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「LA VALLEE FANTOME」 [映画(洋画)]

表題の作品は1987年のフランスとスイスの合作映画「幻の女」である。日本での劇場公開は1989年10月であった。50歳になった映画監督が理想の主演女優を捜そうとする姿を描いた作品である。映画作りの拘りを感じさせる作品でもある。

作品データを記しておくと、時間は102分、監督はアラン・タネール、脚本はアラン・タネール、撮影はパトリック・ブロシェ、音楽はアリエ・ジェルラトカである。そして出演は、ジャン・ルイ・トランティニャン、ラウラ・モランテ、アヌーク・グランベール、ジェイコブ・バージャー、カロリーヌ・カルティエ、レイ・セラー、ジェーン・ホルツァー、たちである。

映画監督のポールは50歳になり、映画を撮ることに失望を感じていた。そんな中、彼はかつて放棄したシナリオを映画化することを決め、その主演女優を探し出す決心をする。が、主演女優はただの女優ではだめであって、役者以上のもの、新たな活力を生み出す必然性を持った存在でなくてはならないと決めた。そんなポールは、映画学校を卒業したばかりの若いジャンと出会い、彼をアシスタントとして雇うことにした。主演女優探しが始まるが、簡単に理想の女優が現れることもなかったが、ある日、ポールは一枚の写真を目にする。それはダラというイタリアの女優であり、今ではスクリーンから姿を消してしまった女優であった。しかしポールはダラこそが理想の主演女優だと確信し、彼女について調べる。そして、ローマを離れて故郷に帰っていることを知ると、ジャンを探しに行かせた。ジャンはダラの村に入り、レストランでダラに会う。そして話をすると、ダラの唯一の願いであるアメリカに移住した父を訪ねることを条件にして、出演交渉に成功した。そしてニューヨークに旅立つ前夜、ジャンとダラは一夜を共にした。ダラの父はニューヨーク・ブルックリンで食堂を経営していて、今では新しい妻と暮らしていて、イタリア語も殆ど忘れていたが、娘のダラとの再会を心から喜んでいた。また、ポールもニューヨークに入り、映画製作に取りかかった。ダラと父、ポールの映画に対する思いを目の当たりにしたジャンは、自分がのけ者になっているような気がして、ポールと対立し、一人ニューヨークから去ってしまう。映画の製作でイタリア・キオッジアで3人は再会するが、ジャンの心も整理されていた。そして映画作りの意欲を取り戻したポールは、理想の主演女優を迎えた映画の完成に勢力を注いだ。

映画作りに情熱を失った中年監督が、拘りのある作品を作ろうとして上念を取り戻すまでというドラマも良いが、本作ではやはりその「理想の主演女優」を演じたL・モランテの存在が何よりも大きい。兎に角、彼女に魅力を感じなければ、本作は成り立たなくなるのは言うまでもないというのは誰にでも容易に思いつくことである。で、L・モランテが美しく、「理想の女優」ということに違和感を感じないため、物語に違和感を感じず、ドラマを見せてくれている。

女優の魅力が作品に影響するのは当たり前のことであるのだが、意外とそういうことは忘れられがちである。が、本作はそのことをしっかり教えてくれる教科書のような作品である。

ただ、本作の残念なところは、かつてはLDでリリースされていたがDVD化されていないという所である。イタリアの女優L・モランテの出演作品はそれほど多くはなく、日本では余り紹介されないが、そのことも残念なところである。

 

↓同名タイトルですが、これは1944年の全く別の作品です。(本作はビデオも無いようで...)

幻の女 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ジュネス企画
  • メディア: DVD


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