は「母です」と言って、父の初恋の人は母であって、この曲でプロポーズしたのだった。その母は依頼人が高校生の時に病気で突然亡くなってしまった。それから父の依頼人に対するピアノの指導が寄り厳しくなり、嫌気が指した依頼人は山に逃げた。が、崖から転落してしまった。で、父は取り返しのつかないことをしてしまったと気づき、音楽から遠ざかろうとして突然引退したのだった。

所長は、依頼人に対して「これからどうするのですか?」と問う。それは依頼人自身が決めることだが、この曲にヒントがあるかも、ということで、第三楽章へ。

ここではショパンの故郷・ポーランドの民族舞踊・マズルカのリズムを使っていて、アイデンティティがでていると語られる。ショパンはこの曲を完成させた翌年にウィーンに行くが、その翌年にポーランドではワルシャワ11月蜂起が起こり、これが失敗して大きな犠牲者が出る。ショパンは二度とポーランドに戻ることはなく、何も出来ないということで、孤独と絶望感をピアノにぶつけ、望郷の思いを胸に抱き続けて音楽活動を続けた、と語られる。で、依頼人は、ショパンが祖国ポーランドを忘れなかったが、自分にとってのそれは父と母の思いでが詰まったピアノだと気づいた。所長は、ぴあにすとになるか、ペンションをやっていくのか、ゆっくり考えなさい、と言って、結論を急がずに依頼人自身に判断させるように結んだ。で、「そうします」と答えた依頼人はお辞儀をして帰っていく。

が、立ち止まった依頼人は「そうそう」と言って、「一つ思い出しました」と言って、それを口にした。「探偵さんはたしか、かつて東西ウィーンフィルでタクトを振るう予定だった天出臼夫さんですよね」これに所長は小さく頷き、カノンさんは「えっ、知ってるんですか?」と依頼人に尋ねた。依頼人は「小さい頃からの憧れでしたから」と言うと、帰って行った。

今回は、ドラマ部分は約35分弱、曲が8分強、ラストのオチの所が1分強という構成でした。尚、曲の所は第2楽章からということで、全曲ではないというのは時間の関係です。

ラストのオチは、依頼人から近況報告の手紙が十時、それをカノンさんが読む。自分のペンションでピアノコンサートを開くようになり、それが好評ということで、「一度、いらして下さい」と誘いの文面と共に、二泊三日の無料宿泊券が1枚だけ同封されていた。で、カノンさんは「有給休暇を3日ほど」と言って泊まりに行こうとするが、所長は鞄を持っていて、「何を言っているんだ」と言って無料宿泊券をカノンさんから奪い取り、「代表して行ってくることにしよう」と宣言した。で「留守番を頼む」とカノンさんに言うと出掛けていった。カノンさんは当然、後を追い、「鞄の中に入れてって...」と言っていた。→鞄の中という発想がいいですね。なんか、飛行機にただ乗りするためにトランクに入ってという発想と同じであるが、ペンションに着くまでは別にそんな子としなくて、ペンションにチェックインするときだけ鞄に入ればいいのに... が、冷静な判断が出来なくなるほど、カノンさんもペンションに行きたかったと言うことですね。

物語としては、全体的におとなしく、派手な所はなかったが、その分、謎を解いていくミステリー仕立ての物語ということが出ることになったが、こういう感じの物語は久しぶりでしたね。また、所長の過去ということで、東西ウィーン音楽院を卒業していること、東西ウィーンフィルでタクトを振る予定になっていたこと、が明らかになったが、こうなるとどうして指揮者の道を捨てたのかということを早く知りたくなりました。

一方、カノンさんは、曲を聴いた時に見せる豊かな表情はいつもの通りであったが、今回はポイントになることに気づき、所長の謎解きの道筋を付ける役割ということがいつも以上に強くなっていて、「助手」という所が強調されていましたね。「助手」というポジションということでは良いのだが、もう少しぶっ飛んだカノンさんを見たいところでした。(ラストで「鞄の中に...」と言ったカノンさんという所をもっと見たかったです。)

来週(10/25)は、ファイルNo.076のショパン「舟歌」ということで、またまたショパンの曲です。で、次回でショパンの曲が6曲目となって、シューベルトとベートーベンを抑えて単独トップになります。また、その後(11/1)はファイルNo.077のシューマン「詩人の恋」です。

 

ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番

  • アーティスト: ツィマーマン(クリスティアン),ショパン,ポーランド祝祭管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2009/04/29
  • メディア: CD

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

  • アーティスト: 仲道郁代,ショパン,コルト(カジミエシュ),ワルシャワ国立フィルハーモニー交響楽団
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2007/10/24
  • メディア: CD

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

  • アーティスト: アルゲリッチ(マルタ),ショパン,アバド(クラウディオ),ロストロポーヴィチ(ムスティスラフ),ロンドン交響楽団,ワシントン・ナショナル交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2008/01/23
  • メディア: CD
ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

  • アーティスト: ブーニン(スタニスラフ),ショパン,コルド(カジミェシュ),ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2008/03/26
  • メディア: CD
ショパン:ピアノ協奏曲第1&2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1&2番

  • アーティスト: ツィマーマン(クリスティアン),ショパン,ジュリーニ(カルロ・マリア),ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2009/10/21
  • メディア: CD
ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

  • アーティスト: ラン・ラン,ショパン,メータ(ズービン),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2008/10/29
  • メディア: CD
ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

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  • アーティスト: アルゲリッチ(マルタ),ショパン,デュトワ(シャルル),モントリオール交響楽団
  • 出版社/メーカー: TOSHIBA-EMI LIMITED(TO)(M)
  • 発売日: 2007/06/20
  • メディア: CD
ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

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  • アーティスト: ピリス(マリア=ジョアオ),ショパン,ジョルダン(アルミン),モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/06/21
  • メディア: CD
ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

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  • アーティスト: ルービンシュタイン(アルトゥール),ショパン,スクロヴァチェフスキ(スタニスラフ),オーマンディ(ユージン),ロンドン新交響楽団,フィラデルフィア管弦楽団
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2007/11/07
  • メディア: CD
ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

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  • アーティスト: ブレハッチ(ラファウ),ショパン,セムコフ(イェジー),ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2009/10/07
  • メディア: CD
ショパン:ピアノ協奏曲第1&2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1&2番

  • アーティスト: アシュケナージ(ヴラディーミル),ショパン,ジンマン(デイヴィッド),ベルリン・ドイツ交響楽団,ロンドン交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2009/05/20
  • メディア: CD
ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

  • アーティスト: ヴァーシャーリ(タマーシュ),ショパン,セムコフ(イェルジ),クルカ(ヤーノシュ),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2006/11/08
  • メディア: CD

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