JOHN PARR『JOHN PARR』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1984年に発表された彼のデビュー・アルバムである。彼は何と言っても映画「セント・エルモス・ファイヤー」の主題歌の大ヒット(全米1位、全英6位)で知られていて、その曲だけの「一発屋」として認識されている。時期的には本アルバムのリリース後であったので、全米No.1ヒットの勢いが乗れば良かったのだが、そういうことにはならなかったのが残念な所であった。とは言っても、本アルバムはBillboardのアルバム・チャートで最高位48位を記録している。(彼の発表したアルバムでは唯一のチャートインを記録したアルバムである。)
収録曲は以下の全9曲である。『Magical』『Naughty Naughty』『Love Grammar』『Treat Me Like An Animal』『She's Gonna Love You To Death』『Revenge』『Heartbreaker』『Somebody Stole My Thunder』『Don't Leave Your Mark On Me』。
この中からシングル・カットされたのは3曲である。デビュー・シングルでもある『Naughty Naughty』がBillboardで最高位23位を記録し、イギリスでは最高位58位を記録していて、まずまずのデビューと言うことになった。続く2nd.シングルの『Magical』はBillboardで最高位73位を記録した。そして、映画「セント・エルモス・ファイヤー」の主題歌の全米No.1ヒット、MEATLOAFのアルバムに収録されているデュエット・ソング(これはチャートインせず)を挟んでから3rd.シングル『Love Grammar』がリリースされて、Billboardで最高位89位を記録している。
尚、『St. Elmo's Fire (Man In Motion)』はサントラ盤の方にのみ収録されていて、彼のアルバムには収録されていない。そう言うこともあって、全米No.1ヒットになったのに、その後のシングルがさっぱりということで、典型的な一発屋と認識されてしまった。
お薦め曲は、シングル曲からは『Naughty Naughty』と『Magical』を、それ以外では『Heartbreaker』と『Don't Leave Your Mark On Me』をピックアップしておく。
彼の代表曲である『St. Elmo's Fire (Man In Motion)』の大ヒットが時期的にも本アルバムと重なっているのに、後のCDでボーナス・トラックとして追加収録されないのは、本アルバムと「セント・エルモス・ファイヤー」とが毛色が違うためでもある。(契約上の問題もありますが...)しかし、安易に追加しなかったことで、本アルバムはオリジナルの姿を維持することになってのは良かったことである。で、本アルバムは'80'sサウンドを象徴する「産業ロック」が集まったアルバムと言っても良いものになっている。但し、'80'sも中盤になると、「産業ロック」でも、当たり外れが大きくなっていて、ヒットしたものもあるが、泣かず飛ばすというものもかなり出てくるようになった。
本アルバムもどちらかと言うと「ハズレ」の部類に入るが、一応、全米TOP 40入りをするシングル・ヒットが生まれていることでは、「失敗作」とは言えないものであるのもまた事実である。ということで、サウンドの方も、ヒットの規模についても、まさに時代を映した鏡のようなものになっていて、ある意味では'80's中期を象徴するアルバムと言うことになった。ということで、音楽的に楽しむということではなく、'80'sの音楽史に残る時代を象徴するアルバムという位置づけで聴くというのもまた面白い所である。
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