「女の警察」(その2) [映画(邦画)]
今回は、1969年に2本製作されているが、記念すべきシリーズ第1作の1本について記します。尚、劇場公開は1969年2月であった。
シリーズ第1作「女の警察」
作品データを記しておくと、1969年の日活作品で、時間は83分、原作は梶山季之、監督は江崎実生、脚本は中西隆三、撮影は横山実、美術は佐谷晃能、音楽は佐藤允彦である。そして出演は、小林旭、小高雄二、十朱幸代、牧紀子、槇杏子、太田雅子、青江三奈、内田朝雄、木島一郎、郷えい治、内田稔、木浦佑三、富田仲次郎、加藤嘉、神田隆、十朱久雄、杉江広太郎、加原武門、藤竜也、たちである。
銀座に7つのキャバレーなどを経営している暁興業の篝(かがり)正秋は、人事兼保安部長として務めているが、ホステスたちの信望が厚いことで、「女の警察」と呼ばれていた。ある日、元ホステスの千代子の夫・玖島が自動車事故で死亡した。玖島は何か危険な事件の取材をしていたということ、また事故に不審な点があったことから、篝は、興信所を経営している加藤と共に、玖島の事件の究明に乗り出した。また、暁興業社長・小平は、大宝観光社長の宝部から、宝部のクラブを5億円で買取って欲しいという申し入れを受けた。しかし宝部は、その話を金融王・大川にもしていたということで、小平は何か仕掛けがあると感じて、篝に徹底的に調査するように命じた。まもなく篝は、ホステス・章子の客の中に、大川と国土開発公団の藤代がいることを突き止める。そんな中、章子はある日、忽然と姿を消してしまった。更に章子の客に、藤代と親しい佐本と詫摩がいて、元鉄道次官の詫摩は憲民党の工藤幹事長と繋がっている人物で、政界と国鉄に顔を利かせており、玖島はその詫摩の名刺を持っていたことから、篝は国鉄の何かが事件の背後にあると察した。更に調査を進めていくと、西日本新幹線建設用地買収の情報を得ようとして、宝部が画策していることを知り、玖島は新幹線汚職に関する情報を掴んだことで消されたと判断した。そして篝は、章子の居場所を探り出し、佐本と詫摩が何をしていたのかを調べるように頼んだ。そして、佐本の手下の松田が、玖島の顔に酒を浴びせ、事故を起こさせたということを知る。玖島の死の真相を掴んだ篝だったが、相手も黙っておらず、色々と嗅ぎ回っていた加藤を消した。篝は2人の親友が殺されたことから、怒りを胸に押し殺し、佐本たちの元に乗り込み、仇を取った。
「渡り鳥」シリーズなどの日活得意の無国籍アクション・シリーズとは違って、高度経済成長期の日本を舞台にしているだけに、現実的な設定と現実的な展開でストーリーが進んで行く。また、事件を追っていくという所にポイントが置かれているため、アクション作品であるものの、ミステリー・サスペンスの様な色合いが強い。そのため、「渡り鳥」シリーズのようなアクションを期待していると肩すかしを食らうことになる。が、若さに走っていた「渡り鳥」シリーズと比べると落ち着きのある大人の作品ということで、こういう作品も悪く無い。
また、出番は少ないものの、ホステス役で出演している女優陣が華やかであって、お楽しみの一つにもなっている。ということで、娯楽作品としては十分楽しめる作品である。
↓ソフトが無い(かつてはLDでリリースされていました。)ので、原作小説を...
- 作者: 梶山 季之
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