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「THE VALACHI PAPERS」 [映画(洋画)]

表題の作品は1972年のイタリアとアメリカの合作映画「バラキ」である。日本での劇場公開は1972年12月であった。実録小説のベストセラーとなった作品の映画化作品であり、ドキュメンタリー・タッチで描かれたバイオレンス・ドラマである。

作品データを記しておくと、時間は119分、原作はピーター・マーズ、製作はディノ・デ・ラウレンティス、監督はテレンス・ヤング、脚本はスティーヴン・ゲラー、撮影はアルド・トンティ、音楽はリズ・オルトラーニである。そして出演は、チャールズ・ブロンソン、リノ・ヴァンチュラ、ジル・アイアランド、アンジェロ・インファンティ、ジョセフ・ワイズマン、ワルテル・キアーリ、アメデオ・ナザーリ、フレッド・ヴァレカ、ファウスト・トッツィ、サビーヌ・スン、イザベル・マーシャル、マリア・バクサ、たちである。

1962年6月、ジョージア州アトランタの連邦刑務所に収監されているジョゼフ・バラキは同房の囚人を鉄パイプで殴り殺した。そしてここから彼の驚くべき告白が始まった。以前からバラキは刑務所内で命を狙われていると感じていて、看守に独房に入れてくれるように頼んだが、受け入れて貰えなかった。また、刑務所にいるビート・ジェノベーゼに話せば判ってもらえると考えてジェノベーゼに会うが、実はジェノベーゼがバラキの命を狙うように命じていたのだった。で、ジェノベーゼに対する復讐を果たすために同房の囚人を殺したのだった。バラキは自責の念を感じながら、彼が所属していた組織「コーザ・ノストラ」の秘密を係官ライアンに話し始めた。

1904年、NY・ハーレムで生まれたバラキは成長すると不良少年となり、1929年にシンシン刑務所に入れられた。そこで彼は、トニー・ベンダーとドミニク・ペトリリと知り合いになり、マフィア・ファミリーの一つであるマランツァーノ一家の一員となった。マランツァーノは、当時のニューヨーク暗黒街の最大のボスであるジョー・マッセリアと勢力争いの航走をしている最中だった。この航走でバラキの働きは認められ、ガエタノ・レイナと血の誓いを行った兄弟となった。しかし、その直後にレイナは殺されてしまう。レイナの葬儀の席上、ルチアーノとマランツァーノは話し合いの席を持つ約束をした。その数日後、ルチアーノの招待によってレストランに現れたマッセリアだったが、部下によって殺され、抗争は終結した。そしてマランツァーノは全国からボスたちを集めて、コーザ・ノストラの組織を整え、同時にニューヨークの五大ファミリーの一つのボスになった。そしてバラキはマランツァナーノの親衛隊に属し、ジェノベーゼはルチアーノのアンダーボスとなった。しかし、平和な時代は直ぐに去り、マランツァーノとルチアーノが反目するようになり、1931年9月、マランツァーノは警官を装った4人の男たちにナイフで刺されて死亡した。バラキも身の危険を感じてレイナの未亡人に匿ってもらい、以前から好意を抱いていた娘・マリアと結婚した。その後、ジェノベーゼの部下となったバラキはスロット・マシン20台分の権利を貰い、幹部となった。数年後、ルチアーノが売春容疑で逮捕され、イタリアに追放されると、後を受けてボスとなったジェノベーゼだったが、抗争が激しくなり、バラキは身の危険を感じてイタリアに逃れた。1946年、ジェノベーゼはアメリカに戻ると、権力を握っていたアルバート・アナスタジアをはじめ、組織に邪魔な連中を次々と殺し、再び最高のボスの座に返り咲いた。バラキも復権してレストラン経営者として幸福な家庭を持つようになった。しかし、権力争いに巻き込まれたことでバラキは裏で麻薬を扱うようになっていた。そして1960年、バラキは麻薬の件で逮捕され、ジェノベーゼも大量の麻薬所持で逮捕された。これは全てトニー・ベンダーの陰謀であったが、ジェノベーゼはバラキも仲間と思い込んだため、2万ドルの賞金をかけて刑務所内にいるバラキを狙ったのだった。バラキの告白を聞いた上院審問委員会は、1963年、自分たちの売名行為のために、バラキに時代錯誤的なギャング物語を求め、バラキの告白を曲解して利用した。独房に戻されたバラキは、自分が視野要したアメリカという国の組織が全くダメなものと知り、絶望して自殺を図った。しかし、彼は死ぬことが出来ず、FBIのライアンに発見されて一命を取り留めた。そして、ジェノベーゼの死後までも、完全警備の独房の中で一人で生きたのだった。

マフィアを描いた作品と言うことでは、本作と同じ1972年に「ゴッドファーザー」があるが、その影に隠れてしまうことになったのは不幸なところである。確かに「「ゴッドファーザー」のような派手な所は少なく、地味な所があるが、ドキュメンタリー・タッチで描かれている本作は、「ゴッドファーザー」にはない別の持ち味がある。

アメリカの影の部分を描いていると言うこともあって、一度は見ておきたい作品である。

 

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