ケータイ刑事銭形零5話[裏ネタ編]PART 3 [ケータイ刑事]
「銭形零」の第5話「さよなら、アンドリウ ~キラークイーン殺人事件」の裏ネタ編・増補の2回目となる今回は、冒頭の物語の説明の所で出てきた「現実」について、「虚構」について、「複雑」について、「目を凝らす」について、この物語が初登場となった「Q.E.D.」について、零ちゃんが口にした「帰納法」について記します。
また、この物語について過去に記した記事(BS-i(当時)の再放送時に記した[改訂版])は「ここをクリック」してご覧下さい。(この物語についての過去に記した裏ネタ編は2008/2/14日付です。)
「現実」:現に事実としてあること、またはそのもの、その状態のことである。実際に存在する物事のことでもある。反対語は、事実ではないものであって「虚構」「フィクション」などと言う。
英語では「Reality」、ドイツ語では「Realität」、フランス語では「Réalité」、イタリア語では「Realtà」、スペイン語では「Realidad」、オランダ語では「Werkelijkheid」、ポルトガル語では「Realidade」と言う。
また、哲学の世界では、アメリカ英語では「Actuality」(イギリス英語では「Reality」)、ドイツ語では「Wirklichkeit」と言って、理想に対するものとしての現実のことを指して言う。
「虚構」:事実ではないことを事実らしく仕組んだもののこと、作り事のこと、架空のもののことである。「フィクション」と言う言い方もある。(「現実」の対になる言葉でもある。)
ニュース映画や何らかの記録を記した書物などでは現実のものを映像として記録したもの(一般的に「ドキュメンタリー」と言う。)があるが、それ以外の映画、ドラマ、小説、舞台劇などは全て「フィクション」であって、現実の者ではなくて作られたものである。(常識である。)それを逆手にとって、「現実と虚構が入り交じった…」とこの物語の冒頭で語っているが、こういう所は「ケー刑事」らしいところでもある。(実際、部分的には現実のことをネタに取り入れていますから...)
英語とフランス語では「Fiction」、ドイツ語では「Fiktion」、スペイン語では「Ficción」、オランダ語では「Fictie」、ポルトガル語では「Ficção」と言う。
尚、何かと問題になるのが「捏造」であるが、これも事実ではないことをでっちあげて事実のように語ることであり、「虚構」に含まれることになる。
「複雑」:物事の関係や事情などが重なり合って入り組んでいること、物事が込み入っていること、面倒な状態になっていること、分かりにくい状態になっていることである。尚、反対語は「単純」と「簡単」である。更に、怪しくなっている場合には「複雑怪奇」という言い方もある。また、英語では「Complex」と言う。
「目を凝らす」:よく見ようとしてじっと見つめること、視線を固定させて見ること、という2つの意味がある。(どちらにしても、「よく見ること」ですが...)慣用句として「暗闇で目を凝らす」と言う言い方があるが、これは何も見えないので、じっとしてよく見る、ということである。英語でも「暗闇に目を凝らす」という言い方は慣用句になっていて「Peer into the Darkness」と言うが、「Peer into」と言う言い方が「目を凝らす」という意味である。
「Q.E.D.」:ラテン語の「Quod Erat Demonstrandum」の頭文字を取ったものであって、意味は「かく示された」である。そのため、数学の証明の終わりや、論証の末尾にこれを記して、その説明が終了したことを示している。(映画では「完」「劇終」「THE END」「Fin」などが表示されることがあるが、それの数学版とでも思っても良い。)
尚、数学の世界では、言語に関係なく証明の終わりに「Q.E.D.」と記すことが定着しているので、「Q.E.D.」というのが世界共通になっている。(中国語や韓国語の用にアルファベットを使わない言語であっても、数学の証明の終わった所にその国の言語とは違っていても「Q.E.D.」と記すのが一般的になっている。→「答え」も同様に「Ans.」と記すのと同じであって、四則演算記号や等号、不等号などと同様に、数学記号と言うことが出来る。)但し、「Q.E.D.」は共通語になっているものの、これ以外の記号を記すことで同じ意味(=「証明終了」)を表すこともあるので、数学の世界でも誰もが使っているものとは限らない。
事件の謎を解いて、それを証明する説明の終わりの部分に「Q.E.D.」と口にするのは、如何にも数学が得意な零ちゃんらしいところであって、実に上手いところですね。
また、「Q.E.D.証明終了」という漫画作品(1997年から現在も続いている。)があって、2009年にはNHKでドラマ化もされている。(但し、心臓ペースメーカーのことで、後に謝罪に発展するという事態があったことで、悪評の立った作品として知られることになってしまった。)この作品のタイトルは文字通り「証明終了」を意味する「Q.E.D.」から採られているのは言うまでもない。
「帰納法」:推理を行う際に一般的に行われる手法の1つであって、個々の具体的な事実から一般的な命題や法則を導き出す科学的な研究方法のことである。但し、帰納法によって導き出された結論は、前提が真であってもそれが真とは限らない。(演繹法を用いた場合は、前提が真であれば結論も真になる。)
科学的な手法には演繹法と帰納法とがあるが、帰納法とは演繹法に対する概念でもある。歴史は古く、この方法はソクラテスが発見し、アリストテレスがそれを発展させたという歴史がある。更に、スコラ哲学で発達し、フランシス・ベーコンが現在の形として整え、ジョン・スチュアート・ミルによって大成することになった。(イギリスの哲学者、経済学者たちが発展させてきた。)それまでは「経験論の論理的方法論」とも呼ばれていたものである。
この物語で零ちゃんが(「最もベーシックな数学的帰納法を…」と)口にしているが、難しく言わなくてもこの方法は論理的な思考をする場合には無意識の内に使っていることも多い手法でもある。
尚、英語とフランス語では「Induction」(但し、発音は異なる)、ドイツ語では「Induktion」、イタリア語では「Induzione」、スペイン語とポルトガル語では「Indutivo」(但し、発音は異なる)、オランダ語では「Inductie」と言う。
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