SSブログ

「祭りの準備」 [映画(邦画)]

俳優の原田芳雄さんの訃報が届いたということで、追悼の意味で、彼の出世作となった表題の作品を取り上げることにします。

それにしても、つい数日前に、車椅子姿で、新作公開に合わせて姿を見せていたのに、帰らぬ人になってしまったというのは残念です。心からご冥福をお祈り致します。


祭りの準備」は1975年11月に劇場公開された作品である。主演は、当時新人だった江藤潤、また、ブレイクする前の竹下景子がヌードを見せている(現在でも吹き替え説が語られ続けているというのも伝説になっている。)ということで知られている作品である。(この作品の演技も評価されて、名前が知られるようになり、ブレイクすることになる。)また、原田芳雄はこの作品でブルーリボン賞の助演男優賞を受賞して、俳優として多に評価されることになった。ということで、江藤潤、竹下景子、原田芳雄の3人の出世作になった作品でもある。

物語としては、脚本を担当している中島丈博の半自伝的小説小説の映画化作品であって、高知・中村市(現在の四万十市)を舞台にした若者の成長ドラマである。

作品データを記しておくと、1975年の綜映社、映画同人社、ATGの作品で、時間は117分、原作は中島丈博の同名タイトルの小説「祭りの準備」、監督は黒木和雄、脚本は中島丈博、撮影は鈴木達夫、美術は木村威夫と丸山裕司の2人、音楽は松村禎三である。そして出演は、江藤潤、馬渕晴子、ハナ肇、浜村純、竹下景子、原田芳雄、石山雄大、杉本美樹、桂木梨江、三戸部スエ、湯沢勉、絵沢萠子、原知佐子、真山知子、阿藤海、森本レオ、斉藤真、芹明香、犬塚弘、たちである。

時は昭和30年代はじめ、場所は高知県中村市。この街の信用金庫に務める沖楯男は、東京に出て、脚本家として自立することを夢見ていた。しかし、母・ときよは、女狂いの夫・清馬と別居していて、一人息子である楯男を溺愛していて、東京に出ることを許さない。また。楯男には心の恋人・涼子がいるが、彼女は政治運動に力を入れていて、彼にとってはあくまでも片思いであった。また、彼の家の隣に住んでいる中島一家は、利広と、兄の貞一・美代子夫婦が住んでいたが、この3人が不思議な三角関係を保っていた。そんな中、中島家の末娘・タマミが発狂して大阪から帰って来る。早速彼女は、町の若い衆からセックスの対象とされ、涼子への叶わぬ恋を抱いている楯男は、失意の中でタマミと寝る。それから数カ月後、タマミが妊娠し、同棲していた楯男の祖父・茂義が子供の父であると名乗り出た。まもなくタマミは、無事に子供を生み、正気に返る。そしてそれからは茂義のことを激しく嫌悪するようになり、茂義は自殺してしまう。一方、失恋した涼子は楯男をセックスに誘う。涼子への夢が破れた楯男は、ついに一人で東京へ旅立つことを決心した。旅立ちの日、駅の待合室にいた楯男は、殺人容疑で追われている利広と出会う。利広は「バンザイ!バンザイ!」と楯男を励ますように声を挙げ、楯男はその声に見送られて故郷を旅立っていった。

昭和30年代というと、高度経済成長期であるが、その裏では売春行為は日常茶飯事であり、また、障害者に対する差別も強く残っていた時代である。夢を持っている若者の姿を描いた作品であるが、そういう時代背景もしっかりと描いているところは本作の上手いところである。(ただ、この内容では、現在では地上波ではほぼ放送はアウトとなり、BSでも最初にお断りのテロップが表示されるのは間違いない所である。)

江藤潤と竹下景子が初々しく、原田芳雄も味のある所を出しているだけに、この3人の出世作ということ、時代を上手く描いた作品ということ、若者の姿を描いた青春ドラマとして、いくつかの点で見所のある作品であるため、一度は見ておくべきですね。

 

祭りの準備 [DVD]

祭りの準備 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD

祭りの準備 ニューマスター版 [DVD]

祭りの準備 ニューマスター版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。