「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その182) [ケータイ刑事]
今回のテーマは「自動運転(オートドライブ)の使い方」です。取り上げる物語は「ケータイ刑事」からは「舞・5話」、「007」からは(前回に引き続いて)「消されたライセンス」です。
「ケータイ刑事」:「舞・5話」。「シベリア超特急殺人事件」という物語である。タイトルから分かるように、本作は水野晴郎の「シベリア超特急」とのコラボ作品である。但し、本作では鉄道が登場するのではなくてバスが登場するのだが、こういう所が如何にも「ケータイ刑事」らしい所である。
乗っていた車がエンコして立ち往生となった舞ちゃんと五代さん。そんな所にシベリア行きを名乗るバスが通りがかり、それに乗せて貰う。そのバスは心霊スポットを巡るツアー・バスであった。
バスはやがて悪霊トンネルと呼ばれるトンネルに差しかかった。気分を盛り上げるために車内の灯を消して走るため、トンネルに差しかかると車内は真っ暗になった。(怖がる舞ちゃんがまた面白いのですが...)で、トンネルを通過して明るくなると、五代さんに一の瀬が寄りかかっていたので、五代さんは声を出した。が、一の瀬は反応がなく、胸にナイフを刺されて死んでいた。
ということで、事件発生となり、現場に居合わせた舞ちゃんと五代さんの捜査が始まることになった。ただ、走っていたバスの中で殺人が行われたということで、容疑者はバスに乗っていた他の乗客全員と言うことになり、五代さんは簡単に解決できると思った。確かに、このバスには、運転手、舞ちゃんと五代さん、被害者、そしてその他には3人とか乗っていなかった。3人は誰もが怪しかったものの、誰もが犯行が出来る状態ではなかったということで、犯行は「悪霊の仕業?」ということになりかける。
そんな中、舞ちゃんは、一の瀬がトンネルに差しかかる直前に席を移動していたこと、またそれを確認できるのは車内ミラーを見ることが出来る運転手しかいないということ、また、このバスにはオートドライブ機能が付いていることことから、運転手が怪しいと睨んだ。しかし、運転手は、悪霊トンネルは内部で道が右側にカーブしているので、オートドライブを使ってバスを走らせて、その間に一の瀬を殺しに行ったとすると、バスはトンネルの壁に激突してしまう、と主張して、犯行を否定した。ということで、やはり乗客の誰もが犯行は不可能と思われた。(で、五代さんと舞ちゃんも容疑者の一人にされていた。)
で、五代さんは、再び乗客の一人である山下大将が怪しいとして追求する。すると「よく見破ったね、五代くん」と言って山下大将はピストルを取り出して自殺してしまった。が、その銃は銀球鉄砲であって、自殺できるものではなく、舞ちゃんがそれを指摘した。で起き上がった山下大将。が、銀球がバスの右側に転がっていったのを目にした舞ちゃんは閃いた。
一の瀬殺害の犯人は、やはりバスの運転手だった。運転手は予めバスのタイヤの右側の空気を少し抜いていて、オートドライブにした場合、バスは自然と右の方向に曲がっていくように仕掛けておき、トンネルに入るとオートドライブにしてバスを走らせ、その間に裸足で素早く一の瀬の元に行き、殺害したのだった。更に、トンネル内で運転手が最後尾にまで移動したという証拠もあった。で、運転手は犯行を認めた。
尚、このバスはトンネル外ではやたらと揺れていたが、トンネル内では殆ど揺れずに走っていたということも、タイヤの径を変えていた細工によるためということで、全てが合理的に説明されて、悪霊の仕業ということは完全に否定された。(この結論は当然のことですが...)
「007」:「消されたライセンス」。1989年のシリーズ第16作であって、4代目ボンドの第2作(最終作)である。この物語は、ボンドが個人的な復讐で動くと言うことで、ストーリー的にも異色の作品であるが、Qがボンドの下(イスマス・シティ)に行って、直接サポートしているという珍しいところがある作品である。ということで、下一桁が「9」の年に製作された「007」は異色の作品というのが続いているが、本作もそういう系譜を受け継いでいるというのは面白い所である。但し、本作はそういう大胆なところが嫌われて、興行成績の点では苦戦しましたが...
物語の終盤で、サンチェスの麻薬工場を火の海にしたボンドは、麻薬を溶かしたガソリンを積んだタンクローリーで逃げるサンチェスたちを追いかけるが、複数あるタンクローリーの1台を奪い、それで追う。当然のことながら、サンチェスの手下たちはボンドの行く手の邪魔をする。が、ボンドはそれを撃破しながらサンチェスの乗ったタンクローリーを追う。(ロケットランチャーで狙われた時は、タンクローリーを片輪走行にしてロケットランチャーを逃れ、元に戻すときにはサンチェスの手下たちが乗っていたジープを踏みつぶして走り去った。更に、山道で道がくねくねしているのを確認すると、先行して逃げているタンクローリーをターゲットにして、自分が乗っているタンクローリーが引っ張っているタンク車を切り離して崖から落とし、先行するタンクローリーにぶつけて爆破した。
で、タンク車が無くなり、トレーラーだけとなるが、ボンドは再びサンチェスを追う。が、先ほどの爆発で炎の中を突っ切らざる得なくなる。そこでボンドはトレーラー(前に2輪、後ろは2本ずつが前後に2列ある8輪という車輪の構成である。)で、運転席と前の2輪を浮かせたウィリー走行をして、炎を突破した。
再びサンチェスを追うボンド。サンチェスの乗っているタンクローリーに追いつくが、乗っているのはボンド一人であるため、運転しているだけでは追いつくことが出来てもそこまでである。で、道が真っ直ぐでやや下り坂になっているということで、ボンドは運転席にある「自動運転」のスイッチを入れた。そしてフロントガラスを外し、そこから前に出る。トレーラーはサンチェスの乗っているタンクローリーの後ろにテール・トー・ノーズで迫っていく。ボンドはタンク車の後ろにある梯子に手を伸ばし、そこにぶら下がる形で何とか乗り移った。まもなく道がカーブに差しかかり、タンクローリーは道なりに曲がるが、自動運転のトレーラーはハンドルを切ることが無く、そのまま直進し、崖から転落していった。(だが、爆発することなかった。)
タンクローリーに乗り移ったボンドは、後ろから追ってくるサンチェスの部下の車を撃退するのに、タンク車のバルブを開き、ガソリンを撒く形になった。で、追っ手の車はそのガソリンによって炎に包まれ、崖から転落していった。
更に、ボンドが乗り移っていることを知ったサンチェスがボンドを殺そうとして一旦停車させる。で、長いナイフを手にしたサンチェスがボンドに襲いかかってくる。が、ボンドはその攻撃を避け、ナイフはタンクローリーのブレーキワイヤーを切断してしまう。運転手はそんなことは知らずに再び走らせる。バルブを閉めようとしているサンチェスにボンドが攻撃をしてもみ合いとなるが、ブレーキワイヤーが切れているため自由に制御できないタンクローリーはカーブに差しかかる。で、運転手はブレーキが利かないということでタンクローリーを見捨てて飛び降りてしまい、ボンドとサンチェスがもみ合ったまま、タンクローリーは崖下へと転落していく。
二人は辛うじて助かるが、産ちぅすはガソリンを体中に浴びていた。サンチェスがボンドにナイフを振り下ろそうとするが、ボンドはポケットから、フェリックスとデラから貰ったライターを取り出し、サンチェスに復讐の理由を語ろうとする。で、ライターで火を付けたボンドはそれでサンチェスに火を付ける。あっという間に炎に包まれたサンチェスは断末魔の叫び声を出して焼死し、ボンドはその場から走って逃げて、何とかタンクローリーの爆発を逃れたのだった。
共通点は、「自動運転(オートドライブ)」を使った人物が直後に人を殺しているということである。(「ケータイ刑事」では一の瀬を殺害しており、「007」ではもみ合いを経てボンドがサンチェスを殺している。(倒している。))また、この装置は、一定の運転を楽に行えるようにするという本来の目的を逸脱して、他の目的(「ケータイ刑事」では殺害、「007」では先行車に乗り移る)のために使ったという所も共通している。
一方、相違点としては、「ケータイ刑事」ではタイヤに細工をしていたことで、オートドライブを使っている間は自然と右方向にカーブして走行するということで、直進しなかったが、「007」では直進して走行していたという所である。(そのため、カーブに対応できずに、がけから転がり落ちていった。)
尚、正しい使い方をしないという発想が同じであるが、その使い方にちょっとした工夫があるだけで、こうも違った形で使えると言うことを教えてくれることになったが、このことがある意味では驚くべき共通点ということになるのかもしれませんね。
次回も「シチュエーション」ということで記す予定です。何が登場するかお楽しみに。
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