SSブログ

名曲探偵アマデウス#78 ラヴェル「ピアノ協奏曲 ト長調」 [ドラマ]

今回は4曲目となるラヴェルの曲で、「ピアノ協奏曲ト長調」でした。(ラヴェルというと、初回(ファイルNo.001)がラヴェルの「ボレロ」でしたね。)

今回は、カノンさんが途中でいくつかの衣装を着て、モデルになっていたが、単にモデルとして魅せてくれるだけでなく、いっかりといじられキャラにもなっていて、たっぷりと魅せてくれました。また、「遊び心」ということがキーワードになっていて、所長、カノンさんそれぞれが遊び心に満ちたところを魅せてくれていて、楽しい物語になっていました。

冒頭、所長が鏡の前でおめかしをしていて、カノンさんが「おめかししてお出掛けですか?」と声を掛ける。すると「どんなときでもお洒落に気を使うことは大事なことだよ」と言って、カラヤンの逸話を語る。カノンさんは所長のジャケットをいつもお似合い、と言うと所長はカノンさんの服を「実に似合っているじゃないか」とお互いに褒め合う形になった。そんな所に「おはようございます」と言って依頼人がやってきた。大きな荷物を持っていて、それは仕事で使う衣装ということだった。依頼人はアジアの歌姫と呼ばれている歌手MIREAのスタイリストであった。前に助手として仕事をしていたが、今回指名されたのだが、このままでは一着も用意できないということで困っていた。本番まであと2日なのに、頼んだ衣装にダメ出しをして、今まで使った衣装をアレンジして乗り切ることになった。が、何をどう選んだらいいのか分からなかった依頼人は、MIREAからコンセプトを提示されて、クラシックのCDを渡された。CDはモーリス・ラヴェルの「ピアノ協奏曲 ト長調」だった。が、大きな仕事は初めてで頭が真っ白になってしまい、助けを求めてやってきたのだった。

で、所長は「かつてファッションデザイナーを目指していたこともあるんです」と口にした。カノンさんは「初耳だなぁ、それ...」と言っていた。で、所長は依頼を受けた。

依頼人の持ってきた衣装が出されて、まずは雑談から始まって、カノンさんが「見ても良いですか」と言って衣装を見る。で「これ、面白い」と言って、ある衣装を手にした。その衣装はワンピースに靴下を着けたものであって、依頼人が前に作ったもので、思いっきり遊んでみたものだった。(MIREAも気に入ったものだった。)すると「センスあるんですね」とカノンさん。依頼人はパリのセーヌ川モード学園で勉強していた言う。これに「あの世界的に有名なセーヌ川モード学園」と所長は反応し、カノンさんは「パリに留学していたの、すご~い」と言うが、「通信教育でしたけど」と依頼人。(ここで所長が転ける。)「しかも半年で落第した」と続ける依頼人。で、カノンさんもここで転けた。

所長は「どんなステージになるのですか?」と問い、ようやく本題へ。依頼人は、三部構成手背、第一部は歌有りダンス有りの華やかなステージと言う。するとカノンさんは、ラヴェルの曲も三部構成だと口にした。で、「それぞれの楽章に衣装のヒントが隠されているかもしれません」と言った所長は、いつものように「まずは第1楽章から聴いてみましょう」ということで、ようやく第1楽章へ。

第1楽章第1主題では、「楽しそうな曲ですね」と、いつもながら豊かな表情のカノンさん。が、クラシック音楽のような、そうじゃないような...と、いつもながら鋭い所を突く。で、ヨーロッパのある民族音楽が取り入れられているということで解説へ。

まずは鞭の音で入り、続いてラヴェルの出身地のバスク地方の民謡の音階(3と7番目がない音階)と語られる。(→民謡の音階は5つの音の音階というのが基本ですね。)また、ここで「新古典主義」と言う言葉が出てきました。更に、右手と左でで異なる調を使っているということも説明された。

で、伝統的な民謡をクラシックにアレンジした、ということから、それがMIREAが求めている衣装のコンセプトかも、とカノンさんが口にして、依頼人は気づいた。で、衣装の中からあるものを取り出して「響さん、着てみて貰えませんか」ということで、カノンさんがモデルになることになった。

第一部の衣装はということで、和服を着たカノンさん。が、首にはストールを合わせてみたものだった。「所長、良い感じでしょう」とカノンさんは言うが、腕組みした所長は「う~ん」とって「何かが足りないような...」と言って、曲調が大きく変わると言うことを口にして、曲の続きへ。

第1楽章第2主題は曲調が大きく変わって翳りのあるものになる。で、ジャズ・ブルーノートの影響があるということで、ジャズを取り入れたものだった。で、ラヴェルは『ラプソディー・イン・ブルー』の作曲家のガーシュウィンと親交を深め、曲作りのヒントを得たと語られる。→ガーシュウィンの『ラプソディー・イン・ブルー』はファイルNo.015で取り上げられていましたね。(もう2年以上も前になります。)確かに『ラプソディー・イン・ブルー』に似た雰囲気もありますね。

で、第1楽章にはジャズをラヴェル流にアレンジした箇所が随所に見られるということで、その部分が紹介される。→ジャズは即興演奏という要素もあるのだが、それとは少し違ってますね。

更に、旋律の工夫として、トリルを使っている、ということで、完全にクラシックを越えた音作りがされていますね。

で、「着物と最新ファッションを組み合わせること」とカノンさんが言い、依頼人は次々と小物を持ってきてカノンさんに着せた。で、伝統の着物に、流行のファーのショールと帽子、そしてブーツを合わせた。カノンさんは「これ良い、絶対良い」とお気に入りで「正に衣装の新古典主義って感じですか」と言う。すると所長が「ちょっと待った」と言って「こうしてみたらどうかな」と追加アイテムを持ってきた。(メキシカンになってしまった。)が、依頼人は「ちょっと...」、カノンさんは「所長、センスよすぎですよ。斬新過ぎちゃって...」と苦笑いを浮かべた。所長も気づき「ラヴェルと言うより陽気なラテン音楽になってしまう」と言って笑った。→今回は衣装でいじられるカノンさんですね。

咳払いをした所長は「第一部はこの方向で大丈夫でしょう」と言って、第二部へ。第二部はバラードで綴るしっとりとしたステージと言うことで、第2楽章が大きなヒントを与えてくれそう、ということで、第2楽章へ。

「綺麗なメロディ」と言うカノンさんだったが「リズムが変じゃありません?」ということで、リズムのズレを依頼人が口にした。で、リズムのズレに付いての解説に入る。3/4拍子で書かれていて、右手は三拍子で進んで行くが、左手は大きな二拍子のリズムとなっていて、これがリズムのズレを感じさせていたということで、「ポリリズム」が説明される。(実に美味い工夫ですね。しかも、緻密な計算によって生み出されているというのは凄いことです。)

で、依頼人は気づいた用で、衣装を探しだすと「響さん、これ、お願いします」ということで、カノンさんは次の衣装へ着替える。上は色鮮やかなドレス、下はチュール、質感のズレを生かしたスタイルにしたものだった。カノンさんは「題してステージ衣装のポリリズム」と言って、「良い感じ」とお気に入りのようだった。依頼人は、MIREAの好きな色で、ダメ出しの可能性も低いと思ったと続けるが、所長が「何故そんなにMIREAさんのことばかり気にするのですか」と言って、所長がダメ出しをした。で、MIREAは衣装を依頼人に任せたのであって、依頼人は衣装で何をどう表現したいのかを問う。で、ラヴェルならば?ということで、ラヴェルの人生にヒントが隠されているかも知れない、ということで、ラヴェルの人生についての解説へ。

第一次大戦に39際で自ら志願して戦地に赴き、その経験が後に大きな影響を与えた、として語られる。で、新しいものを築き上げる執念で生み出した曲だった。で、1932年に発表されて世界中から賞賛された。

で、カノンさんと所長の息のあったコンビネーション・プレイが展開される。カノンさんは「ただ純粋に良い音楽を作りたい。その信念がラヴェルを支えていた」と言い、所長が、依頼人がMIREAにどんな衣装を着て貰いたいのか、その衣装で何を表現したいのか、また、MIREAは依頼人の実力を認めているからでは、と言う。カノンさんは「ラヴェルの曲に合わせて衣装選びをして欲しいと言っているのではなく、この曲で何かメッセージを伝えたかったのかも...」と返し、所長が「そのメッセージとは」ということで、第3楽章へ。

全く曲調の違う第3楽章はアップテンポで華やかなものになるが、ここはジャズのセッションの様な音楽になっている。また、ピアノが主役ではなくてオーケストラの中の一パートという協奏曲になっている、と説明される。そして、第1楽章冒頭の鞭の音で始まることの説明がされて、ジョークの世界に満ちあふれている、遊び心に満ちた曲という説明がされる。→今回の曲の説明も、オーソドックスに進んで行くのではなく、今までとは違う説明手法を使っていて、ラヴェルの曲の新しいものに歩調を合わせたようになっていましたね。

ンさんは「最初から最後まで、ラヴェルの遊び心が詰まっていたんですね」と口にした。これに依頼人は「遊び心」と繰り返す。で、所長が「あなたにしかできない遊び心が光っていたからではないか」と言った。で、依頼人はカノンさんが「これ面白い」と言って衣装を思い出し、遊び心を忘れていたことに気づき、スタイリストになった理由を語った。するとカノンさんは「今からでも遅くないですよ。まだ2人もあるじゃないですか」と言った。依頼人は「そうですよね」と納得した。で、「今回は久々に遊んじゃおう」と言って衣装を捜し始め、カノンさんに着せていく。で、次々と渡された衣装を着ていくカノンさん。所長はその様子を見ていた。

今回は、ドラマ部分は約35分弱、曲が8分強、ラストのオチの所が1分弱という構成でした。この時間では全曲というのは無理であって、解説のあった第1楽章と第2楽章のダイジェストという形になっていました。また、第2楽章の終わりの所からラストのオチの所へはブリッジしているという構成となっていて、ちょっと珍しい形になっていました。

ラストのオチは、所長が、ソファの上に衣装が忘れられているのに気づき、その側にやってくる。で、手にすると「遊び心か...」と呟いた。で、その衣装を着た所長。で、鏡に向かって「夜明けのスキャット」を口ずさんでいた。そんな所にカノンさんが戻ってきて、所長が自分の世界に入っているのに驚いた。で「一人で何やってるんですか?」と言うが、直ぐに「そういう趣味...」と続けた。所長は慌てて「誤解だけは止めてくれ」と言うが、カノンさんはノリノリになって、携帯を取りだし「私のブログに写メ載せたいんで使って良いですか」と言って写真を撮る。所長は「ダメだよ」と言うが、「はい、チーズ」とカノンさんは写真を撮った。(が、所長はシャッターを切る瞬間、面白い顔をした。)カノンさんは「可愛い~」と口にする。所長は「これは発表してはダメだよ、響くん」「私の立場があるんだよ」「頼むよ」と必死になってカノンさんに頼んでいた...

また一つ、所長の弱みを手にしたカノンさんということになったが、このあともう一段階先のオチが欲しいところでしたね。ということで、ラストは時間的にちょっと足りない形になってしまって、ちょっと残念でした。

しかし、今回は、カノンさんがモデルとして衣装を色々と変えることでいじられていた、ということで、今までとは違った遊びが遭ったというのが面白い所でした。色々といじられているカノンさんであるが、今までとは違ったいじられ方をされていて、またまた新たな魅力が引き出されたと言って良いですね。また、色々といじられたお返しとばかりに、ラストでは所長にもっと大きな態度出てて欲しいとも思いました。

来週(11/15)はお休みで、次は22日で、ファイルNo.079となるモーツァルト「ピアノ・ソナタ イ長調 トルコ行進曲付き」の登場です。尚、29日は何かの再放送のため、今月の新作は再来週の1本までということになります。

 

ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: アルゲリッチ(マルタ),ラヴェル,アバド(クラウディオ),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/02/28
  • メディア: CD

【HQCD】ラヴェル&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲

【HQCD】ラヴェル&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: ミケランジェリ(アルトゥーロ・ベネデッティ),ラヴェル,ラフマニノフ,グラチス(エットーレ),フィルハーモニア管弦楽団
  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
  • 発売日: 2009/03/18
  • メディア: CD
ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: フランソワ(サンソン),ラヴェル,クリュイタンス(アンドレ),パリ音楽院管弦楽団
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2004/12/08
  • メディア: CD
ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: ケフェレック(アンヌ),ラヴェル,ドビュッシー,ジョルダン(アルミン),ロンバール(アラン),ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団,モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2003/06/25
  • メディア: CD
ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: ロジェ(パスカル),ラヴェル,デュトワ(シャルル),モントリオール交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2006/04/12
  • メディア: CD
ピアノ協奏曲 ト長調~ラヴェル ピアノ作品集

ピアノ協奏曲 ト長調~ラヴェル ピアノ作品集

  • アーティスト: 三浦友理枝,ラヴェル,シェ(ケン),オーケストラ・アンサンブル金沢
  • 出版社/メーカー: エイベックス・クラシックス
  • 発売日: 2009/04/22
  • メディア: CD
ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: ユンディ・リ,プロコフィエフ,ラヴェル,小澤征爾,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)
  • 発売日: 2007/08/29
  • メディア: CD
ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: ロンドン交響楽団,ラヴェル,アバド(クラウディオ),アルゲリッチ(マルタ),ベロフ(ミシェル)
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1995/09/01
  • メディア: CD
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調、左手のためのピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調、左手のためのピアノ協奏曲

  • アーティスト: フランソワ(サンソン),ラヴェル,クリュイタンス(アンドレ),パリ音楽院管弦楽団
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1995/11/22
  • メディア: CD
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調 [Import] (Ravel - Piano Concertos)

ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調 [Import] (Ravel - Piano Concertos)

  • アーティスト: ラヴェル,ガリー・ベルティーニ,シュットゥトガルト放送響,クン・ウー・バイク(P)
  • 出版社/メーカー: ORFEO
  • メディア: CD
ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: ブーレーズ(ピエール),ラヴェル,ツィマーマン(クリスティアン),クリーヴランド管弦楽団,ロンドン交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2002/09/25
  • メディア: CD
ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: グラチス(エットーレ)
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1996/11/20
  • メディア: CD
CD付き NHKクラシックミステリー 名曲探偵アマデウス

CD付き NHKクラシックミステリー 名曲探偵アマデウス

  • 作者: 『NHKクラシックミステリー名曲探偵アマデウス』制作チーム
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2010/10/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。