NIK KERSHAW『HUMAN RACING』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1984年に発表された彼のデビュー・アルバムである。後にプロデューサとしても活躍することになる彼であるが、音楽的なセンスの良さを知らしめることになったアルバムでもある。本国イギリスでは最高位5位、ノルウェーで7位、(西)ドイツとフィンランドでは8位、スイスでは12位、オランダでは13位を記録するというように、欧州では大ヒットになった。また、アメリカではBillboardで最高位70位、豪州では35位を記録している。
収録曲は以下の全10曲である。『Dancing Girls』『Wouldn't It Be Good』『Drum Talk』『Bogart』『Gone To Pieces』『Shame On You』『Cloak And Dagger』『Faces』『I Won't Let The Sun Go Down On Me』『Human Racing』。
この中からシングル・カットされたのは全部で4曲である。但し、デビュー曲である『I Won't Let The Sun Go Down On Me』は、アルバム・リリース前に先行してリリースされていて、その後に再発されているので、のべで言うと5曲のシングルと言うことも可能である。デビュー・シングルとしての『I Won't Let The Sun Go Down On Me』はイギリスでは47位ということで今一つ伸び悩んだが、オランダでは6位、スウェーデンでは10位を記録している。そしてこの曲は、2曲のシングル・カットの痕に再発されてイギリスでは2位、オランダで5位というように最初のヒットを越える大ヒットになった他、アイルランドで4位、スイスで6位、ノルウェーで8位、(西)ドイツで12位豪州で17位を記録している。デビュー・シングルに続く2nd.シングルとなった『Wouldn't It Be Good』は本国イギリスで4位を記録したのをはじめ、アイルランドと(西)ドイツでは2位、スイスで3位、豪州で5位、ノルウェーで6位、カナダで9位、というように大ヒットして、アメリカでも46位を記録した。続くシングルの『Dancing Girls』はイギリスで13位、アイルランドで14位というように、勢いは少し衰えたが、次にデビュー・シングルの再発が大ヒットし、続いてシングル・カットされた『Human Racing』はイギリスで19位、アイルランドで17位を記録している。
お薦め曲としては、デビュー曲であり、ヒット・シングルとなった『I Won't Let The Sun Go Down On Me』、ブレイクしたのはこの曲からということになった『Wouldn't It Be Good』、更にシングル曲の『Dancing Girls』と『Human Racing』、それ以外からは『Drum Talk』と『Cloak And Dagger』をピックアップしておく。
サウンドはポップであって、とても聴きやすいものである。(当時は斬新なものであったが、シンセ・サウンドが一般的になった現在では印象が変わっている。)この後、'80'sのサウンドとして定着する要素に満ちたものであるため、'80'sサウンドがお好きな方であれば、特に違和感なく聴くことが出来る。また、発表から四半世紀以上が流れているが、特に陳腐化したという印象もない。
尚、シンガーとしての彼は本アルバムと次のアルバムまでということになるが、プロデューサとしての才能は後に多くのヒット・アルバムを生み出していることからも明かであり、その才能を垣間見ることも出来る内容のアルバムになっている。ということで、'80'sのUKサウンドがお好きな方は聴いておくべきアルバムである。
コメント 0