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「首都消失」 [映画(邦画)]

小松左京追悼ということで取り上げる4本目は「首都消失」です。(尚、「復活の日」は以前に記している(「ここをクリック」して下さい。)ので、本作を以て小松左京追悼として記すのは終りです。)


映画「首都消失」は、1985年の日本SF対象を受賞した小松左京のSF小説の映画化作品である。オールスター・キャストで描いたSFパニック映画であるが、最近の大災害を目の当たりにすると、本作のような状況は別の形で起こりえるように思えるようになってきただけに、未来への敬称という作品のように感じられるようになってきた。

作品データを記しておくと、1987年1月に劇場公開された東宝作品で、時間は120分、原作は小松左京、監督は舛田利雄、脚本は山浦弘靖と舛田利雄の2人、撮影は飯村雅彦、美術は育野重一、音楽はモーリス・ジャール、特技撮影は江口憲一と佐川和夫の2人、特技監督は中野昭慶である。そして出演は、渡瀬恒彦、名取裕子、山下真司、大滝秀治、石野陽子、財津一郎、ぼんちおさむ、竜雷太、夏八木勲、岸部一徳、丹波哲郎、松村冬風、三木のり平、並木史朗、津村隆、苅谷俊介、平泉成、宮内洋、平淑恵、濱田万葉、浅利香津代、海老名みどり、加藤治子、青木義朗、相馬剛三、石橋蓮司、渡辺文雄、不破万作、山本亘、丹波義隆、うえだ峻、江角英明、たちである。

夏のある朝、東京は霧に包まれた。そしてその中に入ることも、また出ることも出来ず、通信の一切も途絶えてしまった。東京には2000万という人がいて、その命が危ない。日本はたちまち混乱に陥り、日本の統治機構は崩壊してしまう。全国知事会を基礎とした暫定統治機構が樹立されるも、冷戦の真っ直中にいるアメリカとソ連は、東京を包んでいる雲の軍事的利用が頭にあってつばぜり合いをする。そんな状況に、関西放送のテレビマンや科学者たちが立ち向かって行く物語である。

尚、前半は原作小説に近い内容で進んで行くが、後半になると原作小説とは別物の物語になっていき、物語としては今一つになってしまう。そして、最後には雲が突如消えてしまうが、ちょっと都合の良い展開であって、原作小説の方が内容としてははるかによいのは、小松左京作品の映画では共通している所である。

公開当時は、中盤以降の展開に対してボロクソに言われることになった作品であるが、1995年の阪神大震災以降、本作に対する見方が変わっている。というのは、現実世界で大きな災害によって、都市が壊滅的な打撃を受けているが、それが東京に起こった場合のシミュレーションという用に本作を捕らえることが出来るためである。(ただ、'80年代中盤と現在とでは、社会インフラの発展もあって、そのままとは生きませんが...)この物語のように「雲」によって東京が遮断されるということは亡くても、災害で東京が壊滅的な被害を受けたとき、その時は本作で外部と遮断された東京と同じように事態になる。対応策も本作で描かれているものとは違った形になるのも分かるが、やはり何か考えておくべきことであるのは言うまでも無い。それだけに、内容的には違っていても、非常時に供えて手を打っておくことを教えている本作の意義は非常に大きいものということになる。

そういうことで、映画の内容や評価、更には興行的な成績のことを度外視しても、本作の存在意義は大きく、小松左京の偉大なところだと感じさせてくれる作品の一つである。また、同時に「想定外」と言って言い逃れをしている役所や企業は、単に怠慢でしかないということも語っている。

ということで、単なるSF小説家ではなく、小松左京の偉大さを改めて知ることになる作品である。(亡くなったことが本当に残念でならなく感じる所であって、ご冥福をお祈りします、と言う言葉で締めくくることにする。)

 

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