「WAGON MASTER」

表題の作品は1950年のアメリカ映画「幌馬車」である。日本での劇場公開は1951年2月であった。多数の名作西部劇を生み出したJ・フォード監督作品であるが、今一つ知られていない作品の一つである。そのため、隠れた名作と言われている作品でもある。

作品データを記しておくと、時間は85分、白黒作品である。製作と監督はジョン・フォード、脚本はフランク・ニュージェントとパトリック・フォードの2人、撮影はバート・グレノン、音楽はリチャード・ヘイグマンである。そして出演は、ベン・ジョンソン、ジョーン・ドルー、ハリー・ケリー・Jr.、ウォード・ボンド、アラン・モーブレイ、ジェームズ・アーネス、ジム・ソープ、ジェーン・ダーウェル、フランシス・フォード、ハンク・ウォーデン、チャールズ・ケンパー、ルース・クリフォード、ラッセル・シンプソン、キャスリーン・オマーレー、フレッド・リビー、ミッキー・シンプソン、クリフ・リオン、ドン・サマーズ、たちである。

時は1871年、モルモン教徒の開拓者たちの幌馬車隊が、ユタ州とアリゾナ州の境の地・サン・フワンに新しい土地を求めて出発をした。幌馬車隊は若いトレイヴィスとサンディの護衛で目的地に向かう。自然の障害もはね除けて、順調に目的地に向かう一段は、途中で飢えた旅芸人一座の幌馬車を救うことになった。やがて、一座の踊子・デンヴァアはトレイヴィスに恋心を抱くようになった。そんな時、町で強盗を働いた悪漢一味食料を求めて飛び込んできた。また、一味の一人がインディアンの娘に手を出して犯していたことから、モルモン教徒たちはその男に制裁を加える決定をした。が、このことが悪漢一味の恨みを買うことになり、幌馬車隊は悪漢一味につきまとわれることになってしまう。そしていつしか、幌馬車隊の意思決定に影響を与えるようになる。保安官たちが一味を追ってきた時も、幌馬車隊に嘘をつかせることを強要するようになり、幌馬車隊は殆ど一味に乗っ取られていた。それでも目的地に向かう幌馬車隊。で、目的地が近づいてきた。最後の山越えがほとんど完了した時、悪漢たちは幌馬車隊の隊長のウィッグスを殺そうとした。が、サンディが隠し持っていた拳銃で悪漢を倒し、トレイヴィスとウィッグスが協力し、悪漢一味を全滅させた。そして幌馬車隊は希望の土地・新たな土地に到着した。

派手なアクション・シーンが殆どなく、人間ドラマを中心にして物語が進んで行く。「詩情豊かな映像の詩人」と言われたJ・フォード監督らしい所が出ているということが言えるが、もう少し物語にメリハリが欲しいと感じてしまう。で、クライマックスになってようやく西部劇らしい所が登場することになる。人間ドラマということでは悪くはないが、西部劇として期待するところがあることを考えると、実に地味な作品ということで、影の数位存在になっているのも納得出来るところである。が、J・フォード監督作品ということで、見ておいても損はしない作品である。

 

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