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「A ZED & TWO NOUGHTS」 [映画(洋画)]

表題の作品は1985年のイギリス映画「ZOO」である。(この邦題では、1993年のアメリカのドキュメンタリー映画、2004年のオムニバス形式の日本映画があるが、いずれとも全く関係ない作品である。)日本での劇場公開は1987年12月であった。P・グリーナウェイ監督の名前を広く知らしめることになった作品である。

作品データを記しておくと、時間は115分、監督と脚本はピーター・グリーナウェイ、撮影はサッシャ・ヴィエルニ、音楽はマイケル・ナイマンである。そして出演は、アンドレア・フェレオル、ブライアン・ディーコン、エリック・ディーコン、フランシス・バーバー、ジョス・アックランド、ジム・デヴィッドソン、アグネス・ルーレット、たちである。

ある動物園に勤める動物学者のオズワルドとオリヴァーの兄弟。最近2人は、自動車事故で同時に妻を亡くしていた。また、その事故で車を運転していた女・アルバは生命はとりとめたものの、片脚を切断した。兄弟は悲しみにうちひしがれることになるが、この事故をキッかけにして、死んだ動物が腐ってゆく過程を記録する実験にとりつかれ、生物の進化に対しても興味を示すようになった。そして研究に力を入れていくが、同時に2人はアルバのことを気にするようになり、アルバも2人に興味を持ち、やがて愛するようになった。そんな3人は、外科医のヴァンと助手のカテリーナに監視されていた。ヴァンはアルバのもう片方の脚も切断しようと企てた。そんな中、アルバは兄弟の子供を身籠もり、やがて双子の男の子を出産した。しかし、残った片足の切断手術も重なり、その拾うから死んでしまう。残された兄弟は、自ら腐敗実験の実験体となり、命を絶った...

実験的なことを大胆に行っている作品であり、「実験作」という表現がピッタリな作品である。が、その試みはなかなか興味深く、面白いことを行っている。映像表現の手法ということでは、まだ彼のスタイルが確立していないのだが、そのことが実験的な試みということを上手く回転させている。

また、テーマが「生命というものの原理」と「死」であるが、こういうテーマの作品は重くなりがちであるが、彼のシュールな世界観と虚無的な雰囲気の中では、その重さというものも感じられなくなり、独特の世界が構築されている。

現在では、彼のキャリアの初期の作品ということもあって「初期の傑作」とされているが、本作のような傑作を生んだことで彼の今日があるので、「初期の傑作」ではなく、「彼の飛躍の作品」と言うべきである。

娯楽作を見たいという方はそのままお帰りして頂くとして、映画を芸術作品として表現した作品をじっくりと味わうという映画ファンは必見の作品である。

 

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