JETHRO TULL『THIS WAS』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1968年に発表された彼らのデビュー・アルバムである。(邦題が「日曜日の印象」と付けられていたが、当時はなかなか味のある邦題が付けられていたものと感心するところでもある。)I・アンダーソンが現在もずっと率いていて、ボーカルを採っているのは現在も変わらないものの、サウンドの方は別バンドと言ってよいほどの変化が見られる。特に、デビュー・アルバムはブルース・ロック・アルバムであって、彼らの代名詞である「プログレ」という要素は無い。更に、ブルースだけではなくジャズのテイストも感じさせているアルバムである。(後の彼らのサウンドとは完全に違っている。)尚、こういうサウンドは本作が彼らのアルバムの中でも唯一であるだけに、ある意味ではとても貴重なアルバムでもある。
ちなみに、本アルバムは、彼らの本国イギリスでは最高位10位を記録するヒットとなり、アメリカではBillboardで最高位62位を記録している。(但し、アメリカでは1969年になってからのリリースであった。)また、2008年には本アルバムの40周年を記念して、2枚組の「COLLECTORS EDITION」がリリースされている。(オリジナルのリマスター、ステレオ・ミックス、モノ・ミックスなどと追加音源という内容である。)
収録曲は以下の全10曲である。『My Sunday Feeling』『Some Day The Sun Won't Shine For You』『Beggar's Farm』『Move On Alone』『Serenade To A Cuckoo』『Dharma For One』『It's Breaking Me Up』『Cat's Squirrel』『A Song For Jeffrey』『Round』。
この中からシングル・カットされたのは『A Song For Jeffrey』であるが、この曲は彼らの2nd.シングルである。(1st.シングルの『Sunshine Day』はアルバム未収録曲としてリリースされた。)しかし、本国イギリスをはじめ、アメリカでもチャートインを果たしていない。
お薦め曲は、シングル曲の『A Song For Jeffrey』と、『My Sunday Feeling』『Some Day The Sun Won't Shine For You』『Move On Alone』『Round』という所をピックアップしておく。
後の彼らのサウンドに馴染みがある方にとっては、サウンドが全く違っているので戸惑いがあるのも納得出来る所であるが、本アルバムにはM・エイブラハムズがメンバーとして加わっていたことが大きい。(本作のみで脱退した。)そのミックとイアンとの融合が生み出した芸術と言って良いのが本作である。よって、バンド名のことを忘れて、ブルース・ロックのアルバムという認識で楽しむべきである。また、プログレはどうもという方でも、ブルース系ロックがお好きな方は、やはりバンド名のことを歩擦れて聴いてもらいたいアルバムでもある。
日本では余り名前が通っていないバンドであるが、英米では十二分の実績のあるバンドでもあって、職人技のあるバンドでもある。日本でももっと評価されても良いバンドの一つでもあるだけに、まずは聴いて欲しいと思うアルバムの一つである。
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