「さよならジュピター」 [映画(邦画)]
小松左京追悼ということで取り上げる3本目の作品は、日本映画史に於いて、余りにも評判の悪い作品ということで知られている「さよならジュピター」です。こういう作品を取り上げるのは、映画と小説とは全く別物であるということを教える作品ということになるためである。何せ本作は、映画は完全に失敗作で、製作費の回収も出来ない不振であったが、小松左京による本作の小説(ノベライズ)は高く評価されて、後に星雲賞(日本長編部門賞)を受賞して、高く評価されているためである。→考えように夜と、本作の映画関係者はダメで、小説を書いた小松左京はやはり優れているということにもなる。(と言いつつ、小松左京が映画の脚本も書いているのですが...→それだけ本作の他のスタッフがダメということに...)
「さよならジュピター」は1984年3月に劇場公開された東宝作品である。作品データを記しておくと、時間は130分、原作と脚本と総指揮は小松左京、製作は田中友幸、監督は橋本幸治、撮影は原一民、美術は竹中和雄、音楽は羽田健太郎、特技監督は川北紘一である。そして出演は、三浦友和、小野みゆき、マーク・パンソナ、キム・バス、ウィリアム・M・タビア、レイチェル・ヒューゲット、岡田真澄、平田昭彦、ポール大河、ディアンヌ・ダンジェリー、ロン・アーウィン、森繁久彌、たちである。
西暦2125年、地球には180億の人口がいて、太陽系宇宙空間にも既に5億の人口がいた。人々は新しい資源を求めて開発を進めていて、木星を第2の太陽として、木星よりも外側にある惑星への新しいエネルギー源にするという「木星太陽化計画」を進めていた。しかし、自然保護団体や学者たちはこれに反対し、政府と対立し、反対派は木星の基地に破壊工作員を送り込んでいた。そんな中、宇宙船・スペース・アロー号が謎の遭難を遂げ、原因調査から、小さなブラックホールとの接触によるものであり、その小ブラックホールは太陽に衝突するコースをとっている事が分かった。太陽系を救うためにはどうしたらいいかということから、木星太陽化計画を応用し、木星をブラックホールに衝突させて爆発させて、ブラックホールのコースを変更するという計画が承認された。残された時間は2年で、「木星太陽化計画」は「木星爆破計画」となった。計画が進められていく中、反対はの破壊活動も激しくなっていく。そして木星爆破まで圧300時間というところで、反対派は計画を進行中の基地に侵入し、激しい銃撃戦になった。で、木星は爆発し、ブラックホールは進路を変えて太陽系は救われた...
本作は映画単体ではなく、色々と書き込まれている小説版とセットにして見るべき作品である。(小説の方がはるかに面白い。)ということで、酷評されている映画(但し、現在のCGを中心とした特撮技術を使い、じっくりと描くことが出来れば、それなりの良い作品になるとは思いますが...→映画では転けた作品であるため、こう言う作品をリメイクしようという話は出てこないでしょうけど...)と、評価されている小説とを比べることで、小松左京の力を改めて知ることが出来る。
ということで、小松左京の追悼ということでは、映画と小説をセットにすることで、彼の業績をたたえることが出来ることになる本作は、いい意味でも悪い意味でも彼の追悼ということではぴったりの作品なのかもしれませんね。
改めて氏のご冥福をお祈り致します。
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