「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その217) [ケータイ刑事]
今回のテーマは「主人公の逃亡」です。取り上げる物語は、「ケータイ刑事」からは「愛・8話」と「泪・1st.13話」(今回は久しぶりの2本です。)を、「007」からは「消されたライセンス」です。
「ケータイ刑事」:「愛・8話」。「第49号容疑者 銭形愛」という物語。この物語は愛ちゃんの冤罪事件であり、五代さんが何かと愛ちゃんのことを気に掛けている所を見せている物語でもあって、コンビの絆の強さを感じさせる物語でもある。
時価1億円のダイヤが盗まれるという事件が発生し、現場にやってきた愛ちゃん。しかし愛ちゃんのポケットから盗まれたダイヤが出てくる。また、被害者の証言もあって、状況証拠によって愛ちゃんは犯人として逮捕されることになってしまう。
警視庁の取調室に連れてこられた愛ちゃんはブツブツと文句を言っている。が、五代さんは分かっていた。状況証拠が揃っているということで逮捕せざるを得なかったと言う五代さんは、愛ちゃんの事情説明に耳を傾ける。何者かに催涙スプレーを掛けられて、気がついたら公園のベンチにいた、という愛ちゃんだったが、犯人については覚えていなかった。ということで、五代さんは愛ちゃんのことをボロクソに言い、愛ちゃんも「反省します」と答えていた。
愛ちゃんは、スプレーがこんなものだったと言うことをシグマリオンを使って説明する。五代さんは愛ちゃんに「ここにいなさい」と言い、犯人は自分が逮捕する、と力強く言った。すると愛ちゃんは突然泣き始める。慌てた五代さんに愛ちゃんは「だって、五代さん、優しいんだもん」と泣きながら言う。五代さんは「女性の涙に弱い」と言って愛ちゃんから目をそらす。すると次の瞬間、愛ちゃんは五代さんに抱きつき、五代さんのズボンの後ろポケットに入っていた手錠を奪い取った。で、五代さんの左手に手錠を掛けると、猛一方を素早く自分が座っている椅子に繋いだ。
「何?何?」と訳が分からない五代さんに、愛ちゃんは「やっぱり犯人は私が捕まえる」と言うと、真犯人を捕まえるために飛び出して行き、五代さんはそれを見送るしかなかった...
尚、ここで愛ちゃんが泣いたりは「嘘泣き」でした。→やっぱり嘘泣きが得意な次女・泪ちゃんのお姉ちゃまという所を見せた愛ちゃんでした。
「ケータイ刑事」:「泪・1st.13話」。「助けて、五代さん! ~銭形泪冤罪事件」という物語である。この物語は泪ちゃんの冤罪事件である。また、ここまで常に銭形姉妹と組んでいた五代さんが一旦降板することになる物語でもある。(設定上は、愛ちゃんに呼ばれて神無島署に転勤になる。)
警視庁の中に国家転覆を企む秘密結社・海王星団がいるということで、その全容を暴くようにと、参事官の荒畑任五郎からの極秘司令を受けた泪ちゃんと五代さん。外出する荒畑を護衛するということで、泪ちゃんと五代さんは荒畑をガードするように街中に出る。その時、泪ちゃんは怪しい男の姿を見かけたということで、その影を追った。そんな時、荒畑が何者かに狙撃された。幸いにも弾は荒畑を外し、五代さんはあるビルの窓からライフルが狙っているのに気づいた。で、そこに向かった。
突入した五代さんは、そこに倒れている泪ちゃんと老人の死体を発見した。泪ちゃんに駆け寄った五代さんだったが、泪ちゃんは記憶を失っていた。また、手にはライフルがあった。
五代さんは泪ちゃんに優しく語りかけ、事情を聞く。が、そこに荒畑がやってきて、状況から泪ちゃんを海王星団の首謀者と決めつけ、五代さんに逮捕するように命じた。しかし、五代さんは反論しようとする。すると「君も仲間か?」と荒畑。五代さんはそれでも躊躇った。すると荒畑は五代さんから手錠を奪い取り、自ら泪ちゃんを逮捕しようとする。
これに泪ちゃんは抵抗し、荒畑を突き飛ばすと、その場から逃げて行く。部屋を出るとき、一旦立ち止まって「潤む、悪の雫」と、お馴染みの台詞を言うと、足早に逃げていった。五代さんはその言葉を聞き逃さなかった。一方、荒畑は、「早く追え!」と五代さんに命じ、五代さんは後を追っていった。
「007」:「消されたライセンス」。1989年のシリーズ第16作であって、4代目ボンドの第2作(最終作)である。ボンドがCIAの友人・フィリックスの復讐のために行動するということで、ボンドの人間らしい一面が強く出た作品となり、「007」シリーズでも結婚する「女王陛下の007」と共に異色の作品となっている。
CIAの友人・フィリックスの結婚式に出席するボンドだったが、式の直前に南米の麻薬王・サンチェスが現れたという連絡を受け、ボンドとフィリックスは現場に向かった。そしてオブザーバ扱いのボンドの活躍もあって、セスナで逃亡しようとするサンチェスの乗った飛行機をヘリコプターで吊り上げ、サンチェスを飛行機ごと拘束し、逮捕した。そしてサンチェスを当局に引き渡し、ボンドとフィリックスは結婚式に向かった。
フィリックスの結婚式が執りおこなわれる中、サンチェスは当局の取り調べを受けていた。しかしフィリックスの元同僚のキリファーがサンチェスに200万ドルの賄賂によってサンチェス側に寝返り、サンチェスの逃亡計画が実行された。(サンチェスを乗せた囚人護送車が橋から海中に転落、サンチェスの仲間がサンチェスとキリファーを救い出し、そのまま逃亡した。)
サンチェスが逃亡したことを知らないボンドは、フィリックスの結婚パーティに出席し、終了後、ホテルに戻り、フィリックスたちと別れた。その夜、新婚のフィリックス夫妻はサンチェスの息の掛かった男たちに襲われ、新妻・デラは殺され、フィリックスは拉致され、サンチェスの元に連れて行かれ、鮫に足を食われるという重症を負う。そんなことになっていると知らないボンドは、翌日、新たな任務のためにフロリダを発ってイスタンブールに向かうため、空港に向かった。が、空港の警備が物々しいことからカウンターで「何があった?」と訪ねた。で、サンチェスが逃亡したことを知った。
するとボンドはフィリックスの新居に引き返した。そしてそこでデラの死体と瀕死の重傷のフィリックスを発見した。また、フィリックスの元にあったサンチェスに関する資料も全てが持ち去られていた。当局は、サンチェスは既に国外逃亡し、しかも匿う国はいくらでもあるとして、お手上げ状態になっていて、ボンドに「諦めろ」と言うが、ボンドは親友のフィリックスの復讐のために、新たな任務をほっぽり出して調査を開始した。そして、「鮫」を手掛かりにして、キリファーの裏切りを知り、キリファーをフィリックスが受けたのと同様に、鮫の餌食にした。
当局もボンドの復讐を掴み、ボンドに手を引くように言うが、ボンドは受け付けなかった。そんなボンドはヘミングウェー記念館に連れて行かれる。するとそこにはMがいた。そして、フィリックスのことはアメリカ当局に負かせて任務に就くように命じた。しかしボンドはそれに逆い、当局は何もしないと言い、自分がサンチェスを追うことを口にする。Mは冷静になって任務に戻るように言うが、聞き入れないボンドは「辞職する」と言った。クラブを辞めるのとは訳が違うというMだったが、ボンドの目を見て、決心が固いことを確かめると、辞職を認めた。そして殺しのライセンスを取り消し、銃の返却を求めた。
ボンドはゆっくりとそれに応じようとして、銃を手にした。この時「これが本当の「武器よさらば」ですね」と言うジョークを口にして銃をMに手渡そうとする。が、ボンドは銃を渡さず、もの配下の男たちを殴り倒し、その場から逃亡していった。護衛がボンドを撃とうとするが、Mは周りに人がいる、と言ってそれを制し、ボンドが逃げて行く姿を見守るだけだった。
共通点は、主人公(銭形/ボンド)が逃亡していく際、それを見守る目があり、しかもその目は主人公のことを信じているという姿勢を見せていたことである。また、「銭形泪」と「消されたライセンス」ということに絞ると、主人公の上役がその場に居合わせているということも共通している。(但し、その場にいたという共通点があるが、「ケータイ刑事」では捕らえるように命じ、「007」では逃亡するのを見守っていたという違いがある。)
また、それぞれの物語の最後では、主人公が逃亡する目的を達成している(「ケータイ刑事」では真犯人の逮捕、「007」ではサンチェスを倒した。)所も共通点の一つと言うことも出来る。
相違点は、「ケータイ刑事」では(2本ともが)冤罪に対しての逃亡であるが、「007」では自分で友人・フィリックスの復讐を果たそうとするための逃亡だということである。そのため、「ケータイ刑事」では銭形が逃亡した後、非常線が張られているが、「007」ではボンドの逃亡後、特にそのようなことは行われていない。
次回も今回と同様に「ある物(できごと)」をテーマにして記す予定です。何が登場するのかはお楽しみに。
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