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ケータイ刑事銭形零4話[裏ネタ編]PART 6 [ケータイ刑事]

今週は「名曲探偵アマデウス」がお休みだったため、ピンチヒッターとしてちゃんに登場して貰います。尚、来週11/22の「名曲探偵アマデウス」はファイルNo.079のモーツァルト「ピアノソナタ イ長調 トルコ行進曲付き」です。また、11/29はファイルNo.080のチャイコフスキー 「バレエ『白鳥の湖』」の登場です。


銭形零」の第4話「露の秘宝を守れ! ~銭形零探偵団VS怪人八面相事件」の裏ネタ編・増補の5回目となる今回は、「露の三宝」に関する事柄から、「梅干し」について、「安藤帯刀」について、「真珠」について、「お茶の種」について、「白山神社」について、「秦澄」について記します。尚、「梅干し」については「・23話[裏ネタ編]PART 2」で記したものをベースにして加筆しました。

また、この物語について過去に記した記事(BS-i(当時)の再放送時に記した[改訂版])は「ここをクリック」してご覧下さい。(この物語についての過去に記した裏ネタ編は2008/2/10日付です。)

梅干し」:梅の実を塩漬けにして、それから日光に晒して干した食品である。漬物の一つである。一般的には梅の実だけを使うのではなく、塩漬けにする際、赤ジソの葉を加えて一緒に漬けることで紅色に着色している。(天然の色素による着色である。)

古くから日本にある食品であって、貯蔵食品として利用されてきたものである。また、解熱作用や疲労回復という薬効があることから、薬としても使われていたのをはじめ、防腐、抗菌効果があることで、弁当やおにぎりに入れられる。(但し、減塩梅干しとよばれる塩分を減らした梅干しでは、この効果は期待出来ないので、注意が必要である。)

日本では、平安時代に薬として使われたという記録があり、戦国時代では消毒薬として盛んに使用されていたという記録がある。(当然、保存食としても使われたため、重要物資であった。)

また、「梅干し」と言うと「日の丸弁当」があまりにも有名であるが、昭和初期にはアルミ製の弁当箱に穴が開くということが問題になった時期がある。(梅干しの成分がアルミを溶かすためである。)これは梅干しの防腐、抗菌効果を利用してものでもある。尚、現在でも弁当に梅干しを入れるのは当たり前になっており、コンビニや弁当屋の弁当には梅干しが当たり前のように入っている。しかし、最近では梅の実を塩漬けにしただけで日干しをしていない梅の実を使っているものもある。塩漬けにされていると防腐、抗菌効果はそれなりにあるものの、「日干し」をしていないものは正確には「梅干し」ではなくて「梅漬け」である。(干していないものを「干し」というのはおかしい。)

特に、紀州産(和歌山県産)の梅干しは余りにも有名であって、高級品としても広く知られている。(国産梅干しの6割は和歌山県産である。)但し、高級梅干しの代名詞になっている南高梅を使った梅干しは、歴史は浅く、戦後になってから作られているものである。

英語では「Picked Ume」と言っていたが、世界的な日本食ブームの影響もあって認知度も高くなったことから、現在では世界的に「Umeboshi」と呼ばれるようになり、これで通じるようになった。また、俳句の世界では、夏の土用の頃に日干しにして作るということが一般的であったことから、夏の季語である。

安藤帯刀」:紀伊田辺藩の初代藩主・安藤直次(あんどう・なおつぐ)のことである。1555年生まれ、1635年に没している。徳川家康に幼少期から仕えていて、家康から信頼されている武将の1人である。幕府の老中も務めたことのある人物であり、更には徳川頼宣(長福丸→紀州徳川家の祖となった人物である。)付の家老に任じられた人物でもある。

1619年に頼宣が紀伊和歌山城に移ると、紀州藩附家老として一緒に移り、田辺城に3万8000石の所領を与えられた。このことから「紀州田辺藩」と呼ばれるようになったが、江戸幕府は独立した藩とは認められておらず、紀州徳川家の家臣という位置づけである。で、頼宣からは厚い信任を受けていた人物である。

尚、「帯刀」というのは百官名の1つであって、元々は役人の役職名(帯刀舎人)である。それを名前として用いられていたものである。(歴史を振り返ると、「○○帯刀」という名前の人物は、たいていの藩にいます。)

ということから、この物語に登場した「露の三宝」の1つは、安藤帯刀が漬けた梅干しと言うことになる。また、時代は1619年以降、1635年以前ということになる。しかし、梅干しはそれ以前の時代に既に存在しているものであるため、「日本で初めて漬けた」というのは矛盾することになる。(それ以前は薬としての利用が多かったものの、戦国時代には保存食として重要な軍事物資にもなっており、食用梅干しも既に存在していたことになる。)まあ、「露の三宝」とは、それだけいかがわしいものということでもありますね。

真珠」:貝殻の体内に形成される球状の固まりのことであって、宝石の一つとして重宝されるものである。これは、動物が作り出す鉱物であって、貝殻を作ることが出来る軟体動物であれば生成することが可能である。

成分は炭酸カルシウムが主成分であって、それに何種類かの有機物が含まれたものである。生体の分泌液が薄膜を形成していき、それが何重にも重なって出来るため、美しい光沢があるので、宝石として重宝されたものである。

現在では、真珠の養殖方法が開発されているので、ある程度の大量生産が可能となったが、古くは天然の真珠しか存在せず、とても重宝がられた。また、その光沢の美しさから、「月のしずく」または「人魚の涙」とも呼ばれていた。希少性から、薬としての効能が期待され、砕いて煎じたものを薬として利用していた記録がある。(原題でも薬としての利用が一部ではされ続いている。)特に、クレオパトラが真珠を(酢に解かして)飲んだとされている。尚、歴史的には紀元前20数世紀の時代から既に知られていたものである。日本でも、「日本書紀」「古事記」に登場しており、「魏志倭人伝」では邪馬台国がこれを送っているという記述があることから、古くから知られているものである。

養殖方法が確立したのは19世紀末に御木本幸吉がアコヤガイの半円真珠の養殖に成功し、20世紀初頭に真円真珠の養殖に成功し、それから養殖真珠の生産が増加していくことになった。(養殖の歴史は100年を超えたところである。)

この物語では「露の三宝」の1つの真珠は、「日本で初めて海女が海から取った真珠」とされていたが、「日本書紀」「古事記」「魏志倭人伝」にも登場しているものであるため、3世紀よりも前の時代に採られたものと言うことになる。しかし、当時は天然真珠しかあり得ず、大きさがスーパーボールとほぼ同じというだけに、これもいかがわしいまがい物の様な気が...

お茶の種」:葉を加工して飲料が作られる樹木である「茶樹(チャノキ)」の種子のことである。チャノキはツバキ科ツバキ属の常緑樹であって、比較的低木なものである。中国南西部の温帯から熱帯地方が原産とされている。葉は楕円形であって、周囲には鋸歯があり、比較的厚く、表面には光沢がある。10月から11月頃にかけて白い花を咲かせる。開花の翌秋に成熟して種子となる。

植物であるため種子を作るが、チャノキは葉っぱの利用が中心であるため、花を含めて種子に関しては余り知られていない。

茶が日本に入ったのは中国からとされているが、詳しいことは分かっておらず、いくつかの説がある。以前は、平安時代末期に栄西が中国(宋)から茶の苗木を持ち帰り、それを栽培したという説が主流であったが、それよりも前の時代である平安時代初期に空海が中国(唐)から種子を持ち帰った、最澄が中国(唐)から持ち帰り栽培した、という記録が発見されている。

この物語では、「秦澄が京都から初めて持ち帰ったお茶の種」と語られていたが、秦澄は7世紀後半から8世紀前半の人物であり、空海や最澄は8世紀後半から9世紀前半の人物である。つまり、空海や最澄が日本に茶を持ち込んだ人物とすると、秦澄の時代には無かったものということになるので、歴史的に合わないことになる。逆に、秦澄の時代に既に茶が日本にあったと言うことになったら、歴史が書き換えられることになる。ということで、「露の三宝」はやはり胡散臭いものである、と言っていいですね。

美濃の白山神社」:「白山神社」という名前の神社は日本各地に存在する。また、現在の岐阜県、愛知県、石川県などには同じ名前の神社がたくさん存在している。そのため「○○白山神社」という名前で呼ばれているのが多い。そんな中、この物語で呼ばれている美濃の白山神社というのは、白山信仰の美濃国側の中心となっている長滝白山神社(ながたきはくさんじんじゃ)のことを指しているものと思われる。この神社は岐阜県郡上市にある神社である。

この神社は717年に白山中宮長滝寺として泰澄が創建したとされているものである。(この物語では「美濃の白山神社を創建した秦澄大師が…」と語られているので、間違いないでしょう。)そして722年にが元正天皇の病気平癒を祈願して効験があったと伝えられている。

尚、江戸時代までは「白山中宮長滝寺」と呼ばれていて、同じ境内の中に長滝白山神社の拝殿と長滝寺が1つのものとされていたが、明治になって神仏分離が行われて長滝白山神社と長瀧寺に分離された。(但し、現在でも同じ境内にあって、参道を境界として右側が長滝白山神社、左側が長滝寺というように分けられている。)

秦澄」:「たいちょう」と読む。奈良時代の修験道の僧であって、加賀白山開創者と伝えられている山岳修行者である。生まれは越前であって、西暦682年生まれで767年に亡くなったとされている。「越の大徳」と賞されている人物でもある。また、白山の開山を行い、白山信仰の中心的な神社として知られている長滝白山神社や平泉寺白山神社を開いた人物とされている。(白山の開山、更にこの2つの神社はいずれもが717年のことである。)→長滝白山神社は「美濃の白山神社」の項で記した通りである。

尚、白山神社の総本山である白山比咩神社はより古い時代に開かれたものであって、秦澄が開いたものではない。

一方、平泉寺白山神社は、福井県勝山市(旧平泉寺村)にある神社であって、白山信仰の越前側の禅定道の拠点として栄えた神社である。(最盛期には8000人を超える僧侶がいたとされている。)

この物語で語られていた「露の三宝」は、歴史的なことを考えると、とても「宝物」として価値のあるものではなく、いずれもが胡散臭いものということになる。ということもあって、実際、怪人八面相が狙ったものは、それらが収容されていた容器の方であったが、魯山ニン(これまた北大路魯山人とは別人であり、胡散臭いですが...)作の器が実は「露の三宝」だったということで、実に奥深いところまで考えられた設定となっていました。

 

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