KINGDOM COME『KINGDOM COME』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1988年に発表された彼らのデビュー・アルバムである。アメリカ人とドイツ人という構成のハードロックバンドである彼らは本アルバムのセールスが好調で、順調な船出をしたと思われた。が、そのサウンドがLED ZEPPELINに余りにも似ていたことで、評論家だけではなく、音楽ファン、更にはミュージシャンたちからも徹底的に非難されるという批判の集中砲火を浴びてしまい、中心となったレニー以外のメンバーが脱退してしまったという曰く付きのアルバムである。(現在でもレニーが中心となってバンドとしては現役である。)尚、本アルバムはBillboardでは最高位12位を記録していて、1988年の年間アルバム・チャートでは61位にランクインしている。また、イギリスでも最高位43位を記録している。
収録曲は全10曲であったが、2004年にリマスターされたときに後ろに1曲のボーナストラックが追加され、現在は全11曲になっている。収録曲は以下の通りである。『Living Out Of Touch』『Pushin Hard』『What Love Can Be』『17』『The Shuffle』『Get It On』『Now Forever After』『Hideaway』『Loving You』『Shout It Out』。(以下はボーナス・トラック)『Get It On (12" Promo Mix)』。
この中からシングル・カットされたのは3曲である。リリース順に『What Love Can Be』(イギリスで最高位78位)、『Living Out Of Touch』(とくに大きなヒットとはならず)、『Get It On』(Billboardで最高位69位、イギリスでは最高位75位を記録して、彼らのシングル曲としては最大のヒットになった。)
お薦め曲としては『Get It On』と『What Love Can Be』のシングル曲をピックアップしておく。
彼らが不幸だったのは、'80's終盤に発表されたという時期が大きい。実際、'80's前半には、オリジナル・グループに似ていることを売りにしたプロジェクト的なグループが成功を収めており、その時は彼らのような「ニセモノ」呼ばわりされることはなかった。'80's後半は世界的にもバブルに突入し、本物、そしてオリジナルが重宝されるようになったため、余りにも似ていたことが不幸であった。(「そっくりさん」という看板を上げていればまた違っていたでしょうが...)
が、本アルバムに収録されているサウンドは、確かにLED ZEPPELINのサウンドに近いものになっているが、単にサウンドが似ていると言うだけではなく、テクニックもかなりのハイレベルのものになっている。が、結局「ニセモノ」として扱われてしまったため、全てが否定されることになってしまったのは残念であった。
余りにも過激に彼らが否定されたことで、彼らのバンドとしての力量が再評価されるというのは殆どあり得ないと思われるが、改めて聴いてみて、それから確かにLED ZEPPELINのサウンドに似ているということが感じられれば、その後どうするかは各自で判断すればいいことである。「聴かず嫌い」ということはせず、一度は聴いておいて自分で判断して貰いたいところである。ただ、存在までを否定してしまうには余りにも惜しい内容のアルバムである。
尚、最近、遂に「BEATLESって誰?」という世代が登場したということが話題になっていたが、「LED ZEPPELINって誰?」という人がいたら、本アルバムとLED ZEPPELINのアルバムを(予備知識を与えずに)聴かせて、どういう感想を持ったか聴きたい所でもある。
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