「THE SOUND BARRIER」 [映画(洋画)]
表題の作品は1952年のイギリス映画「超音ジェット機」である。日本公開は1953年1月であった。尚、本国イギリスでのタイトルは表題の通りであるが、アメリカでは「BREAKING THE SOUND BARRIER」のタイトルで公開されている。巨匠・D・リーン監督が製作と監督を務めた作品であり、音速の壁を超えることに執念を燃やした男の生き様を描いた作品である。数多くの人間ドラマを描いているD・リーン監督であるが、航空機映画と言っても良い本作でも監督を務めていたのでした。(本作は「航空機映画」と言っても人間ドラマですけど...)
作品データを記しておくと、時間は118分、原作と脚本はテレンス・ラティガン、製作と監督はデヴィッド・リーン、撮影はジャック・ヒルデヤード、音楽はマルコム・アーノルドである。そして出演は、ラルフ・リチャードソン、アン・トッド、ナイジェル・パトリック、ジョン・ジャスティン、ダイナ・シェリダン、デンホルム・エリオット、ジョゼフ・トメルティ、ジャック・アレン、ラルフ・マイケル、ヴインセント・ホールマン、レスリー・フィリップス、ロバート・ブロックス・ターナー、アンソニー・スネル、たちである。
時は1943年、イギリス空軍のトニー・ガースウエイトは婦人部隊に所属するのスーザンと結婚した。スーザンの父・ジョンは、イギリス航空業界の大物であって、音速を超える飛行機の開発に執念を燃やしていた。スーザンの弟はその開発でテストパイロットとなっていたが事故で死んでいた。戦争が終わると、トニーはスーザンの反対を押し切って音速機のテストパイロットになる。そして、音速を超えることが出来る新型機が開発された。しかし、音速の壁を超えた時、どういうことが起こるのかは全く分からない状況であった。スーザンはお腹にいる子供のためにもテストパイロットを降りるように懇願するが、トニーはそれを聞き入れず、新型機に乗り込んで飛び立った。音速に到達するまでは順調だったが、音速に迫ると突然調子を狂わせて墜落、トニーは死亡する。その夜、悲しみに暮れるスーザンはトニーの子供を産んだ。一方、ジョンは、それでも音速突破に執念を燃やしていて、トニーの戦友だったフィリップに、新型機の2号機のテストパイロットになるように命じた。フィリップの操縦する2号機は順調に飛行して、遂に音速を突破する飛行に成功した。スーザンは、弟や夫を亡くしたものの、父の気持ちをようやく理解して、トニーの忘れ形見となった子供を将来の跡継ぎに育てる決心をしたのだった。
製作から半世紀以上が流れているため、当時は「ジェット機」というもの事態が最新のものであり、「音速の壁」が夢だったということで、現代とは随分とかけ離れた時代であるが、ジェット機の黎明期の航空機が出てくるなど、航空機ファンにとっては別の見所のある作品でもある。
また、D・リーン監督作品らしいところは、当時の最先端の航空機を劇中に登場させているものの、人間描写はしっかりとしているところである。一見したところはD・リーン監督作品なの?と思ってしまうが、実際はS・リーン監督作品らしい作品でもある。
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